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勇者の日誌  作者: Yuupon
第二章 目覚め
9/25

09(勇者日誌)

 



 六十一日目

 結局、危険種討伐に行くことになってしまった。

 武闘家がキラキラした目で見てくるけど、俺の目は多分濁ってると思う。

 とりあえず今日は作戦説明的な感じで、話を聞くだけだった。

 どうやら敵は空を飛ぶらしい。

 出発は明日らしいので、今日一日準備しろとかどーとか。

 最近の修行の成果を試すチャンスだと思ってるのか武闘家はめちゃやる気だった。

 危ないからやめた方が良いとは言ったけど、聞く耳もたんし。

 そりゃあ武闘家はオーラとか使えて、分身とかして人間辞めだしてるからいけるかもしれんけどさ。俺はただの一般人だぞ? もう少し俺のことも考えて欲しい。

 




 六十二日目

 危険種討伐にはアーシアさんも来てたようだ。

 武闘家と一緒に無双してた。

 ちなみに危険種の正体はこの前のドラゴンだった。片目に青銅の剣がぶっ刺さってたのをみて気づいたわ。

 前に何で逃げ出したのか不思議だったけど、納得した。そりゃ片目を潰された上に、戦いにくい洞窟なのを考慮したら逃げるわな。

 そのせいかアホほど目の敵にされた。

 つか、攻撃全部俺に飛んできたような気がしないでもない。

 腹が立ったから鋼の剣をぶん投げてやった。

 そのあとは終始逃げ回っている間に戦闘が終わったっぽい。

 終わったっぽいというのは俺が気絶してたからだ。

 逃げ回ってる最中に何かが頭に当たったみたいで、それ以後の記憶がない。

 近くに黄色い球が落ちてたから多分それが原因だろう。どっから落ちてきたのか知らんけど何だこれ?

 一応高く売れるかもしれんから持って帰った。





 六十三日目

 鑑定屋に例のオーブを持っていったら「それを売るなんて とんでもない!」と言われた。

 いや、良いからせめてこれが何かくらい教えろや。

 何店舗か回ったけど皆買い取ってくれなかったのが悲しい。

 見た目は割と高価そうなんだけどなぁ。

 武闘家に見せたら。

「高純度の魔力? いえ、オーラでも魔力でもない力を感じますね」

 とのこと。

 



 六十四日目

 魔法使いだし何か分かるかも、と例のオーブをアーシアさんにプレゼントしたら抱き着かれた。

 いや、めちゃドキドキしたわ。女の子とハグしたの初めてだし。おっぱい大きいし。いいにおいするし。

 とか思ってたらアーシアさんが急に光り出してビビった。

 手の中のオーブが吸い込まれていったように見えたけどあれは現実なのか?

 最後にはお礼を言われたけど、魔法使い的にはそこまで喜ぶようなものだったのかな?




 六十五日目

 また船が転覆したらしい。

 しかも今回は討伐隊の船がやられたそうだ。

 生き残って流れ着いたやつが言うには雷を操る化け物が居るとかなんとか。

 うへー、怖い話だ。

 武闘家がワクワクした顔をしてたけど今回は行かないからな。

 というかやっぱり君、戦闘民族だったりしない? 実は尻尾生えてるとかそんなことないよな?

 



