ダンジョン探索
至極簡単な武器紹介
M1897ショットガン
ジョン・ブローニングという人物が設計した、ポンプアクション式散弾銃である。
第一次大戦では、塹壕戦の狭所戦闘にて凄まじいまでの有効性と残虐性を示し、『トレンチガン(塹壕銃)』の異名を得るほどまでに活躍した、あまりにもの威力に、当時、この銃の猛威を受けていたドイツ軍は、「ハーグ条約に違反している」と直訴するほどであった。
装弾数は5発である。
威力の方は、簡単に言えば近距離から50mくらいまではほぼ無敵、突進してくるバッファローも1発撃沈である。
個人用の兵器として、ベトナム戦争まで活躍した。
シュートラスダンジョン5階…
ここは、今までのシュートラスダンジョンの階と同じく、ゴブリンやスライムなど、所謂初級のモンスター、G級クラスが出現する、しかしこの階からは、ついにワンランク上のモンスターが現れるようになり、通常の冒険者等の人達のとって、一つの節目となる様な階でもあった。
だが…現在のシュートラスダンジョンの5階には、そんな通常の初心者冒険者をまるで罵倒する様な存在が…節目?なにそれ?な感じに進軍していた。
ダンッ
「ギィ…」
ドサッと…
その時、突如薄暗いダンジョン内を響かせたその乾いた音は、通常の初心者冒険者にとって、とても倒すのに苦労すると言われるモンスター、ゴブリンシャーマンをいとも簡単に絶命させてしまったのであった。
そう、その初心者を罵倒するような存在、もしくは輩とは、当然のことながら真の事であった、事の発端は、ふとソラが「あっ、あそこにゴブリン」と言う言葉共に、「またゴブリンか…」と言いながらダンッと、ゴブリンシャーマンだと言うことすら知らないまま、真は見事にゴブリンシャーマンを打ち取ったことからはじまり、現在の状況に至るのである。
「あれ…?」
その時、ふとソラが何かに気がついたのであろうか、疑問めいた声を上げた。
(あの服、普通のゴブリンが着る服じゃないわね、そしてあの持っている棒見たいのは…もしかして)
どうやらソラはなんだかほうきで埃を掃くのと同じような感覚で倒してしまったゴブリンの正体にようやく気づいたそうである。
「…ん?なあソラ、あのゴブリン服装可笑しくね?」
そして、どうやら倒した張本人である真も、目の前のゴブリンの異常性に気づいた様である。
「あれって…もしかして」
ソラは自らの頭の中で立てた予測を、なんだか引きつったように呟いた。
「ゴブリンシャーマン…じゃない?」
「ゴブリンシャーマンだな…これ」
「やっぱりね」
真達は倒した相手がゴブリンシャーマンだと言う事に気がつくと、すぐさまゴブリンが死んだ場所へと駆けつけていた。
黒ずんだ灰色の修道服っぽい服に、30センチ位の木で出来た杖らしきもの、そして体はゴブリンと言う、如何にもゴブリンシャーマンと言うような存在の死体が、真の目の前に倒れていたのであった。
「…ゴブリンシャーマンってあれだよな、ソラがダンジョンに入る前から、言ってた手ごわい奴だろ、たしか」
真がそんな事を呟く…
「はぁ…」
ソラはそんなこと呑気な感じで言う真にあきれたのか、ため息を付いた。
「…まさかこんな簡単に倒すって…ゴブリンシャーマンの射程外から一撃で葬る初心者ってなに…」
遠いい目をしながら、ついつい出てしまったソラの言葉が、ダンジョン内響くのであった。
「え…いやそんなこと言われてもな」
真は反応に困ったのであろうか、戸惑いながら、呟くしかなかった。
「…なあソラ、とりあえず、ゴブリンシャーマンっていったいどんなふうに強いんだ?ほら、俺が一撃で倒した事なんてとりあえずは置いて、ほら、これからの為にさ、なんかこの世界の常識みたいだしさ…あれ」
