第114話 俺、異世界で商人ギルドマスターに出会う
「すまないね、アスティナ君、エリン君、システィ君・・・帰ってきたら、なにかご馳走するよ」
「おぅ、楽しみにしとくぜ!」
「はぁ~~~~~~~~、行きたくないわ・・・でも行かないと後が怖いし・・・はぁ~~~~~~~」
「エリン・・・もう諦めましょう。それにお嬢様が行くと決めたのですから、私めたちはただ従うのみですよ?」
「わかってるわよぉぉぉぉ、システィ」
「それじゃ、センチネル。観光も兼ねて初王都を楽しんでくるわ~、何か土産も買ってくるからな!」
俺はセンチネルに軽口を叩くと部屋を出るためにソファーから腰を上げた。
エリンも俺に追従するように立ち上がると部屋のドアを目指して移動を始めた。
ただそれよりも早くにシスティがドアノブに手を触れ、俺が外に出るタイミングを見計らっている。
俺はセンチネルたちに軽く手を振り、別れを告げるとセルーン姉妹も同じように振り返してくれたが、センチネルだけはこっちに近づいてきた。
そこからセンチネルは俺にある助言をしてくれた。
「念のため・・・お金を全て引き出しておいた方が良い・・・・・・それと城に入る時はシスティを連れて行ってはダメだよ、あの城には水晶と同じような結界が張られている・・・アスティナ君、それがどういう事か分かるよね・・・」
「なるほどな・・・分かった。金のことだけど、全部引き出しておくのが良く分からないが・・・センチネルの言う事だし、とりあえず全額下ろしておくよ」
「うん、そうしておいてくれ。幸いキミにはストレージという能力があることだし、特に支障もないはずだ・・・それじゃ、すまないがよろしく頼む」
「あー、任せておけ!それじゃ、行ってきます!!」
冒険者ギルドの面々に別れを告げ、そのままセンチネルの部屋を出ると俺たちは王都に行く前に、センチネルが助言してくれたことを実行するために商人ギルドに向かうことにした。
実を言うと俺は商人ギルドに足を運ぶのは今回がはじめてだったりする、冒険者カードで売買が出来るため、硬貨を出し入れする必要性が全くなかったのだ。
それにストレージにもまだまだ硬貨が入っていたこともあり、現金払いの時も問題なく支払うことが出来た。
冒険者ギルド、商人ギルド、職人ギルドの三つのギルドはそれぞれ並び立つように建てられており、正直徒歩1分どころか、30秒もかからない距離にある。
きっとセンチネルのことだから、もう商人ギルドにも俺たちが大金を下ろすことを伝えているはずだ。
商人ギルドに足を踏み入れた途端、「汝がセンチネルが言っていたお子かへ?」と狐のような耳をピコピコ動かしながら、容姿端麗な女性が奥からゆっくりとこっちに向かって歩いてくる。
髪と瞳は両方とも黄色で髪の方は長い髪を髪飾りでひとまとめにしている、服装は和服でシンプルなデザインながらも所々に綺麗な装飾が施されている。
彼女はさらに俺に近づくと、俺自身を査定するかのようにジロジロと見ながら声をかけてきた。
「も~しもし、汝聞こえておるかへ?」
「あっ、はい、センチネルからということでしたら、俺で間違いないと思います。申し遅れました・・・アスティナといいます」
「ちゃんと挨拶出来るなんて、えらい、えらい。妾はヤマブキといいます、どうぞよしなに」
「はい!よろしくお願いします!!」
「ふふふ・・・ほな、アスティナはん、エリンはん、システィはん・・・ささこちらへどうぞ」
俺たちはヤマブキさんに案内されるがまま、奥の部屋について行く。
部屋の感じはセンチネルの簡素なものとは比べものにならないほどに豪華絢爛なものであり、見たことがない装飾品やもう鑑定結果など見なくてもすぐに高いと分かるような宝石の数々・・・。
彼女に勧められるままソファーに腰かける・・・するとそのまま埋もれてしまうのではないかというほどに沈んでいく・・・こういうやつを昔テレビの広告とかで見たことある、まさかそれをこっちの世界で体験することになるとは思いもしなかった。
「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら
是非ともブックマーク、評価よろしくお願いいたします。




