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最強証明はスキルを使って  作者: 布団大将軍
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第4話

 

「そして今に至る、と」


 天叢雲剣を手から消し、横たわっている巨大イノシシ(仮)を見つめ、あの日、『スキル』が宿った日から今に至るまでにあった出来事を脳内で上映し、懐かしむように、感慨に浸るように感情を1つ1つ収めていく。



 こっちの世界に来て、結構な時間を過ごした。

 どのくらい経ったか正確には分からないが、自分なりに日を数えていった結果、凡そ2年と半年をこの森で過ごしたはずだ。


 こっちに来る直前、俺は高校1年生で、夏休みを満喫している最中だったから……そうか、もう直ぐ俺も高校卒業か…大学受験大変だっただろうな〜


 俺はさしずめ、ファンタジー立ファンタジー大学森林学部森科に進学いや、転移進学したというところか…ある意味笑えるな!


 こっちに来てから学びの連続で、インターネットもないから物を調べようがない。それが返ってこのワクワクした気持ちを生み出しているのかも知れないな。



「さて、血抜きも終わったし、持って帰って調理するか!」



「ーー!ーーーっ」

「ーーっ!」



「…ん?何か聞こえような?」


 イノシシを運ぼうと動いていた自身の体を止め、耳を澄ませて周囲を伺う。



「ーーた!ラーーー!」

「こーー、ちのーーー!」



「この音は、人間の声か!?」



 言葉らしきものが途切れ途切れに聞こえてくる。

 声はここから少し遠いところから発せらせているようだ。


「イノシシは後回しだ!ファンタジー世界に来て第1住人発見だ!」


 彼は背負っていたイノシシをゆっくり下ろし、声が聞こえる方向に向かって物音を立てないよう気をつけながら駆けるていく。



 5〜10分程走っただろうか、声の音量は次第に上がっていき、言葉がはっきりと聞こえる距離まで近づいた。

 彼は足の回転を弱め、今度はゆっくりと近づいていく。

 すると、目の前にある木々の向こうにちょっとした広場が出来ているのを確認した。

 彼が、日課の森の探索で此処に一度来た時にはこのような広場はなく、只の森であったことから、誰かがここ一帯の木を切って広場にしたのだろうということが予想できる。



「よし!粗方切り終わったな!今日はここでキャンプを張って、探索範囲をここから広げてくぞ!」


「「「はい!ボスっ!」」」



 どうやら、この向こうの広場にその人がいるようだ。


 ファンタジー世界に来て人と出会った時、言葉が分かるのか話せるのか心配だったが…声を聞くぶんには問題ないようだ。

 こういうところもある意味ファンタジーっぽくて良いと思います。大賛成です!って、誰に言ってんだか…



「いや〜、それにしても遠すぎだろ。ここまでどんくらいかかった?」


「えーっと、街をでてから2週間くらいですかね?」


「確かに遠いですな!まぁ、『ワールドボックス』が手に入る事を思えばこの程度大した苦労ではないと思いますがな!」


「そうだなあ、『ワールドボックス』…ついに、俺も『スキルホルダー』の仲間入りか!」


「ボス、『ワールドボックス』の色を見てからでも遅くはないと思いますぜ、銅であれば売っても十分なお釣りがでますぜ!」


「それもそうか!それか、お前らにやってもいい。俺たち『キング オブ ザッコ《班》』が上がっていくには必要な事だ。まずは《分隊》にならなくちゃあなぁ!ーーよーし、じゃあお前ら!もし、銅色の『ワールドボックス』を見つけたら、それは見つけたやつのものだっ!売っても、使っても構わん!ガッハッハッハ!」


「「「ボ、ボスっ(うるっ)、わかりやした!」」」


「じゃあ、探索開始だっ!散らばってさがせ!商人から奪った情報では、この辺りにあるはずだぞ!」


「「「はいっ!」」」



 …これ、典型的かつテンプレなアレだよな?

 キング オブ ザッコスって笑


 それより、気になる事を聞いた。

『ワールドボックス』、そしてその色、班、分隊、そして『スキルホルダー』


 さっきの話しを聞く限り、俺が開けた金色の宝箱がワールドボックスなんだろう。金色以外にも他に種類があるのか…そして、そこからスキルを身につけた人をスキルホルダーって言うらしいな。


 班や分隊に関しては良く分からないが、言い方から察するに組織の位的なものなのだろう。

 位を上げるにはスキルが必要ってことは、強さが関係しているのか…ファンタジー系小説に出てくる冒険者のチーム単位の強さの指標と同じと考えて良いのか、違うのか…



 彼は聞こえてくる言葉の意味を考えながら、向こう側にいる人物達の話しをより詳しく聞くため、更に近づいていく。


 木を1本隔てるだけの距離まで近づいたその時ーー



 ドンッ

 ガザガザガザ



「!、誰だ!」


「どうしたんですかい、ボス」


「向こうから、間違いなくなにかにぶつかる音と草が不自然に動く音が聞こえた!出てこいっ!」


「ほんとうですかい!?この辺りに人が…他の奴らもワールドボックスがあることを知ったんですかね?」


「あぁ、こんな場所にそれ以外の目的で入るやつはほぼいないだろう。ーーお前ら、行け」


「「わかりやした」」



 や、やっべぇーーー!

 やっちまったー!

 考えるのに集中し過ぎて気づかなかった!


 てか何だよ、こんな物をこんな場所に置いたの…は…



 って…トレジャーボックスじゃねえか!

 しかも金色…


 あいつらが言ってたのって間違いなく、これのことだよな?

 どうしよう、3人が近づいてくる音が聞こえる。



 よし、とりあえずーーこれもって、距離をとろう!

 あいつらの警戒が緩くなった時にもう一回近づいて話しをこっそり聞くとしよう!


 そうと決まれば、このワールドボックスを持ってっと……って、箱が固定されてる!?あっ、この木の根か!退いてくれ!いや、お願い、お願いします!



 ザッ、ガザガザ、ガザガザガザ



「「「あっ」」」


「あっ、どうも」


「ボスーーー!いやしたぜーっ!」



 ついてねぇーーーーーー!




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