ギルドと武器屋
「ここがハーストリア帝国シューストラスの町か」
「ええ、そう、ここがシュートラス」
ソラが真の問いに答えるようそう言った。
オートバイクで、走ることにより、ソラ曰く、あり得ないほど早く、彼らは遂に、シュートラスの町に辿り着いたのであった。
「…」
真はシュートラスの街並みを見た。
そこらじゅうにあるレンガ造りの建物、アスファルトではなく、石畳で舗装された道、露店の店、そして何よりも、人間のほかに、耳が人間よりも長いエルフ、体に鱗が生えている竜人、猫耳尻尾が生えている猫族、まあ簡単に言えば人外なやつらがあふれ返っているのである、如何にもファンタジーだなったと、真はこれらの光景を見ながらそう思った。
「…よし、じゃあ、冒険者ギルドに登録するんだったんだっけ?」
真は事前にこのシュートラスの町に着いた後のことを、ソラと話し合っていたので、そう答えた。
「うん、そうね、…ええっと…あった!ギルドのシュートラス支店はあれね」
そう言ってソラの指さす方向を見た。
指さす方向には、これまた西洋建築で作られた大きい建物があった、そして横には、ギルドの証らしい、剣の紋章みたいなのが書かれた旗が掲げられていた。
「よし、じゃあ行こう真」
ソラはそう言うと、真を引き連れて、ギルドへと足を運んだ。
冒険者ギルドとは、簡単に言えばこの世界独特の就職先である。この世界には、モンスターと言う有害な生き物がいる、それらから人間たち知的種族(エルフとか人間と一緒に暮らせる奴らをそう言うらしい)を守るために、設立された組織である、その構造は簡単で、まず、モンスターを討伐してほしいもしくは、旅の護衛をしてほしいという依頼が来る、勿論依頼を要請するときには、難易度に応じて、依頼主がお金を払ってくれるというもの、ギルドに入ればそれらの依頼が受けやすいことと、ギルドに加盟している場合、身分が保障される、言わば見ず知らずのものと言うレッテルがなくなるとか言う色々な利点がある。
これは異世界人の真にとって、非常に喜ばしいものである。
これらが言わばギルドである。
ちなみにギルドの創設はこの世界の伝説をまず語らなくてはならない。
昔々、人々はモンスターによって恐怖の真っただ中にあった、魔王と呼ばれる恐怖の大魔王が表れたことにより、モンスターの数は急増、国では到底討伐しきれず、年間、何十万人もの人間たちが命を落としていた。そこで表れたのが勇者である、勇者は、類まれな知恵と勇気で、仲間と共にモンスター急増の原因となった魔王を倒すため、陸を空を海を水中を、地中を、駆けついに魔王を倒したのであった。
本当はこれよりもっと詳しくなるらしいけど、大体これが簡単にまとめた、この世界の伝説である勇者の伝説である、次がギルド創設に関して。
しかし、魔王を倒した後も、未だに大量にいるモンスターに人々は手を焼いていた、そこでモンスターたちを効率よく討伐するために、勇者の手によって作られたのがギルドである、と言われている
まあ、ギルド成立から10000年以上もたったんなら当たり前だよな…勇者と言う名前が出て来た時には驚いたけど、結局は半ば迷信みたいなものだと真はそう思いながらギルドの受付の人たちに登録の申請を申し出た。
「あの、すみません、私たちギルドに登録したいんですけど」
「あっはい、登録ですね、はい、ではまずこちらの紙に、名前と出身地を書いてください、偽名でも構いません」
「はい、ほら真、ここに名前を書く」
ソラが、真に促すように言った。
「…分かったよ」
偽名OKと言う、不思議な制度に疑問を浮かべながらも、そばにあった、これまた初めて見る物ではないか?と言える本場の羽ペンで、何故か自然に描けてしまうこの世界のメゾン文字を使い、これまた初めて見る羊皮紙に、山崎真、と書いた。偽名を使っていいと言っても、別に、本名で良いだろう、そして、出身地にはニホンと書いた、やっぱり本当の祖国を書いたほうがいいしな…と真は思いながら書いた。
「…よし、ソラ書けた?」
