連座
「お母さんが役人にいきなりつれていかれた」
ノルンが私を見るなり言い、隣ではリーアが大泣きしており私は衛兵に早退することを先生に伝えてほしいと言って自宅へ駆け出した。
ノルンとリーアはついてこられなかったが私は早く帰らないとと思い気を体に循環させかなりの速度で通りを駆け抜ける。
家につくと診療所も自宅も空であり、近くの八百屋のおばさんに聞くといきなり衛兵が到着して有無を言わさず連れていかれたと、私は直ぐにまた駆け出し衛兵の本部である近衛騎士団本部へと向かった。
衛兵に母親が連れていかれたことを言うと横の小屋につれていかれ、
「冒険者からの訴えがあり収監した」
「どの様な訴えなんですか」
私は昨日の夜の事を思い出しながら食い下がると、
「適切な治療をしなかったからと言うことだ」
それだけ言うと私は追い出され、私はギルドへと走る。
ギルドのドアを勢いよく開いてカウンタのノリスを見つけて駆け寄ると、
「母親が冒険者に治療の件で訴えられたどういう内容か」
それを聞くとノリスは何も言わず慌てて調べ始めると、
「こちらからの経由で訴えていません」
そう言われて私は、
「冒険者がギルドを経由しないで訴えを起こすなんてどういうことですか」
私は周りもビックリさせるような声でノリスに問い詰めると中からギルド長がノリスと私を呼んだ。
個室に入り座るように促され私は言いたいのを我慢しながらギルド長をにらむ、
「訴えを受理したことは最近無い、冒険者が勝手にギルド抜きで訴えるとは思えない」
「それではなんでうちの母親が治療の件で訴えられたのですか」
「それが本当なら貴族の勢力闘争に巻き込まれたと考えるのが自然だな、ギルドにケンカを売ってまで冒険者が単独で訴えるのだからな」
私は驚きしばらく考えると何も言わずギルドを出て一番いきたくない場所へと走って向かった。
「フレーゲル様はお会いになりません」
執事であるオズワルドが丁寧だがキッパリと言い私を追い返す。
私は食い下がったが頑として受け付けず私兵の衛兵に強制的に追い払われてしまい打つ手がなくなった私は自宅へと戻った。
自宅に戻るとさらに驚きの状況があり、診療所が衛兵によって閉鎖され私達にも証拠物件から出るようにと言われノルンとリーアが泣いており私はこぶしを握りしめながら必要な物を鞄と鞍のザックに入れるとノルンとリーアを乗せて私は馬を引いて馬がおける宿へと向かった。
「今日からしばらくはここに泊まるから」
3人分の1週間の料金を支払い四人部屋を借りて馬を預ける。私は着替えると二人に宿から出ないようにと念を押して急いで酒場へと向かった。
午後もまだ明るいので酒場には人はほとんどおらずカウンターのバーテンに、
「情報屋を至急雇いたい」
ギルドカードを見せると端っこで昼間から寝ている男をゆびさす。
私は銀貨をカウンターにおいて寝ている男のところに向かうと、
「寝ている所すまないが至急の仕事だ金は弾む」
そう言いながら金貨を机の上にのせると男は驚きながらも顔をあげ手で自分の両ほほを叩いて目を冷まさせた。
「金貨とか穏やかじゃないね、おれはジョニーこの界隈じゃちとは名が知られてる」
無精髭を生やした痩せて長身の顔が馬のように長い男が金貨を指で拾いながら私に言う。
「母親が衛兵に捕まった。冒険者からの訴えでギルドを通さずに直接、裏に貴族がいる」
そう言うとジョニーは驚きながらも私に訴えられた理由を聞いて、
「そりゃはめられたな、しかしなんでお前の母親が貴族がらみ何だよ」
私は少し考えたが母親の命が優先と思い、
「私は庶子であり武術師範が家だ」
そう言うとあちゃと言う顔をして、
「お前さんの血のわけた貴族が最近急に裏工作をし始め近衛騎士団の副団長と準伯爵から伯爵への運動そして一番の問題はロイド王子から弟であるマルティネス王子に鞍替えしたと言うことだ。」
私はいまいちわからず見つめているとジョニーはため息をついて、
