第126話 俺、異世界で王都にはじめて足を踏み入れる
「エリン・・・貴殿、冒険者カードにSSS級を証明する文字が記載されているのだが・・・これは?」
「ふふん、すごいでしょ!わたしもだけどアスティナもシスティもSSS級なのよ!どぉ、すごいでしょ!!」
「エリンがSSS級になったことにも驚いたが・・・そちらの少女もSSS級ということがにわかに信じられるのだが?」
ウィリアムからの質問をエリンは鼻高々に答えている・・・俺やシスティのことも答えてくれているのだが、身内としてその姿を延々と見せられるのはなかなか恥ずかしい・・・さっさと終わってくれないかと祈るばかりだった。
エリンの答えを聞いたウィリアムはティーナと顔を合わせ、双方で何かを納得した様子で頷くと今度はこっちに振り向いて話しかけてきた。
「みんなの話は分かったわ、それでアスティナちゃんたちは王都に何しに来たの?」
「あー、それは・・・ちょっと待って、来た理由を説明するのにちょうどいいのがあるからさ・・・」
俺はティーナにそう言うと、道中で歩きながらストレージから取り出して、ポシェットに入れておいた【アルト国王直々の招待状】を彼女に手渡した。
俺から手渡された招待状を裏返し押されている封蝋印を見たティーナは急に両手がぷるぷると震えはじめた。
それを横目で見ていたウィリアムも彼女が手に持っている招待状の封蝋印を見るや否やティーナと同じようになっていた。
ティーナはぷるぷると震える両手で招待状を俺に返しながら、震える声で質問をしてきた。
「アスティナちゃ、ちゃん・・・この封蝋印なんだけど・・・こく、国王のものに見えるんだけど・・・あたしの気のせいかな?」
「いいや、アルト国王のものであってるよ。センチネルが直々に俺に手渡してくれたから本物だと思うけど」
「・・・ふぅ~ん、そぉ・・・なんだ。ごめんね、アスティナちゃんにエリンさん、システィさん・・・どうぞお通り下さい」
「そんなすぐに通ってくれと言われるとなんか寂しんだけど・・・せっかく知り合えたんだしもうちょい話そうよ、それにウィリアムさんはエリンと同郷なんでしょ?」
「いやいやいやいや・・・あなたたちをここで留めさせているとあたしたちが上から怒られるのよ・・・だから、その用事が終わったらお話しましょう・・・ね?」
「・・・そっかー、分かったよ、ティーナさん。それじゃ、さっさと終わらせくるか・・・ウィリアムさんもまたあとでな~」
俺はティーナから返してもらった招待状をポシェットにしまうと、まだ招待状の後遺症が残っているのかぷるぷる震えながらも、手を振り見送ってくれるふたりに挨拶をして別れると、王都への入り口である南門をゆっくり歩きながら通り抜ける。
門を抜けた先にまず最初に目がいったのは王都の象徴である王城。
建っている場所はここからはかなり離れているのか王城の一部分しか見えていないがそれでもどれほど巨大な建物なのかはここからでも感じ取れた。
南門周辺は王都といってもまだ冒険者の町に近い感じがした、雰囲気や建物が庶民的というか・・・とりあえず居心地は良さそうだ。
そしてまず王城よりも優先度が高い目的地をキョロキョロと周辺を見渡し、町を出る前に師匠が教えてくれた本屋を探すことにした。
入ってすぐ左手の方向に本屋があると師匠は言っていたが・・・物置小屋のようなものは見えるが・・・まさかあれが本屋なわけないよな。
俺はエリンに師匠が言っていた本屋があのおんぼろ建物で合っているのか確認してみた。
「・・・なぁエリン、師匠が言っていた本屋ってさ・・・あのボロっちぃ建物であってると思うか?」
「そうね~、あの建物の中からイクストリアのような強大な魔力を感じるけど・・・」
「ふむ、師匠と同等の魔力か・・・ということはやっぱりあれが例の本屋ってことなのか・・・」
「そうね・・・イクストリアが言ってた本屋だとは思うけど・・・物置小屋感がすごいわよね・・・それでアスティナ、どうするの入ってみる?」
エリンから謎の建物に入るのか聞かれた俺はすぐに入ろうとはなかなか言えず、少し躊躇してしまった。
はじめて師匠の本屋に行ったときだって・・・エリンが先行して入ってくれたから、俺も多少ビビりながらではあるが入ることができた。
だが、今回は雰囲気的に俺が先行して入る感じになっている・・・正直入りたくねぇ・・・だけど師匠の言葉もあるし、エリンによる魔力察知により、あの建物の中に師匠同等の魔力を持つ人物がいるのも分かっている・・・ならば、行くしかないか。
覚悟を決めた俺は物置小屋のドアノブに手をかけ、一呼吸するとドアノブを回しドアを開けた。
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