真は混乱する頭の中で、まるでボッサボサの毛糸で無理やり紡いだ、目の前のため息を付いているソラに対する言葉を、必死になって考えた言葉を、呟いたのであった。
「…はぁ、まあ気にしてもしかたないし…あのね真、ゴブリンシャーマンって言うのは、魔法を撃ってくるのよ、初級のだけどね」
ソラがため息を付きながら、真にゴブリンシャーマンについての説明をする。
「…魔法?え?どんな魔法つかってくるんだ」
真はどうやら初めて魔法を使ってくるとか言うゴブリンシャーマンの詳細を聞いて、警戒したのだろうか、それともただの興味本位で聞きたいのであろうか、ソラに聞き入った。
「うん…ファイアーボールとか、スモールエアーカッターとかかな、ちょっと強いゴブリンシャーマンなら自らにヒーリングをかけて回復してきたり、電撃技を仕掛けてくることもあるわね」
ソラは、ゴブリンシャーマンに関するちょっとした知識を真に向かって言ったのであった。
「え…それって結構強いんじゃね」
真は、自らヒーリングをかけてくるとか、なんだかボスみたいで強くね?そう思ったのか、ソラに向かってそう言った。
「…あのね、いくら魔法を使ってくるからと言って、ゴブリンシャーマンの射程はどんなに強くても、長くても、15メートル、そんなに長くはないわ、初級の魔法だし威力も低い、それよりも何倍も長い射程から、ほぼ一撃必殺な攻撃を撃ってくる真が、恐れる理由なんてあるわけないでしょ」
ソラが手のひらを額に当てながら、あきれたように言った。
「ヒーリングだって、体力や防御力、魔防御が少ないゴブリンシャーマンにとって、宝の持ち腐れの様なものだわ、現にゴブリンシャーマンて言うのは、遠距離攻撃をしてくるのが辛いだけで、近づけさえすれば、いとも簡単に倒せるものよ」
ソラが真の顔を見て察したのか、ヒーリングについても、説明を付けたしたのであった。
「…は…なんかすまん」
そのソラの行動に、なんだか申し訳なくなってしまったのであろうか、真がふと、つられた感じに誤ってしまったのであった。
「いや…別に謝らなくてもいいけど」
ソラが真をじーっと見つめながらぼそっと呟いた。
「まあ、別にゴブリンシャーマンの射程外から攻撃して倒しても別にルール違反じゃないんだし、次にちゃっちゃと行こうか、真」
「…おう、ドロップアイテムはどうやら出なかったみたいだし、それじゃあいきますか」
真はなんだか後見が悪い様な感覚を感じながら、ソラに向かってそう言った。
「で…ジューコフ、シュートラスギルド支店長暗殺は…今日の夜にしたの?」
「…あぁ…そうだが?」
やはりと言うか、何処かにあるとおもわしき、紫色の蝋燭しか灯っていない薄暗い通路の中で、ジューコフとベアトリーチェが、向かい合いながら、そんな会話をしていた。
「…ふん」
相変わらず無表情な顔で見つめてくるベアトリーチェ、そのあまりにもの顔を見ると、何故だかジューコフは吐き気が襲いかかってくるような衝動にかかれた。
「…ッ…ちッ…で何の用だ、別にお前がしなくてはならない任務じゃないだろうし、俺がどんなやり方で仕事をやろうが、お前には関係ないだろうが!!今までだってそうだったろう?お互いの仕事には無関心、無干渉…そうだろう?」
今までのジューコフとベアトリーチェの関係を、宣言するかのようにジューコフが言う。
「…そうね、今までの関係なら、確かにそうだったかもしれない、だけどジューコフ」
しかし、ベアトリーチェは何を思ったのか、そのジューコフの言葉に反論した。
「正直言って、今の貴方じゃご主人様の依頼を十二分に達成できるかどうか、とても不安なの」
「…」
ジューコフはベアトリーチェのその言葉に、一瞬だが、ふと黙ってしまった。