「マルティネス王子の後ろ楯であるロマイル侯爵から引き抜かれたって言うことでロイド王子派からかなりの怒りの矛先が向いたと言うこと、そして嫌がらせの一つとしてお前の母親を捕まえたと言うことだが、しかし平民を捕まえて相手を動揺させることってなんだ、お前さん何を隠し持っている」
ジョニーも貴族同士の争いにたかだか平民の私達親子が絡んでくることにいまいち意味を見いだせず考え込んでいる。
「何かわかったら連絡をする。」
私は宿を教えると宿へと戻った。
リーアはベットで泣き疲れたのか眠っており、ノルンは心配そうに私を見ている。
私は何も言わず下で受け取った3人分の夕食を丸いテーブルにおいて静かに食べ始めた。
何度も私に聞きたかったようだが私が厳しい顔をしているのでノルンは聞けずにおり、私もいっぱいいっぱいで黙って夕食を食べるしかなく、食べ終わると食器を一階に届けるようにいうとベットに横になり誰に頼めば良いかと思いながら明け方まで眠れずに過ごした。
翌朝学校を欠席して近衛騎士団本部へと行き母親に面会を求めたが、
「本来は認められるのだが上からの命令で禁止されている」
それだけ言うと私に去るように命令してきたので離れるしかなかった。
酒場へと向かうとジョニーが何時ものようなのか机に顔をつけて寝ており私が入って起こすまで目をさまさなかった。
「お前の件相手側も困っているようだぞ、準伯爵が拒否したのはいいが貴族にとってどうでもよい中途半端な件だから放置されていてこのままいけば最初の思惑通り有罪で死罪だな」
軽々しく言うジョニーに私は机に拳を叩きつけきしませる。
「それと訴えてる冒険者、ビッツワークてやつ兄が近衛師団の騎士で男爵の次男坊だからな、平民のお前がどうしようと覆ることはないな」
そう言われて今更ながらに絶望と言う感覚でしかなく私は立ち上がり酒場を出た。
私は気がつくとフレーゲル準伯爵の屋敷の前に再び立っていると息子であるマルスが出てきて、
「ふん、入れただし親父にも内緒だぞ静かにな」
そう言って今年から近衛騎士団の従卒として学校をやめて入団した青年が手招きしている。
「お前の母親も不幸だな平民の分際で貴族の手駒に使われるとは」
そう言いながら地下に入り、
「ここで待ってろどうするか考えるからな」
そう言って椅子に座るように言って反対側のドアから出ていった瞬間私は気を失ってしまった。
目が覚めると最初に入った部屋で顔をあげるとフレーゲル準伯爵とオズワルドが立っていて、
「ようやく目をさましたか、まあいい」
そう言ってこちらへ来いと言いたげに首をふり私は後を歩いていく。かなりの時間が経過したのかお腹がなり私はオズワルドを見たが何も言わずフレーゲルの後をついていった。
「息子のしたことにあきれてはいるがあれはあれで家の事を考えての行動だ」
そういきなりフレーゲル書斎に入りソファーに座ると言い始め、
「お前の母親は今朝刑が執行された。亡骸は無縁墓地に葬られた」
私はなんのことかわからずフレーゲルを見つめていると、
「学校はどうする。先代とお前の母親の約束でしていたことこちらはどちらでもいいが」
私は何も答えられずに屋敷を出ていくしかなかった。
気がつくと自宅についたがどうやら罪人として裁かれた母の持ち物なので国に没収されたことが書いてあり、私は何をどうしていいのかわからず宿に戻った。
部屋に戻ると目を真っ赤にしたノルンとリーアがおり、
「なんで、どこいってたのどうしたらいいの」
リーアが泣いて真っ赤に晴れた目でさらに泣き出し私の胸に飛び込んでくる。
ノルンと私は目をあわせたが悔しさで何も言えず立っていると部屋のドアがノックされ私はゆっくりとドアを開けた。
騎士と衛兵が立っており私本人か確認を取ると、
「連座の罪として無期限の強制労働を申し渡す。ただし特別な配慮により一等免じて懲罰大隊での労役に変更する。直ぐに荷物をまとめよ、ただし服と10枚の貨幣のみ持つことを許す。下で待つから急げよ、くれぐれも逃げようと思うな死罪だからな」
それだけ言うと騎士はおりていき私は母親の無実の罪に連座する形で兵士として働くことを言い渡されてしまう。
