第116話 俺、異世界で所持金がすごいことになる
その後システィからミスリル硬貨を渡された俺はその分もストレージ収容した。
次にエリンの方はというと師匠お手製のポーチにミスリル硬貨を入れるのかと思っていたが、彼女も俺に預かって欲しいと言ってきた。
そんな大金を持ってウロウロしたくないというエリンの気持ちも分からなくもない・・・俺もエリンの立場ならば同じことをしているだろう。
俺は自身の能力で収容しているため、俺自身になにかが起こらない限りは盗まれる心配もないわけだが・・・ストレージ機能付きのマジックアイテムにものを収容するとなると意味合いがかなり変わってくる、当たり前のことではあるがそのミスリル硬貨を収容しているマジックアイテムそのものが盗まれたら元も子もない。
ただ彼女の全財産であるミスリル硬貨8枚全てを預かると、今度は彼女が買い物をするときに使えるお金が無くなってしまうため、とりあえず手持ちとして金貨、銀貨、銅貨をそれぞれ100枚ずつを彼女に渡しておいた。
それにしてもアダマンタイト硬貨1枚とミスリル硬貨13枚・・・2億3千万円を持ち歩くとか盗まれる心配はほぼゼロに等しいとはいえ・・・まだ心臓がバクバクと激しく鼓動を鳴らしている、これはすぐにはおさまりそうにはない。
俺はふとミスリルのことであることを思い出した。
エリンにプレゼントしたミスリルの胸当ては金貨300枚だったはず、それなのにミスリル硬貨1枚の価値は金貨1,000枚というのはどういうことなんだろうか・・・。
俺とエリンの様子を気にしつつ対面に座っているヤマブキさんからある質問される。
「ほいで・・・妾が出来ることはこれぐらいなんやけど、汝らはこれから王都に行きはるんやんね?」
「はい、もう1件ある用事を済ませてからにはなりますが、それが済み次第すぐに出発する予定です」
「そうかえ・・・ほな、イクストリアはんにはことの顛末をちゃんと言っときよ。妾やセンチネルはんはいうてもギルドマスターやから、王都からあ~やこ~や言われると嫌でもせないかんけど・・・イクストリアはんやったら、それを無視して守ってくれはるから」
「ははは・・・俺が誰とは言わなくてもすぐに師匠と断言するあたり、ギルドマスターの名は伊達ではないってことか」
「おおきにな、商いに携わる者として情報こそが全てやからねぇ、妾たちからすると一番の誉め言葉やわぁ~。あとな、もう一度、念を押すけどイクストリアはんにはちゃんと言っとくんよ?」
「・・・・・・はい、分かりました」
俺はヤマブキさんから助言されたことを忘れないように肝に銘じた。
ここでするべきことを終えた俺たちは次の目的地である本屋に向かうため、商人ギルドを出ることにした。
俺たちはヤマブキさんに礼を言うと、彼女は微笑みを浮かべ立ち上がるとドアを開けてくれた。
「あっ、最後に一つだけ・・・ミスリルの胸当てを前に買ったんですが、その時って金貨300枚だったんですけどこのミスリル硬貨とはなにかが違うってことですか?」
「ミスリルは加工してしまうとその度に性能が下がるんよ、見た目はあんま変わらへんけどね。ほいで、この硬貨は精錬のときしか手をくらえてへんのよ」
ヤマブキさんの説明ではミスリル鉱石を精錬してミスリルにしてから、板金などの加工を加えるとその度に魔法耐性が下がっていくらしい。
このミスリル硬貨はその作業を一度しかしていないためとても貴重だということ、それは逆に言えば・・・ミスリルの性能を100パーセント引き出した装備を作る場合はとてつもない額になるということだ。
そしてヤマブキさんと別れの挨拶を済ませると、商人ギルドをあとにした。
今日の予定がキャンセルになったことを師匠に伝えるべく、早速本屋に向かい結界が張られているエリアに足を踏み入れたが、昨日と違って今日はシスティも弾かれることなく問題なく通過することが出来た。
部屋を覗くと案の定・・・この家の主である師匠はまだ寝ていた。
昨日あの後家に着いてすぐに寝てしまったのか、いつものネグリジェ姿ではなく昨日の服装のままだった。
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