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旅立ち

「…なあ、その、シューストラスとか言う町まで、後どのくらいあるんだ?もう疲れた」


あのあと真はソラの案内で、まず、シューストラスとか言う街を目指すため、とぼとぼと歩きながら、ようやく人が作ったとおもわしき道を見つけ、そして、その道を歩いに歩いて、二時間がたった頃であった。

 もともと帰宅部な真は、体力的に耐えきれず、更に、携行用ガスコンロやカップラーメンが入った重たいリュックを背負っているため、更に疲れ、地べたにへなへなと座りながら言った。

「うん…一週間くらいはかかるわね」

ソラがそんな疲れ果てた真の様子を見ながら、絶望的な言葉を漏らした。ちなみに今のソラは真が召喚した服を着ている、ソラの名に恥じない空色のブレザーにチェックのスカート、我ながら素晴らしい物を召喚したと、ソラの格好を見ながら、真は思っていた。

「いっ一週間だと…」

真はそんな現代では考えられないほどの長時間の移動に、呆然とした。


そして、そんな真の様子に耐えかねたのか、ソラは言った。

「…ねえ真?別にこれぐらい普通だよ、それにこれぐらい歩いただけで疲れるなんて、もしかして、貴方頼りない?」

ひゅーーーーーーーーーーーーーー

風が真たちを駆け巡った。




「…いや…チョットな…異世界に転移した疲れが、ここで溜まってきたトオモウ」

真は、冷や汗をかきながら、そんな苦しまぎれの言い訳を言っていた。

あのあと、真は自らが異世界と言うこの世界とは全く別の世界からやってきたということを明かし、ここに至る経緯まで伝えた、初めは信じてくれないかもしれないと思った真であったが、案の定ソラは呆気ないほど簡単に納得してくれた、どうやらカップラーメンがあまりにも異常だったかららしい。


「…ふふーん、騙されないわよ、そんなことぐらい演技だってことぐらい直ぐに分かっちゃうんだから」

どうやらばればれだったらしい

「…何故ばれた」

「私はね、こう見えても勘が鋭いのよ、何故だか全然分かんないけどね…まあいいわ、休憩しましょ」

そう言って、ソラは真の横に座った。

ひゅーー

そんな涼しげな風が、座っている二人を包み込むように、吹いたのであった。


「…」

真は、さっきのソラの言葉から、自分はこの世界で生きていけるのか?もしかしたら明日には死んでいるのかもしれない、とそんなことを心配げに思っていたのであった。

「…なあ、ソラって強いのか?その、戦闘とかさ」

自分よりかなり勇ましそうな彼女に、真はそんな情けないことを言っていた。

「…うん…よく分かんない、記憶ないから、今私が使える魔法から考えるに、残念だけど、私は弱いね」

ソラはなんだかふてくされた様な顔でそう言った

「…具体的にどんな魔法が使えるんだ?」

そう、この言葉から分かる通りに、この世界にはあのウインドウに書かれてあった通りに魔法があるのである。ちなみに真が自分は使えるかとソラに聞いてみたら、魔力ある?と聞いてきたので、ないと答えたら、そんな使えるわけないじゃん、とけらけら笑われたのは真のちょっとしたトラウマである。

「うん…攻撃的な系統の火系統はファイアボールと超初級の手から火を出すことだけ、水系統は、ちょっとしたヒーリング位しか使えないし、一番得意の風系統は人の気配を探知する、探索マジックと、人を吹き飛ばす突風を吹かせるぐらい、土系統は、錬金だけかな…合わせ技として、風と土で、砂ぼこりのちょっとした竜巻ぐらいかしらね、ちなみに光とか闇とかは全く使えませ~ん、ランクで言えば、Fね」



 ちなみに、魔法には次の系統があるらしく、火、水、風、土、雷、光、闇、とあり、個人差があるらしく、大抵はどれか一つがとても上手くて、他の系統は微妙、もしくは苦手が多く、また、まったく才能がなく、魔法を使えない人もいれば、全部を極めた人もいるらしい、火、水、風、土、雷は魔法に才能がある人ならだれでも使えるらしく、逆に、光、闇は、使える人は少ない。

