第123話 俺、異世界で飛行タクシーで王都に向かう
レイランからもらった羽根はいまポシェットにアクセサリーとして括り付けている、あまり難しいことはしておらずポシェットの紐に羽根の先端部分を円にして輪っかを作って通しているだけ・・・ただそれだけだとすぐに取れてしまう可能性があるため、いつ買ったか覚えていないがストレージに入っていた接着剤で輪っかが外れないようにガッチリ固定している。
俺たちは北門を通り、ただただ代わり映えの無い光景を横目に見ながら30分ほどトボトボと歩き続けている。
しかし、前方に王都どころか町一つ・・・建物一つすら見当たらない・・・しびれを切らした俺はエリンに王都までどれほどかかるのか聞いてみた。
「なぁ~、エリン・・・ちょっと聞いていいか、ここから王都までどれぐらいかかるんだ?」
「ミストから王都までは馬車で3日ほどで到着するんじゃないかしら。わたしも最近行ってなかったから、断言は出来ないんだけどね」
「・・・ふむ・・・馬車で3日か・・・・・・よし、飛行タクシーの出番だな!」
「そうね、わたしもいつそのことを言うのか待っていたのよ」
「・・・・・・うん?分かっていたのなら、言ってくれても良かったんじゃないか・・・気づかずもっと歩くとこだったぞ・・・」
「だって、アスティナのことだから飛ぶ瞬間を見られたくないのかなと思って・・・違うの?」
「確かに飛ぶとこを見られるのはあんま好きじゃないけどさ・・・でももうちょい早く言ってくれても良かったんですよ・・・エリンさん・・・」
軽くボヤいたところでいつものおんぶしているのか、逆に抱きかかえられているのか分からない体勢に入ると最後に麻ローブで俺とエリンの胴体をしっかりと固定し、安全を確認したところでドローでフライを引くと、そのまま唱える。
浮遊状態になった俺はシスティに王都までの移動方法について聞いてみる。
「システィ、俺たちはこのまま飛んで王都まで行こうと思うんだけど、システィはどうする?」
「私めは魔法が使えませんのでこのまま走ってついて行きますので、お気になさらずに・・・」
「おぅ・・・分かった。さすがに王都の門真ん前で降りるのはマズい気がするから、少し手前で降りるようにする」
「はい、お嬢様。それでは私めも少し遅れてついていくようにいたします」
「それじゃ、システィまたあとでな~。さて、エリン今から飛ぶけど舌噛まないようにな?」
「大丈夫よ、もう昔みたいにはしゃいだりしないわよ・・・。システィまたあとでねぇ~」
王都までの移動方法について確認がとれたことにより、俺は早速足に浮力を発生し上空を目指し飛翔する。
何度か飛行タクシーをしたことにより、どれぐらいの速度で進めばおんぶしているエリンに負担がかからず、なおかつ如何に目的地に早く到着するかを考えながら飛行できるようになった。
まぁ馬車で3日というのがどれほどの距離なのかは分からないが1時間から2時間ほどで到着するかなぁというゆるい到着時間を決めた。
それから飛行すること1時間・・・遠くの方にちょっとだけなにか囲いのようなものが見える。
ただ距離が離れすぎているため、ちゃんと視認をすることは出来ないが・・・あれがきっと王都アルレインなのだろう。
前にエリンをおんぶしたとき、シャドーウルフを倒してミストに戻る時に飛行タクシーを使った時は舌を噛むほどにはしゃいでいたのだが、今回は王都を指差したり、左右に首を動かして周囲を見たりすることもなくただただ大人しくしている。
それと樹海は町から北側に出て飛行で10分移動したところで北側・・・王都方面に伸びていた樹海は途切れていた。
町から南門から出てすぐに左手側に樹海ミストの入り口があるのだが・・・王都に行く途中にもこの樹海が続いているのにそっちから樹海に入る人はいないのだろうかと、ふと思ってしまった。
まぁそれを規制するために入り口を決めたのであろうとは思う・・・ヘタにあの樹海に入ると俺みたいに危ない目に遭うかもしれない。
俺の場合は危機を脱することが可能な能力があったこと・・・エリンに会えたことで事なきを得たが・・・一般人や低級冒険者ではそうはいかず、そのまま帰って来れない人も多いだろう。
そう思いながら、俺は遠くに見えた王都を目指して飛行を続けた。
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