「ばっちり」
横を見るとすでに紙に、ソラ、と名前を書いていた。
俺が決めた名前だから、本名なのか分からないが、例え違っていても偽名がOKだから、別に関係ないか、真はそう思いながら、自らの名前を書いた紙を受け付けに提出した。
「ありがとうございます、次は、貴方達は二人でパーティーを組みますか?」
「パーティー?」
「単体での登録なら名前を登録すればいいけど、私たちは、一緒に登録したじゃない、だから、私たちみたいな複数の場合、チームとして登録すれば、何かと便利じゃない」
ふーんと真はそんなものなんだと思い、すぐさまOKを出した。
「では次に、この水晶玉に、血を垂らしてください」
「…血?」
痛々しそうな言葉に、真はついついそう呟いた。
「真、ギルドに登録するには、正確な個人情報を特定する方法として、血をもらうのが一番の手段なのよ、この水晶玉はね、特別仕様で、血を垂らせばその人特有の血を認識してくれるの、そうすれば、もし、ギルドで登録した人が犯罪に走って、ギルドから抹消された後、その犯罪を犯した人が、生活苦で、またギルドに登録するために偽名を使っての登録を防ぐためにあるの、それに、この水晶玉を元に、私たちの強さを、図ってくれるって言うすぐれものだよ」
ソラが得意げに、そのことを説明してくれた。
「そうです、当ギルドでは、個人の管理のため、血をもらいます、その代りそれらから得られた情報等は、このギルドが誓って守ると約束します」
「…」
真はやるしかないな…そう思い、受付の人が渡してくれたナイフで、指をちょっと傷つける、元の世界の真だったらそれすら躊躇してできそうになさそうだが、精神が弄られた影響でそう言うのは全くなかった。
「…で、血をこの水晶玉になすりつければいいのか?」
「はい、それではれて、登録が完了となります」
「…」
真は恐る恐る、自らの指からぷくっと出る血を水晶玉になすりつけた。
「かっ」
と、水晶玉一瞬光った。
「はい、登録完了ですね、そして、これがあなたの身分証明書です、これを持っていれば、ギルドの依頼や、ギルドの庇護も受けられ、ダンジョンの出入りも自由、各国の関税も通りやすくなります、ギルドランクについてですが、これは下からG、そして最上級のSSSまであり、ランクによって、受けられる依頼も違います、ランクを上げるには、依頼を達成した後、ギルドにきていただき、依頼内容に沿って、ポイント制で徐々にランクを上げていきます。そして、下の方に貴方の強さが…って弱…いくらなんでも弱す…あっなんでもありません、どうぞ」
「…」
もろに聞こえてもろに悲しんだ真であった。
銅板の下には、活字印刷のごとく、丁寧なメゾン文字が魔法で彫られて落られており、どうやら、強さが書かれていた、よやくするとこうだ。
ヤマザキ マコト
出身地 ニホン
種族 人間
職業 なし
魔力 なし
攻撃力 3
防御力 4
魔防御 4
祝福 なし
加護 なし
ギルドランク G
「…」
真はどうやら真のあまりにもの弱さに痛い目を見るような受付さんの視線をかわしながら、そこに書かれていた項目を見ていた。そして真は、どうやら強さを測ると言うのは、俺が開くウインドウの劣化版みたいな物のようだとこれを見ながらそう思った。
しかし、加護、職業、魔防御と言う自らのウインドウには書かれていなかったはずの項目もあったことから、あながちただの劣化版とは言えないのではないかとも思っていた。ちなみにギルドランクについては、ファンタジーものをよく読む真にとって、どのようなものなのかは察しがついていた。
「ふふん、どう、真?みしてみして!」
どうやら同じく登録を完了したとおもわしきソラが近づいてきた、どうやら真の強さに興味に興味があるようだ。
「…ソラ、いいかい、世の中には知らない方がいいということだってあるんだよ、だからね、今回は勘弁」
「もう、いつも真って、私がいつも、どれくらい強いのって言っても聞いてくれなかったし、何で教えてくれないの!!」
ソラがそう言って抗議する。