「…はぁ…意味分かんねーよ、達成できるに決まってんだろ!現に今までだって」
「今までだって達成してきた…そう言いたいの?ジューコフ」
ベアトリーチェがジューコフの言葉を遮り、自らが予想した言葉でつなぎながら言った。
「でもね…違うでしょ、この前の依頼の失敗以来…そう、貴方も任務を失敗することが有ると言う事が、実証されたの、これわかる?」
「…」
ジューコフは沈黙していた。
「つまり、貴方のその今までだって達成してきたと言う言い訳はもう通じないのよ、そう言う事、だから、もしかしたらこの依頼でも貴方は失敗して、またもやビョーシェ商人ギルドに不利益な事が起きそう…」
「ああ!もう分かった!!説教はもういい!!それで、結局お前は一体何がしたいんだ?何の用だクソったれ」
ジューコフはこれ以上ベアトリーチェの説明を聞きたくないのであろう、ベアトリーチェの言葉を遮りながらそう叫んだ。
「…ふん…じゃあ、今回の暗殺任務は、私も同行するから、理由は貴方一人じゃ心配だから…以上、分かった?」
そんな事をぼそっとジューコフに言った後、ベアトリーチェはさっさと立ち去ろうとしたのだろうか、ジューコフの横を通り抜けようとした。
「まてよ」
しかし、どうやらジューコフはそのベアトリーチェの言葉に納得がいかなかったのか、ベアトリーチェに向かってそう言う。
「…なに」
「てめ…一体なにが目的だ?ヨセフ様からの御用立つなら俺に連絡が有るはずだし、つまりだ、この行動はお前の単独行動のはずだ、なんでお前が進んで俺に介入するんだ?いくら俺の事が心配だからって、そこまでするのは、可笑しいと思うが?」
ジューコフは自らのその疑問を、ベアトリーチェに投げかけた。
「…ちょっとね」
ベアトリーチェは言った。
「この前の依頼主である、ヤルトーの所がちょっと怪しいのよ」
「は?」
ジューコフはその事を聞いて声を上げた。
「なんでだ?そんなに怪しいかあいつ?」
「…私にも分からない、でも、胸騒ぎがする…だけど、アイツが今どこに居るのかは見当もつかないし、無理に襲うのもダメ…だから」
ベアトリーチェは無表情のままで言った。
「恐らくアイツらは私たちビョーシェ商人ギルドの行動に干渉するはず、だからね」
ベアトリーチェは言った。
「あの依頼失敗の罪を償って、ここずっと依頼、または任務続きである貴方についていこう、そう思ったのよ、そうすれば、貴方の依頼、任務に干渉してくるであろうビョーシェ商人ギルドに干渉してくるヤルトーの手下を捕まえれるかもしれない…これは、ご主人様のためにも、私たちの唯一の居場所である、ビョーシェ商人ギルドの為にも、ね」
ベアトリーチェはジューコフの耳の傍で、囁くようにジューコフに言った。
「ちっ」
ジューコフは呟いた。
「そうかよ」
シュートラスダンジョン14階…
「真!!4匹目のゴブリンシャーマンが来る!!」
「な!また…」
一方そのころ、真達はシュートラスダンジョン10階にて、複数のゴブリンシャーマンに囲まれ、少々手間取っていた。
「くそ」
カチャッと即座に真はヘンリー銃をゴブリンに向けて構える
(10階から複数のモンスターと一挙に遭遇する確率が上がるとか聞いたけど…さっきまで多くても2匹位しか現れなかったのに、一気に4匹とかなにそれ…)
真はそう思いながら、ヘンリー銃の引き金を引いた。
ダンッ
「ぎ…」
どさっと、四匹目のゴブリンも倒れる。
「真!!最後の一匹…五匹目が来る!!」
「え!!ちょま…」
「ギギギギギギ」
残り最後の一匹であるゴブリンシャーマンは真達の一瞬のすきを突き、ようやく射程に入ったファイアーボールを放った。
ボボボウッ!!