「すまないこんなことになって、ノルンはリーアと何処かへ移り住んでほしい」
そう言いながら持っていけない分の金貨や慣れ親しんだ刀や弓矢、革の鎧などの装備そして軍馬を頼み、
「これらを売れば楽に暮らしていけるだろう、冒険者を続けるにしてもノリスの言うことを聞いて採取などをすればいい。慌てないで確実に仕事をすれば大丈夫だから」
そう言うと、
「必ず待ってるから、冒険者として一流になって生きて帰ってきてリーアと待っているから」
ノリスは私の顔を見て泣かないように我慢をしており、私は抱き寄せて何度も謝った。
そして寝ているリーアにキスをすると金貨10枚と服や下着をザックにいれて頷いて部屋を出た。
衛兵に木枠の手錠をかけられ連れていかれる。
理不尽なことは今に始まったことではないが、今更ながらに平民という家畜と同じような扱いに怒りながら顔に出さないように進み、街中を好奇心でこちらを見る人々の間を抜けて城塞をでると平民出身が主体の部隊の本部であるライマール砦へと入った。
引き渡されると私はそのまま鍛冶屋がある場所につれていかれ、そこは悲鳴と呻き声に満ちており私の番になり中へ入るように命令され熱気がこもる中へとはいる。
そこでは罪人として着た証しとして焼きごてで印をつけており、
「下位五等犯罪人アポロニアで間違いないな」
そう言われて頷くといくつかある棒を持つと先端が炉で真っ赤になったものを脱がせた私の左胸に押しあて音と焼け焦げた臭いが耳と鼻に入ったが私は歯を食い縛り悲鳴を圧し殺した。
荷物と所持金はそのまま衛兵が預かると、一番奥の日の当たらない大きな丸太小屋に連れていかれた。
騎士がドアを開けると、
「気を付け」
そう言って中でゆっくりしていた男達が瞬間に立ち上がり気を付けの姿勢で立っており、
「新しい補充だ、明日までに教えとけ」
衛兵が私を中にいれてドアを閉めた。
ドアが閉まると騒ぎ始め今までのことがなかったようにしており、私は何をどうして言いかわからずただ見ていると、
「いつまで突っ立てる邪魔だ、一番奥のを使えグズグズするな」
そう髭もじゃの大男が私に大声でめんどくさそうに言い私は一番奥の木枠のベットにボロボロの毛布があるベットに座る。
「おめえみたいな小僧がここへ来るとはな、迷惑だけはかけるな戦場に出る前に命がなくなるからな」
私のとなりのベットで長身のひょろっとした男が私をちらっと見て言うと反対側に向いてしまう。
私は手持ちぶたさと認識をすることが出来ずにただただ部屋のなかをながめていると、ドアが開き袋を持った太った小男が入ってくると、
「ゴブ早く渡しやがれぐずぐずしてるとてめえの分も食べるぞ」
さっきの大男が言うと小男は慌てて袋から小男の顔並のパンを取りだし一人一人に放り投げ男たちは受け取っていく。最後に私にも投げてきたので受け取った。
「ゴブよかったな下ができて、こないだの野郎は訓練中にガムスの一撃で死んじまったからな着た早々」
そう大男の横にいる美しい顔をしているがは虫類のような目をした男が笑いながらゴブに蹴りを入れるとゴブは笑いながら私の目の前のベットに座り固いパンを食べ始めた。
「おらニグル、だけんどゴブリンみたいな様相でゴブと呼ばれているよろしくな、それとそれが1日の食事だから取られないようにしないと1日空腹で過ごすこといなる」
親切に教えてくれ私は頷くとパンに噛みついたがかなりというか何日たったのか知らないが固くて食べるのに難儀する。かなりの時間がかかり食べ終えるとゴブが、
「上官の命令は絶対、もし来たら直立不動で言いというまで動かないこと、食事当番は下の者がするので明日から一緒にいくだ」
そう言って寝てしまった。
私もまだ痛む胸の後を見て寝ることにした。
「起床、督戦があるので準備して整列」
叩き起こされ私はベットからおりると横に立て掛けた木剣を取って整列する。列の最後尾につくと前から番号を言い始め私もあわせて100人が衛兵と共に進む。
砦を出ると右におれてすぐとなりにある練兵場へと入り他の部隊と共に整列する。
騎士が台に上がり、
