第102話 俺、異世界でデスサイズを覚える
まず最初に手に取った絵本は【いたずら好きのクリストフ】というタイトルがつけられたものだった。
いたずらばかりしていたクリストフ少年は町の人からも同年代の子たちから嫌われる存在だった。
いつものように家の屋根に上って仰向けで寝転がり、次にするいたずらを考えいるとふと町の外で土煙が上がっていることに気づく、クリストフ少年はそれがなにかすぐには分からなかったが、それが徐々に自分たちが住んでいるこの町に向かって来ているかのように土煙が近づいてくる。クリストフ少年はやっと目視が出来る距離まで近づいたときにそれがウルフの集団であることを知って・・・。
という感じのストーリーだったんだが、少年の食いちぎられる描写まで書く必要あるのか・・・子供向け絵本とは一体。
次に読んだ絵本は【金貨とパン】というタイトルでこれはその日暮らしで今日食べるパンさえ買えない少年と裕福な家に生まれた少年との友情物語。
裕福な少年が貧しい少年に金貨を手渡す、貧しい少年の知識の中では硬貨といえば銅貨と銀貨しか存在しないため、手渡された金貨の価値が分からずにそれを裕福な少年に返してしまう、裕福な少年は返された金貨をそのまま家に持ち帰る。
次の日、裕福な少年は硬貨をそのまま持って行くのではなくてこれでパンを買って持って行ってあげようと考え、朝一で買えるだけのパンを買い貧しい少年に会いに行くが・・・。
これも最後はまぁなんとなくそんな終わり方をするんだろうなとは思っていたが、それよりも金貨で買えるだけのパンとか、あの宿屋で提供されているパンは銅貨1枚で2個買えるわけで、てことはこの裕福な少年はパン200個持って会いに行ったことになるんだよな、売ってる店もすごいがそれを平然と持てる少年の設定がすごすぎて、悲しいストーリーだったはずなのにそっちの印象が強すぎてあんまり覚えていない。
この絵本がいつ執筆されたものかは分からないので、もしかしたら硬貨の価値観も違っていたかもしれないがそれでも少年が持つには多いような気がする。
3冊目に選んだ絵本は【迷子の死神さん】というタイトルで、さっきの2冊とはまた毛色の異なるもの。なぜか分からないがこの絵本にはなにか惹きつけられるものがあった。
まず絵本とは思えないほどに黒い絵本に煌びやかな装飾が施されている。
値段も他の絵本は銀貨1枚なのに対してこれは金貨1枚という通常販売されている絵本の10倍の値段。
早速ページをめくり読んでいった、ストーリーとしては新人の死神が初仕事をこなして家に帰ろうとするが道中で迷子になってしまう・・・そこからいろんな人たちに助けられて無事家に帰るという話だ。
まぁ魂刈り取ってとかはあれだが・・・迷子が助けられて家に帰るという部分とか結構どこにでもありそうなストーリーではある。
最後まで読み終えて絵本を閉じて、本棚に戻そうとした時だった。
魔法書で魔法を覚えた時のような感覚に陥った、俺は絵本を本棚に戻すとすぐにショップを発動して、新しく覚えた魔法を調べることにした。
いつもの魔法が並ぶ中に一つだけ明らかに違う魔法が追加されていた、これが今回新しく覚えた魔法で間違いないだろう。
なぜそれが分かるかって・・・一目瞭然だ、そもそも俺が覚えている魔法は上級魔法まで、そのレアリティを超える最上級魔法がショップに並べばすぐに分かる。
まさか絵本から最上級魔法を覚えることになるなんて思ってもいなかった、その魔法の名前はデスサイズという。
闇属性で効果はこう書かれている。死神から鎌をレンタルします、レンタル中は常時HPが減少します。
この魔法は死神から鎌を借りることが出来るようだ、ただし借りている間は常にHPが減り続けるらしい・・・このドレスを着ている限りは特に問題はなさそうだ、なぜならこのドレスには自動回復機能が付与されている。
いますぐに試してみたいと思ったが鎌を借りるということは発動した瞬間、鎌が上から降って来るのか手元に出現するのかは分からないが屋内で試すのにはちょっと無理がありそうな気がする。
これは明日にでも討伐依頼のついでに試してみることにしよう。
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