11(武闘家日記)
五十一日目
勇者に着いていく宣言をして一日目。
いつも通り修行をしていると勇者が声を掛けてきました。
どうやら私のオーラが気になるみたいです。
軽く説明したら便利だなーと言っていました。
俺にも使えないの? と聞かれましたけど無理です。
これは私の一族にしか継承されないものですからね。
……今書いてて思いましたけど、何故戦士のおじさまはオーラの鍛え方を知っていたのでしょうか?
五十二日目
勇者にオーラの特訓を手伝ってもらうことにしました。
彼の意見が欲しかったというのもありますが、一番は私の今の実力を分かってもらうためです。
そう思って本気でオーラを練り上げて、殴ってみました。
魔物ならこれでワンパンですけど、勇者はあっさり耐えられるようです。
まだ未完成なのもありますが、ガイコツリーダーに腹を貫かれてすら動ける人ですから、まぁ当然なのかもしれません。
二つアドバイスをくれました。
一つ目、オーラを人に向かって使わないようにしましょう。
二つ目、オーラは使いようによっては色んな使い方が出来ます、よく考えましょう。
……言い方が子供向けなのが引っかかりますが、勇者の言うことですからね。
というか凄く念押ししてきましたけどやりませんよ!? 私が人相手に使うのは勇者だけですから!
五十三日目
勇者と次の目的地について話し合いました。
どうやらノーランドに行こうと考えているようです。
港町としても大きいと聞きますし、他の大陸に行くことも考えたらいいんじゃないでしょうか?
その後ルートを調べに行ったところ、洞窟ルートしかないようです。
とりあえず松明を沢山買いました。
五十四日目
魔法使いのお姉さんがノーランドまで一緒に着いてくることになりました。
勇者の知り合いでアーシアさんというらしいです。
金髪のとても美人な女性でした。
勇者の知り合いというだけあって実力もかなりのものですね。
氷魔法の扱いが上手く、次々と魔物を仕留めてくれるので私も戦いやすかったです。
ちなみに灯りはアーシアさんがライトの魔法で照らしてくれたので松明は無駄になりました。
勇者が嘆いてました。
五十五日目
洞窟内を歩いてる時に勇者が急に「次の戦闘は任せてくれ」と言い出しました。
どういうことだろう? と思っていたら急にドラゴンが出てきて驚きました。
何で洞窟の中にいたのかは分かりません。
勇者が真っ先に斬りかかっていったのを見て、そこで我に返った私が助けに行こうとしたら何故かアーシアさんに止められました。
理由は分かっています。オーラの総量が底をつきかけていたからです。
多分、それが勇者には分かっていたのでしょう。
結局、勇者は一人でドラゴンを追い返していました。
……勇者にとってオーラの使えない私は、まだ足手まといでしかないのかもしれません。
早く、早く強くならないと。
五十六日目
ノーランドに着きました。
潮風のかおる白亜の街です。
港には何隻もの船が停泊し、海の男たちが歩いていました。
街中には露店が多く、また貿易が行われているからか普段見ないようなお店もたくさんありました。
今日のところは宿を取ってしっかり身体を休めて、明日からまた修行を始めましょう。
五十七日目
両足にオーラを纏えるようになりました。
腕にオーラを纏えるようになった時にコツをつかんだからか、かなり早かったですね。
どのくらい動きの変化が起こるか、一日かけて確認しました。
少なくともゴルドの街で戦ったシャドウウルフよりも早く動けますね。
ただ、目測を誤ると移動しすぎてしまうことがあります。
一度木にぶつかってしまいました。
……まだちょっとぶつけたところが痛いです。
明日からは広いスペースで試そうと思います。
五十八日目
今日は勇者と共に街の外に狩りに行きました。
武闘家にとっての問題は遠距離攻撃が出来ないことです。
いかにオーラが強くとも、近づかなければその力は発揮できません。
そこで、素早く二つの地点を移動することで残像が出来ないかを試してみました。
うん、思いの他上手くいったのではないでしょうか?
