お茶会に行こう 2
そもそも、今日は記念すべき私の2回目の誕生日ですよ。
重要なことだから繰り返しますが、2回目の誕生日なのですよ。
何が悲しくて2才からこんなに考えなきゃいけないのか。
いろんなことのいろんな手違いでここにいるのに生きるって辛い。
からくて、つらいのよ。
ほとんどやけくそな子供は我が儘姫の攻撃を終わらせ書庫に向かう。
自室にいると我が儘姫に捕まるので最近は書庫に籠っている。
欲しい資料が揃いやすく、人もほとんど来ないからだ。
ほとんどの意味は大人の事情。
使用人たちの逢い引き場所と被るのはご愛嬌なのよ。
お邪魔虫なのも知ってるけど、向こうは気づいてないからいいのよ。
私は使用人たちより立場は上なはずだし。
ほんと、いつも誰かしら盛ってるから困るのよね。
音楽プレイヤーが欲しい。
ノイズキャンセリング機能だけでもいいから欲しい、切実に。
ほとんどの確率で被るのは最近雇われた執事見習いのアダム・キャスパー。
彼は毎回お相手を変えて使っている。
しかもアダムは大変モテるらしくいつも女性の方が迫っているのだ。
そして彼は優しく受け入れるだけ。
最近では私がいると知りながら断らないので、腹黒さんだと思いつつある。
アダムは優秀で優しい上に侯爵家の三男坊だからメイドさんや侍女さんから幅広くアプローチされている。
あと、にゃんにゃんするだけで本番はしないからありがたい。
本番されたらそっと消えるしかないからね。
ついでに最近気づいたけど何人もの女性とにゃんにゃんして大丈夫な理由は考え方が中世ヨーロッパ貴族的だからと言える。
一夫多妻制的考えがあり、女性は打算的だからね。
優秀な種持ちを自分のいいようにしたいのはわかる。
だが、考えてもみて欲しい。
今は仕事のお時間なのだよ。
休憩の時間も必要かもしれないが、5分10分を何文句つけてるんだというかもしれないが、仕事は仕事。
プライベートとは切り離して欲しいものだね。
おばさんくさい?
中身はおばさんだからね、仕方ない。
それにしても、今度薬草を育てたいからお父様に温室でもおねだりしてみようかな。
切実に鍵がかけられて一人で考えられる場所が欲しい。
「アレクサお嬢様、旦那様がお呼びです。」
気づけば誰もいなくなった書庫にお父さまの執事であるウィルがいて、机で計算式を並べて頭を抱えている私の真横からぬんと顔を近づけてきた。
ウィルは見るとはなしに計算式で埋め尽くされ散乱している紙の山を見て驚いた。
それもすぐにいつもの涼しい顔に戻ったんだけどね。
この膨大な計算式と地図、数本の専門書をみて、上下水道の試算だとはすぐに思わないだろうが異常な子供だとは思われただろうな。
大事なメモたちを集めつつ計算が楽しいふりをする。
バレてもいいけど目的の説明がまだできないからね。
それから、ウィルは何もきくことなくお父さまの書斎に連れていかれた。
なんだろう。
気分はドナドナだ。
売れていくんだな。
違うか。
この時は小さな嫌な予感は気にしないようにしていた。