「いや、だってそう言われても言いたく…」
しかし真はその言葉を言い続けることはできなかった。
「奪ったり!」
隙をついてソラが真の身分証明祖を真から奪ったからである。
「ってあ!」
(いつの間に)真はソラのあまりにもの素早い動きにそう思った。
「どれどれ」
「やめて!みないで!!」
真がそんな恥ずかしい声を出しながら慌ててソラから身分証明書を奪い返した」
「…真」
しかし…
「…大丈夫、私が居るから、ゴブリンよりよわくたって…私は真の味方だから」
遅かったようだ
「のわーーーーーーー!!」
真の悲鳴が、ギルド中に響きわたったのであった。
「…で、真これからどうする、宿に泊まるためにも、資金を稼がなくちゃいけないけど」
ソラが言った。
「うん…それだね…正直、俺の世界の物を売れば、簡単に資金なんて稼げるけどね」
「まあ、それもそうね、で真?どういうものを売るの?」
「うん…マジックペンにするつもり」
「…まじっくぺん?」
「まあ、みてくれればいいさ」
真はソラをなだめた後、マジックペンを大量に召喚するべく、呪文?を唱えた。
「山崎真が告げる、スーパーに山づみにされていた、マジックペンを召喚せよ!!」
真がそう言った瞬間、目の前に忽然と、突然車輪がついた棚が表れ、その棚の上には、3色どれでも50円!というフレーズが書かれた、段ボール箱の中には、赤、青、黄色のマジックペンが大量に置いてあった、100本ぐらいあるだろうか。
「わー、真ってつくづく思うけどこれだけは凄いよね、で、これって何かな?」
ソラが…おそらく冗談なのだろうが、ちょっとばかり酷いことを言いながら、マジックペン(青)を取り出した。
「えーと、ソラ、確かこの世界って、書くものと言ったら、墨や、羽ペン、それと魔法墨位しかなかったんだよね」
「うん、一般の人が使っているのは殆どが墨ね、カラフルな色が出せるのは高価な魔法墨だけね、使えるのはお金持ちか、貴族ってところね」
「…よし、じゃあ、ソラ、ちょっとそのペンかしてくれないかあ」
「え…ううん」
ソラはちょっと戸惑ったようにマジックペン(青)を真に渡した。
「よし、じゃあソラ、まずマジックペンの使い方として、この蓋を外す」
真はそう言った後、ぽんと、マジックペンのふたを外した。
「おー、面白いね」
「次に、この…そうだな、この特殊なインクのついた所をこうしてこういう所にこすりつければ」
そう言って真はマジックペンが大量に入った段ボール箱にメゾン文字で、どうだ?凄いだろとマジックペンで書いた。
「…うそ…そんな簡単に、かしてかして!!」
ソラがうろたえながら、真のマジックペンを奪い取った。
「きゅきゅきゅきゅ」
そう言って、ソラは夢中でマジックペンを書いた。
「…」
「…」
そして、一時の沈黙?が訪れた
「真」
「はい?」
「…これは凄いわ、下手したらペン革命が起こるかも」
「…それは凄い」
真はマジックペンだけでそんな反応をするソラの顔を見ながら、苦笑いを浮かべていた。
「まあ、とりあえずソラ、結局これどこに売ればいいと思う?」
真はとりあえず、マジックペンの説明をした後、ソラに向かって言った。
「うん…いま思いつく最善の手段としては、やっぱり文房具とかを専門に売っている店に行くしかないよね…」
ソラがそれしか思いつかないという感じに、言った。
「…文房具屋ね…」
異世界でもそう言うのが有るんだと、真は思いながら、とりあえずソラの案に乗ることにしたのであった。
そして十分後
「おお!!これはどこの国の物ですかね?」
案の定店員を驚かしていた。
「はい、このマジックペンは、わが誇りある祖国、日本国独自の技術で作られた、今までの羽ペン等に変るペンであります、わが国でも珍しいもので、どうぞ、一つ1銀貨でどうですか?」
真はソラと打ちあった際、一応日本国と言う国で作られたということを強調しておくことで、体面を建てるべく、そのようなセリフを言った真であった。
ちなみに、この世界はキチンとした10進法で
