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白き魂の黙示録  作者: code.e
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闇煉獄ー1

 あの惨劇から3日が過ぎた。


 京弥一行はあの場にいては次の追っ手が来る可能性が高いと玲と可憐が判断し虚ろな京弥を引きつれその場を後にした。


「そろそろっすかね可憐さん」


「ええ。そうね、あと少しでみえてくるわ」


 可憐がグレイの問いに答えた。

 京弥一行は人口が60人足らずの小さい有翼人の村に向かっていた。

 その村は現在の有翼人の聖騎士カタリナ・フォン・ローベルバーグの生まれた村で下人と有翼人が等しく暮らしている珍しい村だった。

 この村であるならば3日前から口数が少なくなってしまった京弥を少し休ませるには適してると皆が気を使い向かっている途中だった。


 だが京弥を時代・・時間は休ませてくれなかった。



「・・・・何か聞こえる」


 久々に声を発した京弥だった。顔を下に向けたまま虚ろな声で発言した京弥に玲は直ぐに反応して問いに答えた。


「どうしました?京弥様」


 そう言うと馬車の狭い空間だったが京弥に近づきうつむいた京弥の顔を下から見上げ心配そうに京弥を見つめている。


「何か聞こえる・・。何だこれは・・。人?獣?・・ノイズ?」


 京弥の耳には「ザザザザザザ・・・ガァァァァ・・・み・・み・・・つ・・」酷く耳障りな大きい音と共に幼児の様な声が聞こえていた。


「ザザザザザザ・・・・コロ・・・コロ・・・コロ・・み・・み」


 京弥はグレイに馬車を停めるように指示を出す為に馬車から身を出してグレイの肩に手を乗せた。


「グレイ。すまない停まってくれ。何か聞こえる。・・・それに何だか凄い嫌な気分だ・・。何だ?・・これは・・?」


 グレイの肩に手をあてたまま顔色がどんどん悪くなっていく京弥。よろめきながら馬車の荷台の方に後すざりして行きついには倒れてしまった。


「きょ・・京弥様!大丈夫ですか?」


「あ・・あぁ。すまない。何か目眩が・・」


 京弥の顔は真っ青だった。そして少し・・ほんの少し目の瞳が大きくなっていた。真っ黒な瞳が少し大きく、闇に染まるようにほんの少し大きくなっていた。


「ま・・まさか?」はっとする玲。

 玲は倒れた京弥の身体を後ろから支えるように持ち上げた。そしてすぐに可憐と目を合わせると両者は無言で頷いた。

 可憐は馬車から降りて周り一帯の空を見上げた。


「闇煉獄・・。どこですか・・?」


 可憐はぼそっと小声で話し上空を見上ていた。その時馬車の中で玲の身体に寄りかかるように身を預けている京弥が玲に言った。


「玲・・これは・・なんとなく分かるんだ。侵食していく感じ、そしてその成れの果てが今俺を呼んでいる」


「京弥様・・・」


 京弥は虚ろだった目を一度閉じて大きく見開いた。

 玲に寄りかかっていた京弥だったが足に力をいれ背筋を伸ばし玲と対面し頭をポンポンと優しく叩いた。


「ちょっと行って来る。なんとなく場所もわかるんだ」


「・・私も行きます。・・私も行かないと行けないのです」


「・・・・分かった。行こう」


 京弥は理由を聞かなかった。

 ずっと何かを隠している。それはずっと分かっていた。そして今、玲の力強い目を見て京弥は確信をしていた。これがきっとその答えなのだろうと。


 京弥と玲が馬車から降りると回り一帯の上空を探索していた可憐がすぐに駆け寄ってきた。


「大丈夫なのですか?まだ顔色が悪いようですが」


「大丈夫だ・・。今そんな状況じゃなさそうだ。グレイが不安そうだから守ってやっといてくれ」


 可憐の肩に手を乗せ京弥はニコリと微笑んだ。少し頬を赤くした可憐は心配そうに京弥を見た後、玲に視線をやり頷いた。


「分かりました。この場は私が死守しています。・・必ずここに戻ってきてくださいね」


「あぁ。約束する。必ず戻る」


 京弥の足が煌々と白く光始め隣にいた玲の身体をぐぃっと抱き寄せお姫様抱っこをした。


「ひゃ!・・」玲は小さく声をだして顔を赤くしている。そしてすぐさま京弥は何かが待ちかまえている方に向かった。


 数分もたたないうちに小さい村が良く見える高台に着いた京弥と玲。そしてその村の上に大きい真っ黒な雨雲の様な物が現れ始めていた。

 その黒さは尋常ではなく何度も何度も黒く塗った絵の具の様な黒さだった。

 そして数秒もしないうちに村を覆う様に黒い雲が上空に現れた。黒く覆われていない場所、京弥がいる高台までもが少し薄暗くなり気温も低下している。


「あれは闇煉獄。光の属性の白い魂の持主が闇に心を奪われるとなってしまう・・・京弥様が先程言いました成れの果てです・・・」


 玲は京弥に抱きかかえられたまま気まずそうに京弥に説明をした。


「・・あれは召喚士の罪。私達のエゴが生んでしまった罪・・・。申し訳ございません京弥様・・本来なら直ぐに言わなければならない事だったのですが」


 京弥が何かを言おうとしたその刹那、その黒い雲、闇煉獄から赤ちゃんのような黒い物体が降りてきた。

 アァー。アァー。とうめき声だけをあげ村の住人を食べ始めた。

 その物体は目も鼻も無くどす黒い人間の赤ちゃんの形をした物体。それがムシャムシャと人を食べている。


「俺はあれになるのか・・・。いやなる可能性か・・。玲、俺はお前の覚悟を知っている。お前達の覚悟は短期間だけど身を持って理解をしている。

 だからそんな悲しい顔をするな。怒ってないよ。何となくは分かっていた「何か」を隠してるってのは、だから大丈夫だ」


「で・・ですが・・・」


「それに、俺は闇になど落ちない。そんなヤワな心は持ってねえよ。確かに今回の事は少し気落ちはしたが絶望などしない。・・・こうなったら全部抱え込んでやるさ。この世界・・白く・・いや俺の光で染め上げてやる」


 先程まで少し暗くなりかけていた京弥の目には一切の黒さはなかった。

 

「とりあえず!あいつらが罪を重ねると召喚士も罪を重ねる事になるし、あの村の住人を助けるぞ!」


 そう言い放った京弥の目線の先に1つの光が見えてきた。


 



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