「30組の総当たりとする。勝敗は立てる者がいなくなるか本陣の旗をとれば決まる」
そう言うとそれぞれの場所に散らばり合図を待つ。
「気を付けろ弱いにはすぐ狙われるからな殺されるな」
ゴブが横で呟くと合図の太鼓が鳴らされた。
「てめえら突撃だグロイズの所を皆やっちまえ」
大男の声が後ろから響き皆一斉に走る。喚声をあげて目の前の相手に武器だけでなく蹴りや殴る頭突きなどで殴り倒し倒されていく。私も体に気を長しブーストして先頭の男の顔面に叩き込んだが次々と現れる相手に木剣をふるう。
混戦と言うか何が何だかわからず戦い抜き合図と共に終了をした。
倒れて動けない兵士が多数いたが太鼓がならされると起き上がり自分達の旗のもとに集結する。私も自分の旗へと戻ると、
「小僧生きてたのか運がいいやつだ。見てみろあそこにいるのはお前と同じで始めて参加してびびって立ち往生したやつら、見せしめにほら」
そう言うと衛兵の槍に刺し抜かれていく。
「あいつらは運がないな督戦が1発目とは逃げたらその場であれだ、今回は旗が二つとグロイズの所を壊滅させたから少しはましになるな」
そう言っていると負けた部隊には類類と横たわる戦友を生きていれば連れて帰りそれ以外は掘られた穴に投げ込まれていった。
「ひっくりしている様だがここは罪人を口べらしするためにならいろんな事をしてくる。生き残れるのも良くて10人に1人それも最初の数ヵ月で一気に減るからな、バルだ」
大男は私の横を歩きながら説明する。
「戦争が無いから減らさないとということですか、アポロニアといいます」
「そうだな全土から送られてくるからな重労働の鉱山以外に、しかしなかなか強いな」
「これでもそこそこの冒険者でしたから、ヒール」
私はバルの木剣で殴られ血だらけに治癒の魔法をかける。
「おっ治癒出来るのか、後で仲間にかけてやってくれ」
そう言いながら私の背中を叩いて丸太小屋へと戻っていった。
「全部治すなよ怪しまれて余計にきつくなるからな」
バルが私の後ろから治療している私に声をかけてくる。ゴブは要領が悪いのか弱いだけなのか顔から全身がぼこぼこだが元気そうに治療を受け、
「すげー、痛みが治まるよ、バルすごい」
あまりのうるささにバルが殴りつける。
100人中死者は7人少ない方だと通常は三割は亡くなる程の苛烈さであり今回は一方的な場面で少なかったと言うことだった。
「ガズンちょっとこい」
バルがいきなり一人の男を呼び出した、普通の特徴もない男で急に呼ばれたので挙動不審となっておりやって来ると、
「てめえやつらの犬をしてるのはわかってて泳がせてるんだよ、アポロニアを売れば砦の中にいれば命はないと思えよ」
そう本性むき出しのバルにガズンが一言も言えずに頷くしかなく、
「今までのことくらいなら流すのもいいだろうがな、もし砦から逃げても貴様の家族のことは調べてるからな」
そう言って向こうへいかせた。
「隊で治療ができるやつがいれば助かるからな、他のやつらには見せるな」
そう言ってごっつい顔でウィンクをして笑った。
翌日から通常の訓練と言うことで行軍を午前中に、1日1食の昼食を食べると午後から木剣を使った白兵戦を行う。
それ事態はきつくはないがある日、
「第4懲罰大隊集合せよ作業だ」
そう言って広場に集められる。先日の督戦から補充を受けていないので2000人ほどの規模でありゴブと共に皆の食料である固いパンを袋にいれると行軍を開始した。
他に通常の歩兵も一緒に行動しておりバル曰く、
「ろくでもねえ作業だな、どれだけ死人が出るか」
朝早くから歩き草原を横断すると谷間に壊れた橋が見えてきており、どうやら橋の修理と言うことで動員されたとわかった。
「アポロニアつらかせ」
バルは私を連れ出して橋のたもとに向かう。他の隊からも数人出てきており、
「こないだはひどかったぞバル」
「てめえらよくまあその汚い面でおれの前に出れたな」
「グロイズお前の所人がいねえじゃねえか」
「てめー誰がしたと思ってるんだ」
「相変わらずきたねえつらだな」
「さっさと終わらせようぜ」