まず、
一円玉の役目は、石貨で
5円玉の役目は、白石貨
10円玉の役目は、重石貨
50円玉の役目は、白重石貨
100円玉の役目は、鉄貨
500円玉の役目は、白鉄貨
1000円札の役目は、銀貨
5000円札の役目は、白銀貨
10000円札の役目は、竜石貨
そして、100万円が金貨らしい
そしてさらに上の白金貨が、なんと一億円…
正直この制度を聞いた時は、とてもじゃなないが、白金貨なんて持ち歩けねーよ、ていうか一般の店でつかえるのか?と思う真であった。そして、ファンタジーのくせして通貨だけは徹底してるなと思う真でもあったが、ソラにそのことを聞くと、確かに、名目的にはこんな感じだけど、結局はこの世界の通貨価値は現代日本よりも不安定で、例えば、白銀貨の価値が下がったりしたら、なぜか銀貨の方が高くなってしまうという現象が起きてしまうらしいことから、そこまで徹底されていないらしい。
ちなみにこの世界の平均的な職業である農民の平均年収は白銀貨5枚らしい、そして、この段ボールの中には百本ぐらいのマジックペンがある、つまり、一気に農民の2年分の収入を見込めると言う、凄まじい結果になるのであるが…
「いいでしょう、このまじっくぺんとやらはすばらしい、むしろ1銀貨ですむとは…ぜひ買い取らせていただきたい!!」
見事に交渉成立であった。
「…」
「…凄いよ真!!みて、白銀貨が10枚!!もう、当分働かなくていいぐらいだよ!」
「…確かにそうかもな」
真も、予想以上の稼ぎに半ば呆然としながら白銀貨を見つめていた。
農民の皆さんすみません、真はそう思っていた。
「で?どうする?こんなに簡単にお金を稼げるのなら、このままここで家を買って、ここで私と一緒に定住生活送る?」
ふふふっと、ソラは真に向かっていたずら下な笑顔を向ける。
「いや、それはダメだろ、お前の記憶を取り戻すためにも、ここに定住て言うわけにもいかんだろう」
「ふふふっ冗談よ冗談、それじゃあ、一つ今日泊まるホテルを決めようか?今までわざわざこの街はまで急いできたのも、真が寝袋で寝るのですら耐えられないうえ、寒いとか言ってたからだしね」
「…悪かったな」
真はソラの言葉に反抗するためそう言った。
「…」
商人はマジックペンを見つめた。
「…ニホンとか言っていたな」
商人はマジックペンをしげしげと見つめた後、真達が去って行った通りを見つめた。
「…どんな国かは知らないが、これは儲かりそうな予感がするな」
商人はそうつぶやいたあと、文房具屋に入って行った。
「…ここにするか」
真は、とりあえず、ソラに希望により、真の目の前には、このシュートラスという町で、一番豪華らしいホテルがあった。
外見としては、レンガ造りの3階建、如何にも中世ヨーロッパ的な建築美、ケルン大聖堂の小型版ともいうべきかまあとりあえず、そこまで大きくはないが、豪華な屋敷であった。
「…ぎぃ」
真はとりあえず、恐る恐る開いてみた、こんな豪華ホテルなど泊まったことなどないからである、すると
「「いらっしゃいませ!!」」
行きなり、猫耳&メイド服の美女がそう言って来たもんだから真はちょっとばかりうろたえた。
「ぁ…あ?」
(すげーモノ本のネコ耳メイドさんだ)
真が驚いていると、それに見かねたソラが、代わりに受付のネコ耳メイドさんに話しかけた。
「あのすみません、とりあえず一泊したいんですが、おいくらでしょうか」
そんな真をおいてきぼりに、ソラが言った
「はい、一泊1銀でございます、朝、昼、夜等の食事をする場合は、これに5白銅貨を上乗せします」
(…うひゃー、高け…)
金銭感覚が狂いそうだな、真はそう思った。
「わかりました、じゃあ、これで」
そう言って、ソラはいつの間に真の懐から取ったのか、3つの銀貨を真の財布から取り出すと、支払を行った。
「ありがとうございます、では、部屋をご案内します、ついてきてください」
そう言って猫耳メイドさんは真たちを誘導していった、
「…」
真はジーと案内をする猫耳メイドさんの耳や、尻尾を見つめていた。