 あと、魔法が使える者にはランク付けがあり、最低ランクのGからSSSまであるらしい。もちろん真はG以下である。


「…」

真はファンタジーについても結構詳しいので、これらの魔法の意味は大体は分かった、だけど…もうちょっと強くてもいいのでは…とソラではなく空を見ながら思っていた…

「…なあ、魔法ってどうやったらうまく使えるようになるんだ?」

いくら精神を弄られたと言っても、死にたくないという気持ちはあるので、これぐらいの魔法では心配になってしまった真はそう言った。


「…うん…魔法って言うのはね、想像力で決まるのよ、例えば竜巻をうまく作りたいときには、風魔法の呪文を言った後、風魔法の魔法陣を出し、竜巻が回るのを思い浮かべながら、体内にある魔力を外に出し、その魔力で竜巻が回る仕組みを思い浮かべながら、魔力を思い浮かべたとおりに回らせるための呪文を言った後、発生するのよ、まあ、一番手っ取り早いのは、魔法具とかを使えばいいんだけど、魔法具なんてないし、高いし使い捨てが多いから、やめた方がいいよ」


ソラは、魔法のことがわからい真のために、分かりやすくそう言った。


「…うん…つまり…魔法は魔法具を使えば簡単に強くなれるが、効率が悪くて使わない方がいい…これは分かる、他に通常での魔法の強化は想像力が大切で、たとえば竜巻を起こすためには、竜巻の仕組みを思い浮かべながら呪文を唱えると発生すると言う感じか」


(…まてよ)

真は急に自らの頭の中にひらめいたものがあり、ついそう言った。


「…なあソラ、お前竜巻ってどんな自然現象なのか、分かるのか?」

「え…どんな自然現象かって?…うん…風が、くるくる回るような、そんな感じ?」

「…」

なるほど、と真はそう思った、この世界の人たちは上昇気流とか、下降気流なんていう、詳しい自然現象とかを知らないんだと、そしてそれは、自らの異世界の、進んだ科学技術により解明された竜巻に関する詳しい知識によって、影響を与えることができると言うことを…


「…なあ、竜巻は元となる雲があって、その雲が上昇気流を起こして雲の下の空気を吸い上げ、天候が乱れると空気の流れが重なって渦巻きを作る、この渦巻きが集まってくると、回る速さは一層早くなり、下にあるものを吸い上げる、これが竜巻の仕組み…こんな話聞いたことがあるか?」

真は、どこかの小説にそんなことが書いてあったのを思い出し、竜巻のちょっとした知識を披露した。

「…え、なにそれ?…ちょっと詳しく教えて!!」

ソラはどうやら、その説明に興味が湧いたらしく、慌てながらそう言った。


そして、結局竜巻に関する本を召喚するはめになったのは、当然のことであった。






「…へー、このリカノキョウカショと言うのは、凄いものね、魔法も使わずにこのような綺麗な絵を長期間、これまた高品質な紙に写してあるだなんて…字が分からないのが悔しいな…」

真が昔使っていた小学校の理科の教科書を見ながら、ソラは言った。


 ちなみに、言葉や言語の問題についてはすでに答えが出ており、会話はちゃんとできているは今までので分かるが、文字を読むことに関しては少し違うらしく、真はこの世界の文字を何故か読むことができるが、この世界の人、ソラみたいな人は、真の世界の文字を読むことができないであった…何か中途半端だな、どうせならこっちの世界の人間も俺の世界の文字が読めるようにすればいいのに、真はそんなどうにもなりそうにない愚痴を言っていたのであった。


「…いちいち、真に翻訳してもらっても不便だし、こうなったら…」

ソラは何を思ったのか、突如こう宣言した。



「真!!」

「なんだ?」

「私に、ニホンゴ教えて」

「…なんで」

「真の世界の書物は、私たちの世界に比べたらとてつもなく進んでいるのよ、絵を見るだけでわかる、それに私、真の世界に興味が出てきたし、これからも真の世界の文字を読むことだってあるかもしれないじゃない、だから、お願い、教えて」

ソラは、手を組みながら、真にねだるように言った。


「…いいけど、だけど日本語って確か俺の世界でも最も難しい言語の一つだぜ、そんな簡単にできるのか?」

真は、この世界の文字をなぜか理解することができるため、日本語を教えてあげることも出来なくもないが、一応、世界の中でもトップクラスに難しいと言われている日本語をちゃんとソラが覚えてくれるかどうか、不安だったため、そう言った。


「大丈夫、私、頑張るから」

ソラは決意のこもった顔で、そう言った。


「…日本語には確か、漢字と平仮名と片仮名とアラビア数字とアルファベットと、かなり大量の文字が使われてるけど、大丈夫か」

まだ心配な真は最後の抵抗をした。


「…大丈夫大丈夫だって、ほら、まずは先生、言葉の基礎から」

笑顔でそういうソラ、結局折れた真は、これから日本語をソラに対して教えることとなった。

 ちなみに今日だけで平仮名の発音と書くことができてしまったことには、真は眼をくりぬくほど驚き。

 

 そして、彼女のステータスに天才と書かれていたことを思い出し、妙に納得した真であった。


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