第124話 俺、異世界で王都の南門に到着する
あれから1時間さらに経過したところでやっと王都アルレインの全貌が見えてきた。
王都アルレインは言葉にすることも出来ないほどに広大な都市だった・・・冒険者の町ミストをまるまる1個、王都を囲んでいる防壁にどんどん配置していったとして・・・ざっくりと見てもミストが20個分ぐらいは配置できるのでは・・・。
冒険者の町ミストの人口がどれほどいるのかは分からないが・・・それと比較すること自体がおこがましいように思えた、1,000人規模ではなく最低でも10,000人は住んでいるのではないだろうか。
王都の入り口である南門から大体1キロメートルほどの距離まで近づくと徐々に速度を落とし空中で停止した。
そして、その場で振り返ると走りながらついて来ているシスティに合図を送る、システィはこっちを見て頷くと俺たちの着地地点箇所まで移動した。
ゆっくりと下降し地面に足をつけ、麻ローブを外し、エリンを降ろすと彼女はずっと同じ体勢だったこともあり、ガチガチになった身体をほぐすためかグーっと背伸びをしている。
「はぁ~、やっぱり飛行タクシーは最高ね・・・ただ長時間はちょっとしんどいわね」
「俺はフライの能力のおかげで風圧とか身体にかかる負担がほぼないから、正直それほどしんどくはないんだよなぁ」
「そっか・・・わたしも同じ魔法が使えればいいんだけどねぇ。でも、歩いて移動することに比べたらかなり楽なんだけどね」
「そうだな・・・じゃーさ、せっかく王都に来たんだし、飛行が楽になりそうな物があれば買おうぜ!お金はある!!」
「そんな便利な物があるなら、わたしも欲しいけど・・・アスティナちょっと成金っぽくて、その感じなんかやだわ・・・」
「・・・・・・真顔でそれを言うなよ・・・俺も自分で言っててちょっと恥ずかしかったんだからさ」
エリンからの冷たいツッコミをされた俺は少し顔が赤くなってしまった。
もうすでに合流地点に到着していたシスティはその様子をジーっとただただ無言で見ていた。
その目線が余計に俺の羞恥心を刺激して、エリンとシスティの顔を見ることができずに俺は両手で顔を隠しそのまましゃがみ込んでしまった。
「アスティナ~、ごめんってちょっと言い過ぎたわ・・・」
「エリン・・・貴女はもう少し相手のことを思いやるべきかと・・・ほら、いまのお嬢様を御覧なさい・・・なんて愛らしい、ごほん、なんて可哀そうなアスティ」
「システィ・・・あなたちょっと本音が出ていたわよ!まぁこの感じのアスティナも可愛い、可愛いのは認めるけどもぉ・・・」
しゃがみ込んでいる俺の頭上で彼女たちが何やら会話をしている。
最初の方はまだ俺に対して謝罪をしていたようにも聞こえたが・・・後半以降は何やらアスティナの可愛さについて両者熱弁している。
俺はしゃがみ込んで恥ずかしがっているのが馬鹿らしく思えてきた、というかその会話に俺自身も加わりたいと思ってしまうほどに熱く語っている。
天岩戸とは全く展開は違うが・・・あの神様もこんな感じの気持ちだったのだろうか・・・。
俺はその場から立ち上がるとすぐにエリンとシスティの会話を中断させ、歩いて王都に行くことを伝えた。
彼女たちはまだ話したりなかったのか少し不機嫌そうにしながらも、先行して歩いている俺の後ろをついて来ている。
無言のまま歩くこと10分弱・・・王都の南門に到着した。
さすがは王都といったところか・・・冒険者の町の2倍・・・いや3倍はありそうな巨大な門が設置されていた。
門には色んなデザインが施されている、ただそれがなにかといわれると俺はすぐに答えることは出来ないが、門の上段箇所のど真ん中に描かれているものはすぐに分かった。
そのデザインは扉の中心に同じように描かれていた。
それは『クインテット・ワールド』で人族リーダーであった、【王国の守護者~アルト~】が装備していた盾のデザインそのものだった。
それを見た時・・・やはりこの世界は『クインテット・ワールド』に関連する世界だということを再認識した。
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