(すげー本物だ、秋葉のコスプレどころの話じゃないし、やべーもふもふしてみたいわ)
猫耳メイドさんを見ながらそんなことを思い浮かべていた。
「真、なにメイドさんをじろじろ見てんのよ」
しかし、ソラによって、あっけなくその妄想も終焉を迎えたのであった、
「わー凄い!!」
「おー、ホテルは別に現代日本とそんなに変わんないだな、普通にベットだし」
まあ高いからだと思うけどね
真は布団をトランポリンにして遊ぶソラを見ながらそう思った。
「うん、やっぱりベッドは良いわ、うん」
「…」
真はホテルの室内を見渡した、二つのベッドに、下に引いてある高そうな絨毯、御化粧台とおもわしきモノやら、本まで置いてある。
「あ!真」
ソラが何やら思いついたように真の名を呼んだ。
「どうしたソラ」
何やらにやにやしているソラにを見ながら真は言った
「もしかして、ベッドが一つだったらよかったのになー、なんて思ったり?」
「…」
真は美少女と二人でホテルに泊まると言うのに、そのことを考えてもみなかった自分に悲しみを抱いたのであった。
真たちはとりあえずホテルを確保した後、防具やら剣を見にってみた、近代兵器を使う真にとって、剣は不必要かと思ったが、せっかくファンタジーな世界にきたのだから、武器屋に行かなくては損だろうと思い、行くことにしたのであった。
「…おお、マジで剣とかが売られてある」
まず真たちは最初に言ったのは、ホテルから近かった武器屋であった。
剣を二つ合わせた看板に、武器屋とメゾン文字で書かれてある、まさしくファンタジーだ、そう思った真であった
「真、そう言えば剣とか使えるの?」
鋼色の剣に、目を見開いて食い見るように観察する真を見たソラは、疑問に思ったのかそう言った。
「…うん…なんて言うか…その」
真はすぐさま、全く使えません!てへ!なんて恥ずかしく言えずに、何とか話をずらそうとした。しかし…
「おい、話をずらそうとしてんじゃないぞ小僧、その体を見る限り、使えないにきまっておろうが!!」
突如不意を打つように来襲した男のどなり声によって、真の野望は粉々に破壊されたのであった。
「へ?ちょっえ?だれ?」
そう言って真とソラは声のした方向を向いた、そこんは、如何にもファンタジーな世界で武器屋を経営しているぞ!!と宣言しているような、身長190センチの長身の、あり得ないほど迫力満点のマッチョなオヤジが居たのであった。おそらくこの作品がワ〇ピースであったならば、後ろにドーンという文字がでっかく書かれていたであろう、そして何やら服の所に店主とわざわざご丁寧に描かれてあった。
「…如何にもファンタジーみたいな店主だな」
普通ならその気迫に押されそうだが、案の定真は精神をいじられていたので、恐怖心を感じられず、ぼそっと、素直に思った事を口に出したのであった。
ちなみに、ソラは震えていた。
「ほう、そんな軟弱な肉体をして、震えあがらずにおれるとは、心は確かなようだな」
ファンタジーな店主そう言うと同時に胸を強く叩いた、正直言って、怒鳴ってるっているのではないのか?と思ってしまいそうな大声であった。
「…はあ、まあとりあえず、俺にでも使えそうな、武器とかないかな?できれば彼女にも」
その声にもひるむ事さえなく、自分はお客様だし、頼めば案内してくれるだろうと思いそう言った。
「…ふふふ」
しかしその返答は何やら無気味な笑い声であった。
「…はぁ?」
真はとぼけた声でぽカーンとしていた
「ふふはははははははははは、根性あるな小僧、大抵の者は俺の声を聞いただけで怯むのに、おぬしは全然そのそぶりを見せない、なんだ?もしかしてお前には何か特別な理由でもあるのか?」
ファンタジーな店主は笑いながら、自らが疑問に思ったことを真に問いかけた。
「…いや、別に」
まさか異世界人ですよとは言えない真は、必然的にそう言うしかなかった。
「…ふん、まあいい、しかし初見で俺に対して堂々と喋りやがったのは、そうそういないぞ…しかも、お前さんは全然戦闘経験とかなさそうなのにだ…」