 六十六日目

 最近、武闘家が戦闘のことばかり考えている気がするので遊びに誘った。

 本人は修行がとか言ってたけど無視だ無視。

 修行ばかりでは伸びないぞ、と言ったら渋々着いてきた。

 んで、やっぱりというか武闘家はあまり遊び慣れてないようだ。

 欲しい服とかを聞いてみたけど戦闘に支障が出る服は嫌らしい。見た目より利便性重視だとか。

 どおりでこれまで道着らしい服しか着てないわけだ。

 とはいえ戦闘以外の日もあるわけで、私服の一つくらいはいるだろうに。

 おしゃれに興味がないのかとも思って聞いてみたけど、別にそういうわけではないとか。

「……私だって興味はありますけど、でも今は楽しんでる場合じゃ」

 とか、モゴモゴ言ってたから店員さん呼んで全身コーデしてもらうことにした。

 嫌がる武闘家が店員さんに連れてかれる様子は微笑ましかったぜ。

 で、コーデを待つ間に、戦闘中でも問題なく普段使い出来るものが無いか別の店員に聞いたらアクセサリーが良いらしい。

 案内されたコーナーに置いてあった小さな花の髪飾りを購入した。

 ショートヘアとはいえ、髪留めくらいは付けてても問題ないだろう。

 で、その頃になってちょうど武闘家が帰ってきた。

 赤を基調としたフリル満載のミニスカを押さえてめっちゃ慎重に歩いてた。

「な、何ですか……こっちは。スカート履きなれてないんです。あの、恥ずかしいから見ないでください」

 うん、うんうん中々良い。ゴスロリチックだが、お嬢様的なイメージがある。

 店員さんにご購入されますか? と聞かれたので即決で購入した。

 そのまま着ていくかと言われたのでそちらも頷いた。本人がめっちゃ反抗してたけど、無視無視。

「なーーーーっ!? 鬼ですかあなたは! それでも勇者ですか!?」

 うるせえ。

 そんなわけで一日中連れまわしてやった。

 わーぎゃー言ってたけど多分、本人も楽しんでたと思う。

 あ、そうそう。

 宿に帰った後、元の服装に戻った武闘家に髪飾りを渡しておいた。

 



 六十七日目

 武闘家が昨日渡した髪飾りを付けてくれていた。

 どうやら気に入ってもらえたようで何よりだ。

 修行の方も早めに切り上げているようだった。

 あの子は目標に一直線に突き進むタイプだからな。

 まだ子供なんだから無茶せず成長していって欲しい。




 六十八日目

 思うところがあって、トレーニングを始めた。

 内容としては武闘家と狩りに行く日以外にも一人で狩りに行くこと。

 最近は特に複数人で戦ってきたからか、久々な感じだ。

 二人で戦ってる時は思わなかったけどここらの魔物も強い。

 避けることに集中すれば問題ないが、攻撃を挟むとどうしても一発は貰いやすいんだよな。

 火炎切りが効くからそれなりには戦えるけど。

 まぁ戦闘に関しちゃ俺は素人だし、とにかく実践で鍛えるしかねーか。 




 六十九日目

 第二次討伐隊がようやく結成したらしい。

 今日から嵐の魔物の討伐に向かうとか。

 どうか頑張って討伐して欲しい。

 うん、マジで切実に頼む。

 街の人の話を聞く限り、二週間くらい貿易がストップしてるみたいだしな。

 これ以上続くと経済への影響が大きいとか。

 まぁそれはともかく俺は今日も狩りだ。

 一人で戦うにあたってここらへんの魔物の名称も調べてきた。


 スライム:核を持っており、そこが潰されない限り生き続ける。人に纏わりつき、窒息させることで殺す液体状の魔物。

 オクトスピア:八本の手で槍を巧みに使うタコの魔物。どの腕でも槍は扱える。

 ビリリクラブ:痺れる泡を吐くカニの魔物。その巨大な腕から放たれる痛烈な一撃は、数々の冒険者を葬ってきた。

 アイスクラゲ:ふわりふわりと浮きながら、氷属性の魔法アイスを撃ってくる。稀に魔力の多い個体がアイシクルを撃ってくることも。

 

 基本はこの四種だ。

 個人的に一番面倒なのはスライム。割とでかいし、どう戦っても核を斬らなきゃいけない以上粘液まみれになる。しかも臭いも結構臭いから、夏場は最悪だろうな。

 厄介なのがオクトスピア。対策が分かればどうにかなるビリリクラブと比べて、オクトスピアは単純に槍の扱いが上手い。ちょっと気を抜くと普通に槍で串刺しにされる。

 特に複数の魔物を相手にしてるとグサグサ刺してくるからマジで勘弁してほしい。傷は治せても痛いもんは痛いし、何より洗濯がだるいし。

 というわけでガンガン戦った。

 スライム三匹、オクトスピア二匹、ビリリクラブ四匹、アイスクラゲ一匹。

 それなりの戦果だろう。旅だった当初は移動だけでゼーゼー言ってたものだが、最近はかなり体力が着いてきたと思う。

 足も筋肉がついてきたし、何より腹筋が少し割れてきたからな。

 お腹周りのたるんでたニート時代からすごい進歩を感じる。

 この調子で頑張ろう。





 七十日目

 またもや船が沈んだらしい。

 これで第二次討伐も失敗か。

 生還者が持ち帰った情報を元にまた、新たな討伐隊を組むという話を聞いた。

 それと街がこの異変に懸賞金を掛けたとか。

 街にとっては大損害も良いとこだろうし、いい加減解決したいのだろう。

 



 


 




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