第120話 俺、異世界でレイランに出会う
レイランはふわっと俺たちの前に着地すると、さっきまで本当に寝ていたのか欠伸をしては右手で目をこすりながら、エリンに話しかけた。
「・・・エリンがこっち来るの・・・・・・めずらしい・・・どうした?」
「ごめんね、レイラン。ちょっとあなたをふたりに紹介したくて、降りてきてもらったのよ」
「・・・・・・そぉ・・・ここの門番してる・・・レイラン・・・ふぁぁぁぁ」
レイランは眠たそうに欠伸しながら、自己紹介をしてくれた。
そして彼女がこっちに近づいてくれたことにより、鑑定することができた。
ここ最近鑑定不可の人ばっかりだったこともあり、逆に鑑定ができたことに驚きつつテキストを読んでいく。
冒険者の町ミストの門番~レイラン~、常に眠たそうにしているお姉さんです。防壁の上でぼーっと空を見て一日を過ごしています。
第一印象としては群青色の髪と瞳の深い青、白い肌と羽根とのコントラストが魅力的なお姉さんといったところか・・・それよりも眠たそうだなという印象の方が先か。
彼女が柄頭に魔石をはめた銀製のダガーを腰に携帯しているのに気づいた俺は彼女も魔法を主軸としている職業だと思い彼女に質問も兼ねてこちらも自己紹介をした。
「俺はアスティナっていうんだ、よろしくな!」
「うん・・・よろしく・・・・・・アスティナ」
「おう、よろしく。ちょっと気になったんだけどさ、そのダガー、柄に魔石をはめているってことはレイランも魔法を使うのか?」
「・・・うん、使う・・・・・・レイランは魔法で戦う・・・ふぁぁ・・・」
彼女はテキストどおり常に眠たそうにしている。
その後次はシスティが彼女に自己紹介をすると、俺の時と同じようにゆったりと眠気と戦いながら話を聞いていた。
各自挨拶も終わると、レイランはまたすぐに日向ぼっこしに上に戻りたいのか、ちょいちょい空を見上げている。
そんな時、北門を通り過ぎようと剣を携えている男性がひとり町の外からこっちに向かって歩いてくる。
そしてその男性が北門を通り過ぎ町に入った瞬間だった・・・。
先ほどまで俺たちの前にいたはずのレイランの姿が消えていて、いつの間にか男性の前にまで移動したレイランは彼の喉元にダガーを突き付けていた。
距離としては10メートルほど離れていたはずなのだが・・・あの動きはセルーンに近いものを感じた、狂気的なものも含めて・・・。
俺が呆気に取られていると隣にいるエリンから、また驚くべき真実を告げられる。
「普段あんなに眠たそうにしているのに怪しい人が町に入った瞬間あーなるのよね・・・さすがはセルーンの教え子ってとこかしらね」
「・・・うん?レイランも俺と同じようにセルーンのあの訓練を受けたのか?」
「そうよ、あの子の場合は3年近く毎日訓練してたような気がするわ」
「あの・・・・・・実践訓練を3年間毎日だと・・・」
彼女の動きがセルーンに近いと思ったのはそのためだったのか、二週間でさえあれほどしんどかったのに彼女はそれを3年間毎日朝から晩まで訓練をし続けていたという・・・。
俺の場合はまだこのドレスの自然回復能力のおかげでたとえボッコボコにされたとしても、すぐに回復し始めるからいいものの彼女にそんな能力があるとも思えない。
幸い彼女も魔法が使えるとのことだし、それで回復をしていたのかもしれないがそれでも辛くしんどい3年間だったということが目に浮かぶ。
そんなことを思いながら、俺は同じ人に教えを乞うた姉弟子であるレイランの後を追うために駆け出した。
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