貴族と奴隷
準備が整い出発をしようとすると貴族の御付きの二人がこちらへ来る。
「冒険者よその馬を買おう、いくらだ。」
そう横柄な態度で言ってきたのをあえて無視して小屋のドアを開く、
「きさま冒険者のくせして無視をするとは、下手に出ればつけあがりおって」
そう言いながら剣を抜いてくるので、無視して馬を出しながら切りつけてくる男達にドアを閉めてぶつける。
大きな音がしてうまくぶつかったようで出ようとすると小屋のドアをものの見事に破壊して二人が出てきた。
これで避難小屋としての使い勝手は著しく低下してしまったのを壊した本人達は気がついていないようで外に出てくるところに雪を気を入れながら固く固めたものを顔に向けて思いっきり至近距離で投げつけ、悲鳴もでないほどのダメージらしく後ろに倒れていく。
私は軍馬に乗り馬にくくりつけていた前回の戦いで先端の穂先が気で破壊されたハルバードを持つと御付きの者が次々と出てくる。
私は吹雪になり始めた中を一旦離れてそのままターンすると視界が確保できない中を予測で突撃して大きくハルバードを振り上げ見えた瞬間に降り下ろす。
私はハルバードを破壊するつもりで気を送り込んでいたので、狙った影がギリギリ避けて後ろの家の柱に当たってしまいそのまま気を爆発的に放出してしまった。
当然家の半分は轟音とともに破壊されて崩れ落ち悲鳴が上がる。
自分達の主人の悲鳴が聞こえたため慌てて小屋の中に戻ろうとしており、中からは奴隷の二人が逃げ出して来た。
私は黙って馬を返すと正面に兄が両手を広げ立ちふさがり、私を睨み付けてくる。
私は黙って手を出すと兄妹は手を握ったのでそのまま持ち上げて鞍に乗せると毛布でくるみ吹雪の中を進むことになった。
オルフィスの港は何れだけかかるのかも知れず、昼夜を問わず進み続ける。
準備した保存食は一人ならまだもつはずだったが、3人ではとてもじゃないが持ちそうにもなく高地をようやくおり始めた頃には尽きかけ始めていた。
ようやく吹雪はやむと雪もさほど積もらない場所へと下りてきたので馬を止めてようやく馬をおりる。
体を解きほぐしてようやく体の力が抜けてきたので火をおこして野宿となった。
残りの星肉とパンを分け与え名前を聞くと、
「ノルンとリーア」
そう言って黙々と食べている。
私は気にすることなくご飯を食べ終わるとすぐに寝てしまった。
翌朝馬のいななきとともに起こされて見てみると、どうやらノルンが馬の世話をしているらしく水を汲んできて馬の体を拭いてやっており、リーアも兄の見よう見まねで一生懸命手伝っていた。
もう食べるものがつきていたので水を飲むと出発した。
丘を緩やかに下り、又登りながらを繰り返して進み途中で野生の猪が見えたのでハルバードを片手に構え馬を一気に加速させ突撃する。
猪は途中で気がつき逃げるかと思われたがこちらへ突撃を開始した。何度かの気の圧縮で穂先はボロボロだが気にせず送り込む、ぶつかる直前で気を爆発させ猪は顔にダメージをおいながらふらついたのでナイフを抜き降りると一気に首筋に突き立てた。
水があるところで解体をしたいので木の太い枝を二本切ると馬にくくりつけ3人でその上に移動させる。
そしてロープで固定すると小川があるところまでしばらく引っ張り到着すると解体を始め、ノルンがすると言うのでナイフを渡して鞍から塩の袋を取りだし軍馬に与えてから解体した肉を塩につけて干すのとリーアが一生懸命集めてきた石でかまどをつくり肉を吊るして燻製の肉を翌日までかかって作り食べた。
ノルンが食べているときに、
「拾ってくれてありがとう、両親がはやり病で亡くなりあの商人に騙されて売られていくところだった。この恩は必ず返す。」
そう言うので、
「わかった。雑用として雇おう食事等の雑費はこちらが出す。賃金は1日銅貨1枚でいいなら雇おう。馬の世話も頼む」
そう言うと少しかたい笑顔で頷いた。
「私はアポロニア、故郷へ戻る途中だ。行くところがなければ着いてきたらいいかなり遠いがな、それと人とのかかわり合いは苦手だ」