「くたばれバル」
そんな事を言いながら各隊の頭が集まり作業方針を決めていく、
「アーリアが戻ってくるまで大人しくしてろよササミ」
そんな事をいってると橋の方から一人男が上がってくる。
「今回の橋のかけ直し手こずりそうです。メインのロープは残った方も切れかかってます」
「どうするいちかばちか渡らせるかうまくいけばだろ」
「そう言うならササミの所だろこないだ一番楽したしな」
「ふざけんじゃない、こないだのでバルのところに負傷者の山でまだ傷が癒えてない」
「そうだバルにさせろ」
「じゃかましい、こないだも一番危険なところだったんだぞ甘えるな、弱いのが悪いグロイズ」
そんな事を言い合い始めていると後ろから衛兵が、
「3日だ」
それだけ言うといってしまった。
「3日なんて無理ですよ、ロープが切れたら10日はかかります」
アーリアが顔を真っ青にして言う。
「バル、3日で終わらなければどうなるの」
「飯抜き、寝かせない休憩なし」
懲罰大隊とはよくいったものの流石にそれはやなので、
「私が一番小さくてすばしっこいからその部分をまず補修するのはどうかな」
そういう私をみて頭をかきながら小声で、
「お前が死んだら怪我人出たとき困るだろ」
「飯抜きはごめんだから」
そう言うと前に向き直り、
「今回おれのところでしてやってもいいがグロイズとササミの所はパン半分寄越せ駄賃だ」
そう言うと文句が出たが自分達の番を変わるのには仕方ないと言うことで妥協した。
私はバルとアーリアと共に橋のたもとに向かう。
橋は片方のメインであるロープが中ほどで切れており、もう片方も向こう側に近いところで切れかかっていると言うことでロープを渡され、
「アポロニア君と言ったね、舟結びはわかってるかい」
「ギルドの最初の講習で習ったから」
そう言うと私は橋を渡り始める。片方が切れているのでひっくり返るかロープが切れて分解するかと言うことで慎重にわたる。
気を体に流して先をみてバランスを取る。風は幸いおさまっており、ゆっくりと束ねられているロープが何本か切れている場所につくと一時的な補修を始める。
結び目を回して引っ張られればさらに締まるようにロープをかけていく。
何度か往復してロープを持ち出しては補強していきようやく他のものがわたれる強度を確保した。
「ごくろうさんやすんどけ」
バルは作業を見ながら私に言うと新しく張る太いロープを引き出しにいった。
一週間かけてようやく橋の補修は終わったが不注意と強風で数人が谷底へ呑み込まれ私達は砦へと戻った。
数日は行軍を行ったりしていたがある日の昼下がりに美しい顔のヌレスが入ってくるなり、
「マルギ平原へ出兵という噂が出ている。皇国との外交上のやり取りでどっかの貴族のおえらさんがたんかきったらしい」
冷たい目で冷静に皆に言う。
「それは皇国と戦争になるってことかな、勝てない相手じゃないと思うけど」
ゴブは気楽に言うので、
「私が以前あそこを通ろうとしたんだけどトールが活動時期で通れなかった」
「トールってあの龍のかな」
そう言われて私とヌレスは頷く。
「ばっかやろう皇国との戦争の方がよっぽど生き残れるじゃねえか、龍退治は死ににいく様なものじゃねえかバカ野郎」
バルが怒りをゴブの頭に叩きつけて涙目になるゴブ、
「とにかくだ何か考えないと全員命はない」
ヌレスがいつもの冷静さに戻り言う言葉に死刑宣告を受けたように静まり返った。
「相変わらずの捨てゴマか、何かないか何か」
バルは椅子に座り自問自答し始め、私達も何かないかとアイデアを出そうとしているが、圧倒的な物の前に都合よく出てくるとは思えなかった。
翌日から気勢をあげながら弓矢を我々に装備させていかにもと言う訓練を始め、他の隊でも声の大きさに反比例して士気は落ちていった。
2週間後には行き先も告げられず砦を出発する。
