表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

冒険者集う街・ゼナンのこぼれ話

盗賊のセイエ・エフルイと、臨時のパーティメンバー達の話

作者: 菊華 伴

※ミスで抜かした文章があるので7月 9日に修正しました。

 黒髪に金色の眼に淡褐色の肌、そして自慢の黒い猫耳と尻尾! アタシは他の大陸からやってきた猫獣人のセイエ・エルフイといいます。冒険者で、盗賊です。あと、ヤオヨロズの神様たちから授かった能力は『影使役』といって、影を操る能力です。うふふ、黒猫の私にぴったりでしょう?

 私たち猫獣人は、元々盗賊や密偵、忍び向きの種族です。私も、幼い頃から将来そういった職業に就くべく、修行をしておりました。そして5歳の頃、私は『影使役』の能力を授かったのです! 私の村で、異能力者が出たのは10年ぶりだったそうで、私は村の大人たち総出で鍛えてもらいました! 苦しいこともあったけど、友達も応援してくれたお陰で、ここまでがんばってこれました。


 それで、今。今回は『サイクロプス退治』という重要な依頼についています。元々フリーの私は依頼のたびにパーティの臨時メンバーにしてもらったり、寄せ集めな人とパーティを組んだりしていました。そこで色々と今回組む事になった方々の噂も聞いています。


 まず、今回のパーティリーダーとなったヴァルター・ローさん。私より2つ年下です。でも、最近頭角を現しているんですよね。陰では『勇者候補生の1人』とすら言われています。なんでも、神剣『ユーロフィア』を装備しているとか!

 で、このヴァルターさん。女の子に目がありません。私が名乗りを上げた際もすっごくいい笑顔をしていました。というかホットパンツからのびた私の太腿、ちらちらみていましたよね。うん、素直でよろしい。こういう欲望に忠実な人は、里でも喜ばれます。私の故郷ではこんなオープンスケベな男の人のほうがモテます。

 じゃなくて。それだけじゃないですよー。話し合いの際はちゃんと纏めてくれるし、話をしっかり聞いてくれるし。リーダーにして良かったなー、と思っています。


 次に、ヤオヨロズ教の神官、コーサ・ジョウゾウさん。今回のメンバーの最年長。異能力は『竜人化』って……うわさの殴りメディックじゃないですか! この人、無駄に頑丈らしいですよ。まぁ、『竜人化』しなくても頑丈になった皮膚って、そう簡単に傷つきませんからね。

 普通、メディック、つまり治癒役って攻撃力が乏しいんです。ですが、この人、あれですよ。珍しい僧兵モンクなんですよね……。基本、メイスとか槍とか槌とか持つのに、この人の武器、手甲ですからね。酒の神の印が入った特注品でした。なんでもアンデットを聖なる加護を受けた拳と足で屠ったって事もあると聞いた事があります。

 そんなコーサさんはからっ、としたいい兄貴分です。正直、アタシの兄はうじうじしていて、シスコンで情けない男でして、射撃と裁縫の腕しかありませんでした。今では国つきの狙撃手やってますけど、多分お針子さんもしているでしょう。そんな兄に見習ってもらいたいほど、清々しい人で、アタシ、この人の妹になりたかったです……。


 そして、魔導士のイザク・スザクさん。細い、というのが印象でした。まぁ、魔導士ですからね。でも、まぁ、あれです。けっこうカッコいい顔していますねー。そして、『魔力自己回復』という省エネな能力者さん。……あれ? これって結構お得感ありますね。メモしておきましょう。それと、すっごく気まずそうにしています。……何か、あったんですかね?

 この人は冷静沈着で、話し合いがずれかけたら大体修正してくれます。乱しているのはアタシなので、よくたしなめられますね。反省しなくてはなりません。あと、今回の作戦の大半を考えてくれたのはこの人なんです。やっぱり、魔導士って頭がいい人が多いのでしょうか? 強力な魔法も使えるみたいですし、わくわくしています。

 そういえば、この人は借金があるとか言っていました。今回の依頼の報酬も、それにほぼ当てられるとかで。でも、サイクロプスから採取した物を売れば少しは自分のお金も出来ると思います。


 最後に……実はちょっと苦手な女性を。カミィユ・ナーザさんです。なぜ苦手なのか。彼女の異能力、『超再生』が、怖いんですよね。今でも、肉体が自動的に再生されていく様子が思い出せます。

 実はアタシ、過去に1度一緒に依頼を受けた事があります。その際、仲間のミスでトラップが発動し、彼女が沢山の矢に打たれてしまったんです。かろうじて生きている、という状態で……矢を抜いていたら、少しずつ体が回復していきました。その時、もろに見ていまして。ぼろぼろの肉が音を立てて再生していく様子を思い出すと、畏怖してしまうんです。いやぁ、進行している神様の話思い出しちゃうんですよね。

 カミィユさん自体はいい人です。面倒見が良くて。でも、他人から一歩引いた感じです。それもちょっとアタシが苦手としている理由の1つですが、彼女の能力から見て、色々あっての事なのでなんとも言えません。正直、複雑な気持ちです。


 アタシは、彼らと一緒にサイクロプスを退治しに行きます。理由はわかりませんけど、今までアタシが受けた依頼は、どんなに難しくても運良く成功しています。とくに調子がいいときは『あ、これは成功する』ってメンバーがそろっただけで思ってしまうのです。実を言うと、今回もそうなのです。


(どうか、上手くいきますように)


 アタシは信仰する影の神さまに祈りながら、準備を整えます。もう直ぐサイクロプスと交戦です。出来れば、誰一人死ぬ事無く、カミィユさんも死ぬ事無く終わらせたいですね。


(終)


毎度読んでいただきありがとうございます。

このシリーズ(?)は短編でのんびりやっていきますのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