そう横を向きながら言う
「ありがとうございます。もう肉親はリーアしかいません。今さら故郷には戻りたくないのでお願いします。」
そう言って翌日出発した。
幸い3日ほどで港に到着するとアーウィング行きの船を探すと夕方には出港と言われたので三人分の料金を銀貨で支払い出港までのあいだ二人の服等を買いに露店へと向かった。
さすが貿易で栄えている港らしく人々が多く行き交う。洋服を買いナイフなどの日常品を購入して食事をしてから船へと戻った。
船では二週間の予定と言われ兄妹は海が初めてなのか数日はあきもせず眺めており、妹は少しだけ明るさを取り戻したのか嬉しそうにイルカが飛ぶのを見ている。
そんなときにノルンが話があるといい、
「妹を守るために戦うすべを身に付けたい。さんざん世話になっているがお願いします。」
そう言われて自分でさえまだおぼつかないのにと思いながらも妹を思う気持ちを無下に出来ず、
「良いけれどすることは最初は単調でつまらない、もし疑問を覚えるようなことならやめておいた方がいいよ」
そう言うとしばらく考えてから、
「よろしくお願いします先生」
そう言われ、
「アポロニアでいいよ、よしそれなら基本的な体を作るための体操を教える。これを朝晩最低でも2回はすること」
そう言ってストエッチから始まり体を動かし受け身の練習などを一時間程行う。私も一緒に行い、リーアも見よう見まねで一生懸命行っている。それを毎日繰り返していると、船員の中でも飛び抜けて大きい男が、
「そんなお遊戯見たいな事をいくらしたって無駄だぞ小僧」
そう笑いながらノルンの邪魔をして来てさらにリーアをつまみ上げる。
私は大男の肘をつまみ神経をしびれさせリーアを放させると、
「このやろう、ぶっちらばしてやる」
そう言いながら私にタックルしてくる。私はお腹で受けながら左ひざと肘で相手の首もとを挟み込み動きを止める。男はもがいたが動けず吠えまくり私の腰に腕を回すと後ろへ私を放り投げた。
私は空中で一回転して足から着地すると大男においでおいでをすると、顔を真っ赤にさせてこちらへ走ってくる。
パンチを軽く避けながら一本背負いの要領で放り投げる。そして起き上がってきて又投げ飛ばすを何度も繰り返していたが面倒になり大男の殴ってきた左手を右手でつかんで引っ張り、足を引っ掻け転ばせる。うつ伏せになった大男の首筋にひざをのせ体重をかけると大男がいくらわめこうが頭をあげることが出来ず振り回す左手は間接技を決めてしまい、
「ノルン、力があっても使い方を知らなければこうなる。そして技を身に付けてからだの仕組みを知れば私でもこんな大男を押さえることができるということだ。」
そう言いながら決めた左腕をさらにしめて等々大男が悲鳴をあげてしまった。
「客人、すまないが許してもらえないだろうが、仕事に支障が出る。」
そう船員頭が言ってくるので、
「仕事とは客人に乱暴を働くことか」
そう言いながらさらに少しだけ力を加え悲鳴をあげさせ船乗頭を見つめる。
「悪かった。船長からも謝罪させるので解放してほしい。」
そう言われ飛び退くとやはりといった感じで大男は立ち上がり怒りで赤くした顔で突撃してくるのを避ける。
「リーアをはなせ、卑怯だぞ」
ノルンが叫び、見ると船員頭がリーアを捕まえ笑っている。
私は無言で拳に気を貯めながら甲板に向け一気に放出した。爆発音と共に私は上甲板から一つ下に落ちる。少しだけくらっときたがもう一度気を貯めて甲板を撃ち抜き破壊する。
あともう二層かと思いながら拳を振り上げると悲鳴があがり、
「やめろ、小娘がどうなってもいいのか」
そう言われたが気にせず気を放出する。床が崩れ落ちて丸いカーブを描いている船底に着地すると、
「貴様、船を沈める気か」
そう言われ船底に現れた船長に言われ、
「自分の部下を押さえられず、客に手を出すような船など沈める。」
そう言うと私の腕に数人の船員が飛び付いてきたので手でいなしながら避けていく。
「わかった部下を引かせるから話し合いを、頼む」