懲罰大隊全ての動員であり、4000と大勢だが行き先がマルギ平原と徐々にわかってくると泣くものも出てきており、督戦の為か周囲は首都防衛の要であるカーブオブロード騎士団6000と徴兵された地方騎士団に率いられた民兵60000、そして近衛騎士団と共に国王も出陣してきたと言うことで戦略的にもそしてその広大な土地であるマルギ平原を奪取するために並々ならぬ決意が伝わってきたが私達には死の行軍でしかなかった。
山岳地帯を抜けると目の前にはユナ河が左右に流れその向こうに広大な平原が広がる。
工兵が橋を3本かけ終わると私達とその後ろに督戦をする騎士団が続き、その両翼に民兵が半分ずつに展開を終え後方には国王率いる近衛騎士団が配置についた。
私達は結局なんの策もなく弓を構え命令道理気勢をあげて龍の注意を引こうとする。
バルもやけくそで大声をだし、周囲も私も声を止めたら泣き叫ぶしかないと思っているので必死だった。
しばらくすると周囲にこだまするように龍の吼える声が響き渡り皆は青い顔で目をつぶり声をあげる。
私はいちかばちかで気をわざと放出して龍に警戒をさせて見ようと言うかけに出る。
地平線にある山の峰から黒いものがこちらに飛んでくる。
「トールだ」
誰かが言うないなや意識が戻った騎士が、
「弓矢構え」
そう指示をしてくる。
私はショートボウを構えこちらに飛んでくる龍を狙い命令が下されるまで待っていると龍は私たちの真上を旋回しておりまだまだ高度があるため攻撃指示は出されない。
龍は旋回をさらに続けていて弓を絞る腕が悲鳴をあげ始めていると動いた。
急降下を始め私達は悲鳴をあげ始めたが龍は大きくならず私達でなく別の方向に落ちていっていると認識をしてその先を見ると国王と近衛騎士団の陣であり、私もだが周囲も呆然とその様子を見守っている。
龍はブレスを地上に向けて吐き出し近衛騎士団の周辺は紅蓮の炎につつまれる。ブレスがやむと近衛騎士団は健在であり魔法の障壁を張り巡らし攻撃魔法を放つ、さすがと思い龍も叫びこのまま決着できるかと思ったが見事に打ち砕かれた。
龍の頭上に雲が発生して次々と地上に雷が落ちる。最初の数初は障壁で防いでいたが直ぐに打ち破られ地上に落ちる度に騎士が空中に放り投げられるのがここからでも見えておりとどめとばかりにブレスで焼き尽くす。
私達は呆然とその様子をみていると次々と雷で近衛騎士団は吹き飛ばされて壊滅したと遠目でもわかる。
咆哮が再度上がり、右にいた地方騎士団と民兵に攻撃が始まり、あっという間にブレスで焼き尽くされていくと周囲で悲鳴が上がり、数人の男が次々と督戦の騎士に襲いかかり地面に引きずり倒す。
「野郎共逃げろ、脇目もふらずひたすら国へもどれ。集合場所は砦の裏のガスケの森だ」
バルが大声で叫ぶと皆一斉に走り出す。
私も走り始め、横では龍が次の目標へなのか上昇している。
私たちの後ろには督戦の首都防衛騎士団カーブオブロードが控えていたが、この惨状を目の当たりにしてショックを受けたのかその間を通り抜ける私達に剣を降り下ろそうともしなかった。
騎士団を通り抜け、ひたすら走ると近衛騎士団が見えてくる。正確には近衛騎士団だったという言葉が当てはまるもので黒焦げにバラバラになった騎士団を通り抜け、誰ともなく走り抜けながら高価そうな剣を拾ってナイフのかわりとしていた。
私も走り抜けると盾を円周にかかげ防御したであろう黒こげの中心にこの国の国王だった男を見つけ、周囲の男達と盾に蹴りをいれ崩すと武器を拾った。
私は炭化した革ベルトについていた綺麗な装飾を施された刀を見つけて拾いまた走り出す。
後ろを見ると残りの地方騎士団と民兵が龍の餌食となっており地獄とはこんなのだろうかと他人事のように走り続け、河にかかる橋を渡る。
守備隊もいたが目の前の事に混乱しており逃げてくる私たちをみて同じように逃げ始めており、上官である騎士が押し止めようとしているが無意味だった。
橋を渡り森へ逃げ込み道を見つけてさらに走る。ようやく峠まで登り後ろを振り替えると龍は上空を旋回して何かに気がつく度に急降下してブレスを吐く。
橋は焼け落ち100000近い軍隊が一匹に全滅させられたと言う事しかなく私は山をかけおりていった。
相変わらずの不定期ですいません