また話がループしそうだ、そう思った真はとりあえず、初期の目的である自分にも使えそうな武器の所え案内させてもらうため、話を元に戻すことにした。
「とりあえず、店主さん?でいいですか、できればこんな風に雑談するより、今すぐ自分や彼女にも使えそうな武器が有る場所に案内してほしんですが」
真はこれ以上探求されてはたまったものではないので、強気でそう言った。
「おおっそうだったな、ほう、堂々と喋るだけではなく意見までもしたか、面白い奴だ、付いてこい」
(お客さんを相手にする態度じゃないよな…)
今更ながら、ファンタジーな店主の現代日本では考えられない態度に、そう思った真であった。
「で?具体的にどんな武器が良いんだ?言っとくけどお前には剣は無理だぞ、見るだけで分かる」
「…まあ、一応護身用の短剣とかないですか?なんか、魔法の付属効果がついた短剣とか?」
ここはファンタジーね世界だし、真はそんな短剣が有るかもしれないと思い、真はそう言った。
「…確かにあるが、あれは高いぞ、短剣でも一個二銀貨はするぞ」
(…結構高いな)
しかし、普通の短剣の相場など知らない真は、とりあえず、隣にいるソラに聞いてみた
「なあソラ、買っても良いか?」
「…いや、別に良いじゃない?お金もたくさんあるし、贅沢しちゃいなさいよ」
なにやら、そこらへんに置かれてあった高そうな剣やらクナイ?の様な武器に夢中ぽいソラはそう言った。
「…それじゃあ、そう言うことで、とりあえずどういうのか見せてくれませんか」
「…分かった、ちょっと待ってくれ」
そう言ってファンタジーな店主は何やら店の奥へ行った
数十分が経過した
「すまんすまん、遅れてしまった、これなんかどうだ?」
そう言って、ファンタジーな店主は何やら、埃をかぶっている短剣を差し出した
「これは、俺が作った中で力作だった魔短剣だ」
「…これは…どう言う感じの短剣ですか?」
真は言った
「おう、この短剣の付属効果は、俊敏さアップだ」
「俊敏さ?」
真はファンタジーな店主の言葉をこだまのよう繰り返し言った。
「そう、俊敏さだ、お前はまったくと言っていいほど、俊敏さがなさそう…いやないな、そんなんじゃ正直言ってやばいからな、奇襲でもされればころっと死んじまうぜ、だから、お前に一番よさそうな魔短剣はこれなんだよ!」
そういってファンタジーな店主は短剣を真に手渡した。
「…」
短剣と言っても、真は触ったことなどないので、いろいろ観察して見たが別にこれと言ったことはなった。
「確か、このような魔道具って、なんか使い捨てが多いとか聞いたんですが、そこら辺は大丈夫ですか?」
真はソラが言っていた、魔道具は高くて使い捨てが多いという言葉を思い出し、確かめるべくそう言った。
「おいおい、もしかして、お前さん魔道具と、この魔短剣を同じようにみているのか?」
「…いや…その」
真は言葉に詰まった
「…ふん、まあいい、その顔を見る限りよく知らないんだろう、よしじゃあ俺が一から教えてやる」
ファンタジーな店主はそう言った
「いいか、魔道具ッつのは言わば魔力やら、魔術師の想像力を補う、言わば魔術師の力を強める効果を持つ道具のことを言う、これら魔道具は一部を除いて使い捨てが多い、だぶんそこからお前の耳に入ったんだろう、そして、このような魔短剣についてだ、これはな、力具と呼ばれているんだよ」
「力具?」
真は初めて聞いた言葉にはてなの文字を浮かべながら呟いた。
「力具と言うのは、いわば、持っているだけで力がつける物のことを言う、この短剣は、威力とかそういうのは普通だが、その付属効果は魔道具と違い、半永久的に使えんだ、まあそんなものって言う事だ、他に、付属効果だけじゃなくて、武器自体が魔力を帯び、魔力がない子供が降ったとしても、風の刃を自動的に起こすような物もあるが、これは魔武器と呼ばれている、まあいわば究極の武器って感じだ、もっとも、魔武器だなんて滅多に市場に出ないがな、ちなみにうちは扱ってない、これでいいか?」
