第112話 俺、異世界でSSS級冒険者になる
俺とエリンは早々に承諾をすると、冒険者カードに金額を振り込まれるのをジッと見ながらただその時が来るのを待つ。
冒険者カードに文字が浮かび上がってくる・・・そしてそこに記された金額は金貨5,000枚つまり日本円にして5,000万円ということになる。
もちろん3人で金貨5,000枚ではなく・・・ひとりにつき金貨5,000枚。
これでも働くか無くてもいいんじゃないだろうか・・・いままでの倒してきた魔物の素材や貯金で生活できるんじゃないだろうか。
そんなことを考えてしまえるほどにもうお金で困ることはなさそうだ。
隣にいるエリンもばんざーいと両手を挙げては降ろしを繰り返し、喜びを身体で表現している。
システィはエリンや俺とは対照的にそもそもお金にあまり興味がないらしく、振り込まれたのを確認するとすぐにカードを胸元にいれていた。
そして待ちに待った冒険者の昇級の時がきた。
「アスティナさん、エリンさん・・・両名をS級に昇級いたします」
「まさか・・・A級を通り越してS級になれるなんて、思ってもみなかったぜ!」
「あわわわ・・・いざS級になると、心臓バクバクしてきたわ・・・あっ、これが昔アスティナが言ってた心臓爆発するってやつかしら?」
「そんな昔のことを思い出さなくてよろしい・・・・・・それにあれはまた意味合いが違うしな・・・」
センチネルの計らいで俺たちもシスティ同様にS級冒険者として昇級してもらえるようになった。
実際にはシスティがオークエンペラーを倒したのだが、ひとりで討伐したことにするよりもパーティーで討伐したことにした方があとあとやりやすいとのことだった。
S級になって喜んでいる俺たちにセンチネルは軽いしゃべり方で追加であることを伝えてきた。
「えっと・・・キミたちのそのS級だけど・・・・・・冒険者としてはSSS級として認定しているから、もちろんシスティ君もだよ」
「・・・・・・はっ?センチネル・・・マジか・・・それって、俺がお前やセルーンお姉ちゃん、セレーンさんと同じ扱いってことなんじゃ・・・」
「そういうことだね!これで冒険者ギルドの後ろ盾も手に入ったことだし、万々歳じゃないかアスティナ君!!」
「なんか・・・またうまいこと踊らされている気がしなくもないが、契約として取り決めたことだしな・・・有難く頂戴するよ!!」
「それはそうと・・・エリン君が口をパクパクさせて止まっているけど・・・あれはなんだい?」
「あー、あれはな・・・現実を受け止められなくて、自分の世界に逃げているだけだから、そのうち元に戻るからほっといてくれていいよ」
俺の説明を聞いたセンチネルは「へぇ~、そういうのもあるのか」と妙に納得していた。
とりあえず討伐依頼の報酬も受け取り、ひとまず今やっておくべきことが済んだタイミングで俺はストレージからゲオリオさんに頼んで作ってもらったシャドーウルフの弁当取り出した。
「はい、これゲオリオさんお手製の弁当な。センチネルとセルーンお姉ちゃんとセレーンさんにもおすそ分け」
「ボクたちに・・・ありがとう、アスティナ君。あの宿屋のご飯が美味しいのは聞いているんだがなかなか食べに行く時間が無くてね」
「正直な話な・・・センチネルのはついでだ・・・。昨日一緒に戦ってくれたセルーンお姉ちゃんと献身的に看病してくれたセレーンさんのために作ってもらった」
「ありがとう、アスティナちゃん。あとでゆっくりいただくわ」
「アスティナさん、わたしの分まで用意してくださってありがとうございます」
三人に礼を言われた俺は「俺よりも今度ゲオリオさんに会ったときにそれを伝えてあげてくれ、あの人絶対喜ぶからさ」と返した。
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