そう言われて、
「降伏しろ、それと船員頭と大男は奴隷として拘束、船か金貨6枚どちらかを差し出せ、異論がなければ契約書を書いて持ってこい」
そう言ってそのまま待つことにした。
しばらくして船長が金貨と理由が書いてある奴隷契約書を書いて持ってきた。
私は確認が終わると上甲板へ出てきて二人の無事と奴隷となった二人が鎖で繋がれており私を睨み付けていた。
船員も客も私の船の破壊を見て恐怖に顔を会わせないようにしており、ノルンとリーアは私のところへ走ってきた。
「二人とも無事で良かった。相手が悪いから気にすることはない、しかし力がなければ危ないと言うことだ。」
そう言うとノルンは頷き、
「アポロニア、あれはなんなんですか素手で分厚い板を破壊してみんなも驚いています。」
「あれは今やっている事の延長線上に有るものだ。体力や精神力がしっかりつけば知ることもできるかもしれない、教えるかどうかはわからないが」
そう言うと嬉しそうに後半は少し残念そうに頷いた。
船員達は応急修理に翌日までかかり、客も船長に問題を起こした事と到着の遅延、何より船が沈まないか詰め寄っている。
それを見ていると、
「詰め寄ったからってどうなるわけでもあるまいのにね、しかしにいさんすごい腕っぷしですな一人で船を沈めるところまでいくちはぶったまげました。」
そう笑顔だが目は笑っていない小太りの商人が話しかけてくる。
私はチラッと見たが気にせず気を流して爆発させたことによる拳の出血の手当てを続ける。
「にいさんそんなに警戒せんでも身ぐるみはごうとか思ってませんよ、それよりも原因の船員頭とあの大男奴隷ギルドで売りになされるんでしょうか、それなら私に買わせてください、いちいち煩わしい手続き等をこちらでしますのでよろしければ」
そう言われ、
「いくらで買う」
「おお、そうですな外傷もなく働き盛り経歴も加味して金貨三枚でどうでしょう。」
「それを5倍で売るんだろう」
そうかまをかけると、
「いやいや実は3倍で売ろうとしてました抜け目がないですな兄さんも」
「5倍いや6倍だろう仕入れの」
そう昔近所の商人に売り手なら吹っ掛けろ、きかいがあればだがなそう笑われたことを思い出しながら余計なことは言わずに言う。
「いくら何でもそれはぼったくりですわ、さすがに買い手がつきません、あきませんな」
そう相変わらずの笑顔で言ってくる。
「交渉決裂だな」
そう言って後は何をいってこようが無視をすることにした。
ようやく陸地の端が見えてきて後3日だと言うところで事件は起こった。
朝食を出され何時ものようにパンとスープを食べていると指先からしびれが来る。
私は気を神経に流し込みながら麻痺した体を動かせる状態にしてわざと倒れこみ兄妹も同じようにしびれたらしくテーブルに倒れこむ。
「いや、気づかれたらどないしょうかと思いましたが動かないようですな」
そうあの商人が私の顔をのぞきこむ、
「しかしマークス様助かりました。船の被害もさることながら客に手を出したとわかればどんなことになるかわかりませんからな、おいつれていって鎖をつけろ」
そう言いながら体を起こされた瞬間に両脇の船員に気を込めた肘をみぞおちに当てて流し込む、船員は二人とも崩れ落ちていき私はテーブルに飛び上がり兄妹を抱えた船員に跳び蹴りを入れて助け出す。
「ひーっ、やつは不死身か強力な痺れ薬をいれたスープを確かに飲んだのに」
そう言うあの商人に振り返りそして驚いている船長を見る。
逃げようとする二人にスープの皿を拾って投げつけると背中に当たり悶絶しながら倒れこむ。
他の客は今さら気づいたのだが別の部屋で食べているのかおらず船員も今倒した4人しかいなかった。
私は商人の体を探して小さな薬瓶を取りだし水に混ぜて兄妹に飲ませ長椅子に寝かすと船長と商人に首筋に気を流し込み起こすのと同時に体を麻痺させた。
「助けてくれ、私は船長に頼まれただけだ」
私は無言で商人の脊髄に気を流して麻痺させ船員も同じにした。
