第121話 俺、異世界でレイランにセルーンに近いものを感じる
戦闘を楽しんでいる時のセルーンのように瞳孔が開きっぱなしのレイランは彼の喉元にダガーを突き付けてまま、なにか尋問をしているようだ。
身動きを取ることができない彼を鑑定してみると・・・結論を言うとレイランの行動は確かに正しかった。
テキストにはこう書かれていた・・・強奪者~ランクロット~、犯罪歴を持っています。即通報しましょう・・・または処分しましょう・・・。
そのテキストを読んだ俺はついうっかり思った事をそのまま口に出してしまった。
「あー、こいつ犯罪者か・・・・・・あっ・・・」
「・・・アスティナ・・・・・・あなたも分かるの・・・すごい!すごい!・・・そぉ・・・こいつ、悪いヤツ・・・・・・」
俺とレイランの会話をダガーを突き付けられたまま、聞いていたランクロットは首から血が出るのもお構いなしになにやら反論し始めた。
まぁこいつがなにを言ったところでこいつがこのままお縄につくのは確定なんだけど・・・とりあえず聞いてみようか。
「お前、善良な市民にこんなものを突き付けやがって!!俺が一体なにをしたっていうんだ!!」
「・・・・・・あなた・・・悪い人・・・だから、ここ通るのダメ・・・」
「なにを証拠にそんなこと言ってやがるんだ!!証拠を見せろよ!証拠を!!」
「・・・・・・証拠はこれ・・・ほら見て・・・真っ赤っか・・・・・・」
反論しているランクロットに彼女は犯罪歴鑑定御用達の水晶を取り出して、彼に見せた。
システィが見せてくれた血を彷彿させるほど真紅だった水晶とは比べるのは酷ではあるが、確かに赤色に水晶が変化していた。
あの程度の色であれほどことが大きくなるのならば・・・これはあれだシスティを近づけないようにしないといけない。
その後、水晶を見せられたランクロットは反抗する意思が消えたのか、急に大人しくなった。
その様子を見たレイランは彼を引き渡すため、北門から3メートルほど東側にある小屋の前で座っているおっちゃんを手招きしている。
手招きされたおっちゃんは自分が座っているイスの横に括り付けていた縄を持って、こっちに駆け足で向かってきた。
俺たちがおっちゃんの方に目を向けた瞬間、ランクロットは町の外に出ようとやや前のめりになりながら駆け出したが、最初の一歩が地面に着地する前に彼女に足払いをされ、足を地面に着ける前に顔が先に地面に着いた。
そしておっちゃんがこっちに来るまでの間、レイランはランクロットの背に座り、彼が逃げられないようにしていた。
レイランは身長160センチ後半ほどでモデルさんのようにスラっとしていてスタイルが良く、ランクロットのような成人男性を抑え込むだけの力や体重は無さそうに思えたが、乗っかられている本人は今にも潰れてしまいそうなほどに苦しそうな悲鳴を上げている。
いまの俺の身体では確実にあ~なることは目に見えているのだが・・・ランクロットがあれほど辛そうにしているのかすぐには理解できなかった。
そんなとき隣にいたエリンがボソっとあることを呟いた。
「あの羽根・・・見た目以上に重たいのよね・・・・・・」
「なるほどな・・・白くてふわふわしてて綺麗だけど・・・あれが加算されているのを忘れていたわ、そっか、あれ重たいのか・・・」
「そうね~、わたしも一回乗られたことあるんだけどね・・・本当に死ぬかと思ったわ・・・・・・」
「・・・エリン・・・・・・お前、どんな悪さをしたらあんなことされるんだよ・・・マジで」
「・・・・・・あの子の羽根ってとても綺麗でしょ?だから・・・つい欲しくて、一枚引っこ抜いたのよね・・・・・そしたら、あーなったわ」
彼女はそう言って、どこか遠くを見始めた。
エリンが子供っぽいところがあるのは知っていたが、まさかそんな暴挙までしているとは思いもしなかった・・・そりゃ、レイランも怒るだろうな、有翼人のアイデンティティである羽根を本人に断りもなく無断で引っこ抜いたんだからな。
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