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白き魂の黙示録  作者: code.e
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町と見る景色

 ベルゼ帝国、皇帝ゲルグ・フォン・ヒートベルトが治める有翼人の国。

 400年前に建国して以来、同時期に建国した獣人による国家ローズベルドと争いの日々を続けている。領土は人口比率の高いローズベルドが6割を占めており残り4割がベルゼ帝国である。


 京弥一行が向かっているのがベルゼ帝国ローベルバーグ領地の村々だ。

 京弥はローベルバーグ候滞在都市に向かいたかったが、帝国全土に光の戦士が召喚された情報がすでに知れわたっている為に警戒レベルが上がっていると予想して警備の薄い村や町に情報収集に向かっている。


「この数キロ先に小規模の村があります。まずはそこで今回の目的である情報収集を致しましょう。それで京弥様まずは何を重点的にお調べなさるのですか?」


「そうだな、まず欲しいものがあるんだが・・まず有翼人が使っている武器が欲しいそれとできればでいいのだが地図が欲しいと思っている。情報は下人の中で反抗などをしている組織や単独でもいいから人材の情報かな。」


「人材ですか・・・少し心当たりがあります。先行して町に行ってもよろしいですか?思い当たる人材がちょうどこの付近に潜伏しているはずなので聞き込みを行っておきます。


「うーん単独行動は避けさせたいんだが・・・了解。無茶はするなよ。どこで合流かは玲と決めといてくれ。俺は未開の地でまったく分からないからな」


「ありがとうございます。ではのちほど!」


 そう言うと可憐の足が赤色に光り始めた。膝下まで履いていたブーツの刻印が煌々と赤色に脱兎のごとく走り去っていった。


「うおおおお!スゲー!玲あれも魔法か?」


「はい。魔法力の高い戦士は戦闘時にどこか1ヶ所に意識を集中させて戦います。それの応用として移動時に使うとあのような使い方になります。普通の下人の魔法力では使う者はいませんが可憐程の魔法力を持っているならば平気ですね」


「1ヶ所か・・・つまり全身にも出来たりするのかな・・目とかにも?」


「そこまで細かく魔法力を分散させるのはかなりの精神力と集中力が必要となりますが・・私にも可憐にも肉体の細部までは魔法集中は行えません。」


「・・・分かった。集中力か・・うーん・・今度試してみるか。」


「あまり無茶な特訓はお控え下さいね。膨大と言っても回復する物ではありません、いつかは枯渇してしまうのですから」


「分かってるさ・・どこぞのゲームみたいに寝て回復!なら苦労しないわな。命削って魔法を使う、それだけはこの世界にきて一番身にしみてるよ。何せ俺らを守る為に魔法使って死んでいった人達を見てる訳だから。」


「・・思い出させてしまって申し訳・・」

 すっと京弥は玲の唇に指を近づける。


「謝るなよ。なんでもかんでも謝れば良いってもんじゃないぞ。言葉ってのは言えば言うほど効力は薄れてくんだぜ。たとえば好きってのも毎日言ってれば軽く感じでしまうけど肝心な時にだけ言うと重いし心に響くってもんだ」


「言葉・・・なんだかそうやって言われると素敵ですね。私は誰かに好きって言葉を言った事がありません。好きとはなんなのでしょうか?」


「いつか分かるよ。ふと気づいた時かそれとも急に訪れるか・・人それぞれだ!・・素敵な気持ちになれるぜ。例えそれが紛い物でも自分自身の気持ちで本物になるからな」


「それはいったいどういう・・」


「・・・その時に教えてやるよ」


 二人が話をしていると町の光が見え始めた。

 時間はすでに17時だった。集落を出てから早7時間最初の町に到着した。


 その町は、人口が100人程度の小規模の町だが他の村々につづく合流地点として賑わう町であり高速道路で言うパーキングみたいな雰囲気の町だ。

 服などの装飾品を売る店よりも飲食を扱う店が圧倒的に多く酒場も賑わっている。ここなら情報も得られそうだと京弥は何か進展があるかもしれないと感じた。


(ここなら旅人や奴隷商人の様な奴も多いから比較的自由に動けそうだな。治安もあまり良くはなさそうだし多少の揉め事がおきても大丈夫そうだ)


 京弥が不適な笑みを浮かべていると玲が京弥の前にすっと立ち


「顔が怖いですよ。着いて早々揉め事などおこさないで下さいね。京弥様は普段とても理性的でお優しいのにたまに想像もつかない行動をおこすので私は不安です!何かなさる際は申告してから行ってくださいね!」


 俺何かしたっけな?と京弥は考えたが、思い当たる節があまりなかった。だが自分の行動がどう思われるなど他人の主観で変わるものである為、まぁいいやと深く考えるのは止めた。


「可憐との待ち合わせ場所はどこなんだ?」


「この町にはシンボルの時計塔がありましてそちらに向かいましょう。時間的にも恐らく可憐も向かっている頃だと思います。」


 初めての町。

 羽の生えた人間、フードを被り道の隅をコソコソ歩く下人。町に入り改めてこの世界の格差をしりながら京弥は玲と共に時計塔に向かう。


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