「さて船長船ごと沈むか奴隷としてやっていくか選んで」
「化け物か、船を破壊して麻痺がきかないなんて」
私は指先に気をためると船長の額にさわる。
「しばらくするとその頭の中の気が頭痛を引き起こす。治せるのは私だけだ。」
それだけ言うとまだふらついている兄妹を起こして部屋へと戻った。
「入港するぞ」
私達は甲板に出て潮風を受けながら港町へと入港する。
乗客が降りた後額に脂汗を浮かべた船長がやって来て書類を何枚かわたすと、
「これで勘弁してくれ」
私は書類を見ると港にいる役人を呼んで確認する。
「書類に不備があるのでどれも認められません。」
そう言われて私は黙って船をおりる。
「まて、書類を渡すから治してくれ」
私は兄妹を軍馬に乗せると出発する。途中で食料を買い込み問題が来る前に出発をした。
「アポロニア、こないだの麻痺といい体を動かせなくなるのはどう言うことなの」
ノルンがこちらを向きながら聞いてくる。
「体は気でつながっている。気が衰えれば病気や怪我が、強ければそれを軽くも無効にも出来る。私は気の流を止めたり滞らせたりしただけだ。」
「それは使えるようになるんですか」
「使えるようにはなるが気の流とコントロールができなければ自らが死ぬ」
そう言いながらあの時に自分が使った反動の傷を見せた。
「頑張ります。妹を幸せにするためにも」
「頑張れと言いたいがこの技は表だってのものではないから無理なときははっきり言うからな」
そう言うとまっすぐわたしを見て頷いた。
アーウィングの港から進み国境を二つ超えれば故郷に戻れると思いながら松風を進める。
自国は温暖な土地であり、今までと違って暑く軽装で進む。
盗賊が出るわけでもなく凶暴な動物と出会うわけでもなく進み、最初の国境を越えると隣国に入った。
「ここからは危険な動物も増える。そのつもりで」
そう言いながら山道に入る。都経由なら3週間だが山越なら10日ほどで抜けられ、私はせっつく気持ちに山道を選択して進む。
「リスがいる、おさるさんも」
リーアは次々に出てくる小動物に馬上から嬉しそうにしている。
「くっ」
体の鍛練の一環で後ろで一本足でノルンが立っている。
「気が乱れてきたよ、力みすぎ意識しすぎ」
そう言っているとまだ気の流を感じることも出来ずに馬から落ちそうになりそのたびにロープの世話になる。
「アポロニアどうしたらいいんだい、わからないよ」
そうノルンは悩んでいたが、
「私の曾祖父が編み出したもので、父親や母異兄弟もこれを会得出来ていないから」
「それじゃあこれは意味あるんですか」
「直接はないと思うが、私が祖父に最後にされたことを考えれば体力と平衡感覚は必要になってくると思う」
そう言うとノルンはまた後ろで鍛練を始めた。
私は進ませながらあの夜の事を久しぶりに思い出す。
兄弟や父が気の流をうまく感じることも操ることも出来ずにいて焦っていた祖父は私にも落胆した夜、幼かった私を屋敷の地下に連れ出すと、
「お前が最後の願いだった。もし死んだら私を恨むがいい。」
そう言うと私の体に気を強制的に流し始め私は次第にからだの中心から熱く爆発しそうな感覚とあまりの痛みに悲鳴をあげた。
声にならない言葉で何度も「やめて、助けて」と繰り返したが、母親が私がいないのを不審に思い私を探しだした朝方まで続いた。
悲鳴をあげ私を祖父から助け出して着のみ着のまま屋敷を抜け出した母親は祖父の追跡を振り切りスラム街へと逃げ込んだ。
私は高熱を出して体は動かせず危篤におちいったが、母親の薬剤師としての力と看病で半年ほどしてようやく動けるようになった。
その後私達を見つけた祖父に母親は
「無理矢理屋敷に戻そうとするなら親子共々命を断つ」
そう言って無理矢理館に戻ることを否定して祖父に町に今の家を買わせて自分の目の届くところでの鍛練に同意する。
あれを思い出すとその時の恐怖とその後の事に複雑な想いを持ちながら後ろで気をみだして落ちるノルンに苦笑しながら馬を進め故郷へと急いだ。
