第119話 俺、異世界ではじめて北門に行く
その後師匠と別れ本屋をあとにした俺は町を出るため、リスタとガーランが門番をしている町の出入口である門を目指し歩いていると、隣を歩いているエリンから信じられない言葉を告げられた。
「ねぇ、アスティナ・・・王都は北にあるんだけど、わざわざ南門から出て行くって事はリスタたちに一声かけて行くの?」
「・・・・・・うん?・・・この町の出入口って・・・リスタたちがいる門だけじゃないのか?」
「この町は北門と南門の二か所出入口があるのよ・・・アスティナ、あなたまさか・・・・・・いままで知らなかったわけじゃないわよね?」
「・・・・・・知りませんでしたけど、だってさ、魔物を倒しに行くときとかいつもリスタのとこから行ってたし・・・」
「それもそうね、変な事を聞いてごめんね、アスティナ。それで・・・結局どっちから王都に向かう?」
エリンから北門か南門どちらから出発するのかを質問された俺は「えっと・・・北門からで・・・・・・」と答えると、踵を返し北門を目指して歩く。
昨日フライで上空から町の全体図を見たはずなのだが、あの時の記憶はシスティがセルーンをお姫様抱っこした状態で俺よりも早く町の合流地点にたどり着いていた記憶のインパクトが強すぎて、町の北側のことはすっかり記憶から抜け落ちていた。
歩くこと10分・・・北門が見えてきた。
北門は冒険者ギルドなどのギルドが並んで建っている場所と、ちょうど真正面にある魔物買取所の間にある通りからギルドの背後を通る様に伸びている道を曲がった先にあった。
何度もギルドや魔物買取所に出向いていたがこんなところに道があるのは知らなかった。
冒険者ギルドの裏手に演習場があるのは知っているし、何度もあの場所でセルーンの訓練を受けるために実際に足を運んでいたが内側からでは外の様子が見えなかったことと、訓練が終わったあとは電池が切れたかのように毎回スヤァっとなっていたのもあるかもしれない。
門の作りは南門とあんまりというか全く同じデザインに見える・・・それと肝心の門番がいないような気がする。
さらに歩みを進めどんどん近づいて行くが・・・やはり門を守っているはずの門番がいない。
俺が周囲を見渡していると、その様子を見ていたエリンから質問された。
「ねぇ、アスティナさっきからキョロキョロしてるけど、どうしたの?」
「あー、こっちは南門と違ってリスタやガーランのような門番はいないのかなと思ってさ」
「・・・・・・?あ~、北門にも門番はいるわよ・・・ただあの子はずっと壁の上にいるから、最初はそう思うわよね・・・」
そう言うとエリンは北門から繋がっている防壁の上を指差した。
俺は彼女が指差している方角に目を向けるとそこには天使のように真っ白な羽根が特徴的な女性が座っていた。
ただ町の外を監視していることもあり、ここからだと後ろ姿しか見えない・・・しかも、左右に揺れることもなく腕を伸ばしたりとか、身動き一つ微動だにせずただただ座っている。
「・・・なぁ・・・エリン、俺の気のせいかもしれないがあの人動いてなくない?」
「あ~、レイランはいつもあんな感じよ」
「北門の門番はレイランさん一人だけなのか?南門みたいにふたりじゃないのか?」
「あ~、あんなんだけどレイランは強いわよ。リスタとガーランふたりがかりでも相手にならないほどね」
「へぇ・・・そうなのか。俺には日向ぼっこしてるようにしか見えないのだが・・・」
門の前まで来るとエリンはレイランのことを俺たちに紹介するため彼女に降りて来るよう呼びかけた。
「レイラ~ン!!ちょっと降りてきて~~~~~!!」
「・・・・・・ふぁぁぁぁぁ・・・あ~、エリンがいる・・・」
エリンに呼ばれたレイランはすごくだるそうに返事をすると、さっきまで座っていた防壁から立ち上がるとその場から飛び降りた。
俺はその神々しく白い羽根を広げ降りて来る姿よりも・・・ある一点にのみ目がいってしまった・・・それはスカート。
彼女はスカートを履いてるにもかかわらず、恥ずかしがる様子もなく普通に飛び降りた・・・なにがとは言わないが彼女の羽根のように純白でした。
「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら
是非ともブックマーク、評価よろしくお願いいたします。