「…」
つまりなんだ、魔術師の力を上げるのが魔道具で、これは一部を除いてインスタント式、力具や魔武器は半永久的に使える、そんなかんじかな、真はそう思った。
「ほう、その顔だと、どうやら分かったみたいだな、普通こんな簡単なことを分からない奴などいないはずだが、どうせ訳ありなんだろう、深くはつっこまん、お前は俺のお気に入りだしな」
なんだか頼もしく見えてくるファンタジーな店主であった。
「ありがとうございます、そう言えば俊敏アップて言うのを出すにはどうしたらいいんですか?」
「ああ、それなら、短剣に対して血を垂らせばいい、力具の中には別に普通に身につけるだけで効果があ得られる奴もあるが、魔法の加護がついてある剣などの加護を受けるには、自らの血を垂らすことによって、初めて効果が得られる、別名、武器との契約とも言われ、血を垂らせば魔法の加護は所有者にしか受けられない、仲間を巻き込んでの加護の場合は仲間に加護を与えれるがな、まあ、その短剣の様な奴の場合は、契約することによって、ようやく得られるタイプだ、どうだ?大サービスとして、銀貨三枚だ」
「…」
まあ、確かに、自分は俊敏さに欠けていることはある、これからの旅にもされは付きまとうだろうし、だからと言って今すぐ鍛えるわけにもいかない、ならばこれは買った方がいいだろう、真はそう思った
「分かった、買おう」
「おう、ありがとさんよ」
ファンタジーな店長は、なんだか嬉しそうに言った。
「次は防具なんだけど、店主さん、なにか先ほどの短剣みたいなお勧めはないですか?」
真は買った短剣をとりあえず懐にしまった後、今度は身を守るための防具を買うたそう言った。
「うん…防具か…今革製の防具の生産地がドラゴンに襲われちまってな、最近こなくなっちまったから、手ごろな防具がねーんだよな、だから残念ながら防具は今ほとんどないんだよ、有るとすれば、鉄でできた重い盾ぐらいか、それ以外は、どうしても力具になっちまうからな…お前さん、力なさそうだから、鉄のような重い盾なんて、持てないだろ?しかも力具の防具っ言うのは需要が高い、そのため、どうしても高くなっちまう上、いまこの店には少数しかない、すまないがな」
「そうですか…じゃあ、鉄の盾を持てるようになる力具はありませんか?」
幸いにも金はあるので、真はこの短剣の俊敏さアップのように、もしかしたら力アップがあるかもしれないと思い、そう言った。
「うむ…そんなものないな、今のところ力具はこの店では五つしか扱ってない、その五つの中に、力を強めるものは残念ながらないな」
どうやらそんな都合よくないみたいであった。
「…わかりました、ではいろいろとありがとうございました」
ほんの一瞬、その五つある力具を全部買ってみようかなと思った真であったが、いくらなんでも、そんなことをしたら、何だか自分が金持ちで傲慢な人間みたいだし、店長さんの機嫌が悪くなるかもしれないかと思い、これぐらいが引き際だと真は思った。
(じゃあ、なにか防具の代わりになるようなものでも召喚するか…)
「わかりました、いろいろありがとうございます」
「おうよ!!今度防具用の力具仕入れたら、また来てくれよ!」
言葉だけ見れば別に普通に別れを言ってるだけのように見えるが、その実態は怒鳴るような声で怒っているように言っていたのであった。
(あの人は声の手加減と言うのを知らないのだろうか…)
真はそう思いながら、ソラの所へ行った。
「…で、ソラは何か買うの?」
真はとりあえず、色々剣なんかが置かれてある場所にいたソラを見つけた後、何か買うものでもあるのかな?そう思い話しかけた。
「え?ああ、それならもう済んだところ」
そう言って、ソラは戦利品?のように買ったと思わしきレイピアを見せつけた。
「…あれ?財布俺が持ってたよね」
「ふふっ、真から金をくすねるなんて、ちょちょいのちょいよ」
鈴のような声でくすくす笑うソラを見ながら、今度から財布を厳重管理にしておこうと思う真であった。