「これから先は危険で通行止めとなっています。」
そう山越えをする最後の村で村人に止められてしまう。
「この道で白虎がつがいででて冒険者が入れ替わり、最後には軍隊が討伐に来たが一方的に蹴散らされしまい通行止めにせざるおえないのです」
そう言われてしまいその日は村で一泊することにした。
「しかし子供ばかりで馬はでかいけどここまでよくきたね」
そう言われて、あの湖での出来事から私の身長はあまりのびず、顔も童顔なのもあいまって船ではなめられ、ここでは子供扱いされる。
私は沈黙で答え、
「ノルンにリーア、私が先にはいって退治してくる。ここで待っててくれないか」
そう言うと二人は不満そうについていくことを希望する。
何度も話したがなかなか頑固な二人に私は折れて出発することにした。
村人には何度も止められたが自己責任なので諦めたようで見送ってくれる。
片方が谷の山道を軍馬は汗もかかずに登る。時おりなにか感じるのか耳を動かして警戒しているよ、私は村で購入した槍を脇にかかえて進む。
木々が徐々に高さが低くなる頃に軍馬が足を止め警戒し始め、私は馬を降りて槍を構えて進み峠に到着した。
「アポロニアいないねトラさん」
さっきまでは怖がっていたのだが安全になったのがわかったのかリーアが山麓を見下ろしている。
私は先程軍馬が止まり私が降りたときに気配を感じたが、私はわざと気を駄々漏れにして白虎をあからさまに警戒させることにより抜けることができ野生の動物の警戒心を逆手にとった行動であった。
さすがに疲れたので下り森に入ったところで休むことにした。
食事をとり私は早々に寝てしまった。
何かの気配は感じたが自分の中の警報はならずそのまま寝ていると、
「だめ、くすぐったいって」
そう言いながら笑い声が響く、私はゆっくりと目をさますと子猫ほどの大きさの白いのがリーアにのっており楽しそうにしている。
私はゆっくりと意識を起こしてみてみるとノルンが顔をひきつらせており、私は白い猫をみてみるとどうみても白虎であり、私もノルンと共に顔をひきつらせるしかなかった。
「いや、ダメ~~~っミルちゃん渡さない、お兄ちゃんでもアポロニアでも」
そうリーアは駄々をこねる。
「いやだからこの子の親が探してるんだから、別れていこう」
「だってミルちゃん一人でこんなに不安そうでかわいそう、一緒にいくもん」
駄々こねまくりのリーアに私達はお手上げだがなんとか母親にかえそうと説得をして峠に引き返えした。
峠に到着してしばらくすると下から白い巨体が2体上がってくる。
この2体と戦って一方を倒している間にもう一方にそう思っているとなにか感じたのか白虎の片方が大きく吠え、私達は身を固くする。
軍馬から降りてリーアがだく白虎の子供をリーアごと下ろした。
私をみて懇願するリーアに私は首を左右にふり返すように促す。
「ミルちゃんばいばい」
お名残惜しそうに下ろすとミルはリーアを振り返りながら両親のところへ戻っていく、ようやく終わると思っていたら少し大きい親の白虎が進み出て走り始める。
私は前に駆け出すと白虎は飛びかかってくる。
私は前転で交わしながら後ろ足で気を叩き込む。しかし毛皮のせいなのか打撃が流されて気が到達しない。
大きな爪のついた前足の攻撃を素手で受け流しながらゆっくり前に進む。ギリギリで避けながら前に出ると、
「ミルちゃ~ん」
私もだが白虎も力が抜けたらしくリーアとミルが抱き合って嬉しそうにしているのを見上げた。
楽しそうにしているのをみて白虎は大きく吠えると、ミルも小さいながらも吠えどうやら別れの挨拶をしたのか私の横を通りすぎて夫婦で森へと消えていった。
私は嬉しそうにしているリーアの所にいくと、
「どうやら親離れらしいね、さあ帰ろうか」
そう言って待っているノルンに合流すると山を下った。
森を抜け大きな街道に出て進むと懐かしいと言うか思い出したくない湖畔に出る。
あの夜の悪夢であり結局あれの原因は不明でかたずけられたことを思い出しながらもう少しと思いながら急がせた。