実際に魔物は騙すことが出来たようですし。
ただ、素の体力をかなり使いますねこれ。
これならまっすぐ行ってぶっ飛ばす方が早いかもしれません。
あと足にオーラを纏うと、それぞれの足にオーラを纏わなくてはならないので、中々難しいですね。
正直使うオーラにかなり無駄があります。
もっと使うオーラ量を少なくして同じ効果を発揮出来る様にしないと……!
五十九日目
勇者に稽古をお願いしました。
一度断られましたが、二回頼んだら引き受けてくれました。
そして、足にオーラを纏って攻撃を仕掛けましたがやっぱり勇者、強いです。
全部、決定打を外されました。
思わずムキになって拳を振るいましたが、軽く避けられる始末。
残像を使ってかく乱してもあっさり見抜かれましたし、隙がありません。
しかも避けてる割にこっちを一度も攻撃してこないのであからさまに手加減をされていると感じました。
その後もラッシュをしましたが、結局決定打は一度も当たらなかったです。
それでも何とか一矢報いようと最後のオーラを振り絞って、その後の記憶がありません。
気づいたら宿屋で寝ていたので、恐らくは勇者が運んでくれたんだと思います。
勇者には無理するなと怒られました。
……悔しいです。
やっぱり、勇者にとって私はまだ一緒に戦える存在ではないのでしょう。
強くなりたい、少しでも早く。
六十日目
勇者と共に依頼を受けにカルロスの酒場に行きました。
どうやら最近、街の近くで危険種の魔物が現れたそうです。
既に一般人も襲われているそうで緊急度が高いとか。
勇者を見ると、彼も何やら深刻そうな表情を浮かべていました。
……そうですよね。
勇者が困っている人が居たら助けに行くような人なのは私もよくわかってます。
代わりに後のことはやっておきますと言ったら、先に帰るとのことでした。
というわけでカルロスの酒場で危険種討伐のクエストを請け負いました。
勇者に置いてかれないようにしっかり準備をしないと!
六十一日目
危険種討伐の説明会が開かれました。
作戦説明といった感じで、パーティごとに配置を決めるようです。
私達は敵と一番近い位置で交戦する役割です。
不謹慎かもしれませんが、こういう場面って勇者の物語に出てくる一節みたいで興奮しました。
やるからには全力です。
少しでも勇者の役に立てるように頑張るぞー!
六十二日目
危険種の正体、この前勇者が戦ったドラゴンだったんですね。
片目に勇者の青銅の剣が突き刺さったままだったのですぐに分かりました。
……文字通り勇者が目の敵にされていて、すごく戦いやすかったです。
どれだけ攻撃しても全部勇者に攻撃が向かってて、はい。
でも、勇者凄かったです。ドラゴンの攻撃を避けながら鋼の剣を天に向かって投擲して、ドラゴンのもう一方の目も潰していました。
お陰でドラゴンが平衡感覚を失って落ちてきたので、後はタコ殴りでしたし。
それにしてもドラゴンの身体って硬いですね。
オーラを全力で纏った腕でようやく貫通して、まともにダメージが入りました。
魔法は普通に効くみたいでしたけど、それでも耐久力もかなりありましたし。
途中まで削ったところでガス欠になって、皆さんにお任せすることになりました。
最後はアーシアさんがトドメを刺して戦いは終わりました。
六十三日目
勇者が不思議な玉を見せてくれました。
なんというか、黄色く光る玉ですね。高純度の魔力? オーラ? いずれとも違う力でよく分かりませんでした。
六十四日目
今日も一日中トレーニングです。
基礎トレーニングをみっちりやった後に、オーラを全身に纏うチャレンジを始めました。
でも、正直実戦で使うのは難しそうです。
何故かというとオーラの消費量がえげつないんですよね。
三十秒。これしか持ちません。
終わったらバタンキューです。
六十五日目
海で嵐を起こす魔物が出ている話を聞きました。
何でも雷を落とすらしいです。
現在は第二次討伐隊が組まれているとか。
この魔物のせいで船が出せず貿易が出来ないそうで、「このままじゃ経済無茶苦茶だよ」と街のおじさんが嘆いていました。
……勇者のことです。
近いうちにこの魔物も討伐しにいくことでしょう。
それまでにしっかり強くならないと……!




