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最強証明はスキルを使って  作者: 布団大将軍
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プロローグ

 

 ある辺境の地の森の中、1人逞しく生きる少年がいた。


 彼は地球という星からこの地に降りた、いわゆる転移者であった。

 やって来た当初は色々困惑したそうだが、よく考えてみると、「特にやりたいこともなかったな、家族も皆んな自由人で、最後に会ったのはいつだったっけ?」という状態だったのを思い出した。

 困惑した気持ちが薄れていき、それが消えると次の瞬間には彼は大いに喜び、「自由だ〜〜!元から自由だけど〜〜!」と叫び踊ったそうだ。


 そんな彼だが、彼には重大な問題が待っていた。


 ステータス!とお決まりの確認をしてみても、変化は起きない。

 とある冒険ゲームの呪文を唱えてみても、何も起こらない。


 そう、彼にはチートなんてやどっていなかった。

 そもそも、彼はここに来る前に神様に突然あの世に連れて行かれ、この星を救ってくれ!と頼まれた訳でもなく、とある国のお姫様に勇者として召喚され、魔王を倒してください!と言われた訳でもない。


 ただただ、偶然なのだ。


 彼は弁当の美味しさでは一線を画すコンビニに家から徒歩で向かっている途中、角を曲がろうとした次の瞬間、突然、周囲の色が変化したと思ったら、この森の中にいた。


 彼は、チートで大冒険!を早々に諦め、この森で現実をみて、住むことに決めた。


 そんな彼にはこの地に来て出来た日課がある。


 それは散歩だ。


 彼は勿論人間であるため、食べないと死んでしまう。衣食住の食をまずは満たそうと、周囲に食料は無いかや、まずここはそもそも安全なのかを確認するため、毎日身を潜めながら辺りを探っていた時、道中に食料があり、尚且つ安全な道を発見した。その道が今彼の散歩コースとなっている。


 平穏な毎日を過ごすべく、周囲を探索したり、自分を鍛える中で、これって、"魔力"何じゃね!?と、まさかのファンタジー感満載の驚きの大発見があったのだが、その時、何があり、何をしたのか、その話はまた別の機会にするとしよう。


 魔力らしきものを発見した彼はそれをどうやったら、日常で使えるのか、役に立つのかを考え、試行錯誤を重ねた。


 時には探索、時には特訓を繰り返し、ようやく魔力らしきものの使い方を編み出し、役に立つ扱い方が分かるようになると、その頃には彼は特訓そのものが楽しくなっていた。


 チートなんて俺には無いと思い日々を過ごしていた彼にとって、魔力を使った特訓は、小説の中だけと思っていたものが実際に自分に存在し扱えると分かり、チートはなくてもここは本当にファンタジー世界なんだと実感できる唯一無二のものであった。


 ワクワクを得られる特訓は日々の潤いとして位置付けるまでになり、彼はこの世界での暮らしをより充実させていった。



 そんな彼はある日、自分専用の散歩コースをいつものように歩いていた。


「久しぶりに、良い天気だな〜!

  よしっ、散歩ついでに、晩御飯の食料調達でもしとこうか!」


 この地では珍しく、昨日までの10日間、連続で雷を伴う雨が降っていた。

 その名残りで、水捌けの良いこの地でも地面が少し泥濘んでいる。


 雨が降った後の独特な雰囲気が漂い、意図せずともその匂いが感じられる。


 1つ深呼吸を入れる。


 肺がクリアになったように感じる。

 それほど、ここは空気が澄んでいて、自然の中で生活してるんだなという実感を得られる。

 10日間家に引きこもっていたからといのもあるのだろうが…。



 さて、彼の散歩コースには途中、それはもう大きな木がある。大樹中の大樹。


 まぁ、結局木であることには変わりないが、その木には人の頭5つ分程の実が生る。


 彼曰く、

「不味いか美味いかの2択で選択を迫られても、俺は普通と叫ぶ」

 というような味だそうだ。


 彼はそこで、大きければいいってもんじゃないんだなと学んだらしい。


 その木、実は彼自身何という種かは分かっていないが、野生の動物達がその木から落ちた実を食べている所を見て、


「これ、俺も食べられるんじゃね?いけるいける!」


 と深く考えず試した所、毒の症状も見られなかったことから、巨大な実はその日から彼の食料へと変化した。



 いつもの様に、散歩コースの途中、大樹になる実を "魔力" を使い、体を強化してその辺の石を実がなっている枝目掛け、投擲する。


 ヒュン!

 バサッ

 ーーズドン!


「よしっ、命中!」


 彼はこの森で1人で暮らしているため、実の量は1つで十分である。


 落とした1つの実を持ち上げ、いつも通り散歩を再開するがーー。


「なんだ、これ?」



 大樹の地面に飛び出ている根と根の間の窪みに、いつもは存在しない、何かがあるのが見えた。


 彼はそれが何なのか不思議に思い、近ずいていく。



「おぉ!まさかの!」



 すると、そこには "金色" であることと、鍵穴が無いこと以外特に特徴はない、『宝箱らしい宝箱』が存在した。


 彼はその箱を発見すると、周囲の気配を探る。


「周りには…誰もいないようだな。

 …置いてあるってことは、もらって良いよね?、いや、貰いましょう!」


 彼がこの地で生活して、このような宝箱に出会ったことは1度も無い。

 浮かれてしまうのも当然といえば当然である。


「何が入ってるかなー?金?伝説の剣?

 それはないか!ワクワクする〜っ」


 期待で胸が暴れそうになるのを、少し抑え、鍵のない宝箱を開けるーー


 ピカーーー!!


「な、なんだ!?!?」




 ー 1人の少年の物語はここから始まった。




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