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小学一年生編〜第一話 見た目は子ども

「はーい。この字なんて読むか分かる人〜〜?」


 やけに甘ったるい声を出しながら、おばちゃんが黒板の前に立っていた。


 黒板に貼るミニチュア黒板みたいなのに大きく ひ ま わ り って書いてある。つーかやけに頭上にあげないと黒板見えないな。


 そこである事に気付いた。周りにいる奴らみんなの身長がめっちゃ小さい。かく言う俺もめっちゃチビ。


 机に視線を落として見れば、右上に『おおほり たける』とどでかい紙が貼ってある。


 めっちゃデジャブ。これ昔も見たことある。具体的に言うと小学一年生の時。


 まさか、あのスレッドの通りに人生やり直してるのか? にわかに信じがたいがそう考えないと説明出来ない。


 そういえば、初めて席が隣だった子って。俺は左側に座る女の子の顔を見るべく首を動かした。


 しかしそこに女の子は居らず、ただ名前が書いてある紙が貼られてあるだけだった。


 そこには『つきの かぐや』と書かれた紙が貼ってあるだけだ。


 その名前を見て俺は目頭が熱くなるのを感じた。久しぶりに見たその名前。それで疑惑が確信に変わった。


 俺は確実にタイムスリップしてる。理由は簡単、この名前の主は俺が死ぬほど会いたいと思っていた人の内の一人だからだ。懐かしい、凄く懐かしい。


「あぁ〜〜!! 先生! おおほりさんが泣いてます〜!!」


 俺の右隣りに座ってる女の子が指差して俺の事を先生に言った。小さい頃ってそういうのがあるからな。あぁウンコするのとか面倒クセェ。


「たける君、大丈夫ですか?」


 先生は俺に近づいて来て顔を覗き込んできた。近いよ、おばちゃん近いって。


「だいじょーぶ」


 うわー……声までガキンチョになっちまってるよ。俺は軽く流れた涙を拭き取り、授業を受けなおした。


 たったの四時間しかない授業が終わり帰りの会の時間となった。久しぶりに小学一年をやってみて、色々と思い出した。


 確か、月野つきのは水ぼうそうか何かにかかり一週間くらい休むんだ。それで俺も熱を出して一日休んだ。


 翌日、二人とも登校したはずだ。俺たちが休んだ日に皆んなはアサガオを植えてて、それを植えてない俺たちは先生に言われて一緒にベランダまで歩いて行ったんだ。


 確か、確かそこで月野つきのは……。俺に……。


 ――――――――――――


「ねぇおおほりさん!! 結婚しよ!!」


 ――――――――――――


 って笑顔で言ってくれたんだ。今思えばそれが全ての始まりだったかもしれない。俺の恋と、俺の失敗の。

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