「真危ない!!」
「のわって!ちょわっと!!」
ゴウッ!!
真の必死の回避により、危うくゴブリンシャーマンのファイアーボールを真はかわした
「く…」
カチャッとプロ並みの速度で素早く真はヘンリー銃を構える
「喰らえ!!」
ダンッ
「ぎ…」
ドサッ
「はぁ…はぁ…ふぅ…やばかったな」
真はゴブリンシャーマンのファイアーボールによって焦げ付いた地面を見ながら、恐ろしげにそう呟いた。
(…それにしてもゴブリンシャーマンはやっかいだな、低射程とはいえ、多数現れたら、接近許しちまうし…)
真がゴブリンシャーマンの強さを細々と思った。
「…ゴメン、4匹も一度に現われたから、興奮して五匹目に気づかなかった…」
シュンッとソラが落ち込んだ様子でそう言う。
「…ああ、まあとりあえず気にすんな、これからは気を付ければいい…ほらさ…確かに危なかったかも知んないけどさ、何の怪我もないし、大丈夫だ、ソラ」
真がソラを励ますべく、そう言った。
「…はぁ、本当に真って優しすぎるというか…うん分かった、これからは気を付けるね」
「よし…それでいいんだよ」
真がソラの頭をポンポン叩きながらそう言った。
「…なんだかバカにされた気がするような」
ソラが真のその挙動になんだか文句ありげにそう言う。
「この前俺を追い出したしかえし」
真がニヤニヤしながらそう言う
「…もう…いやな奴…あっ」
そんな時、ソラが何かを見つけたのだろうか、呟いた。
「…ついに見つけたわよ、15階へ続く階段が」
「お…ようやくか」
二人はゴブリンシャーマンからドロップしたアイテムを、一応は使えるかどうか判別した後、ついに依頼内容の物を入手できる、シュートラスダンジョン15階へと続く階段を見つけたのであった。
「で、ソラ、そのコースラスとか言う薬草は、どこら辺から探しまわす事にするんだ?」
真は自らのリュックから羊皮紙で出来た地図を取り出しながらそう言った。
ちなみにダンジョンに地図…と言うとなんだか違和感があるが、実はシュートラスの様な大きな町の近くにあるダンジョンと言うのは、とても多くの人が入っており、その中にはダンジョンの地図を作って売っている者だって居るのである。
もちろんこの世界のダンジョンも、一か月おきに微妙に地形が変わったり、果てにはまったく違う地形になったりするときもあるのだが、やはり、それでも命がかかった現場ではこの様な地図はかなり愛されるものでかなり需要が有るらしい。それゆえ、地図を作る専門の組織もある。
もちろん、値段は階数が上がるごとに上り、精度も落ちてくるのだが、金がある真にとっては大丈夫の一言、キチンと値引きもせずに買い、今回の冒険に役立てたのであった。
「…うん…じゃあまずこの宝箱からにしましょう」
そう言ってソラは一番近そうな、宝箱の印が描かれた場所を指差した。
因みにすべてではないが、一応、地図には宝箱が有った場所が、現代日本の地図マークよろしく、如何にもな宝箱マークで記されているのである。ここら辺は何かと何故か進んでるな、そんな事を真は思っていたのであった。
「…よし、近いしまあそれが適当だしな、うんじゃ、行くかソラ」
真がソラの指差した宝箱の印を見ながら、ソラに向かってそう言った。
「うん、行こう」
そう言って真達は15階へと駆け降りた。
「…こないねー、ギブソン、ギルド支店長さんとか言う奴っさ」
エカーナが、シュートラスギルド支店の待合室で、手で首を支えながら、ぐったりとそんな文句、と言うか愚痴を、暇つぶし的に自らの目の前で、同じように待ちくたびれているギブソンに言った。
「…」
その言葉を、ギブソンは黙って受け止めているしかなかった。
「…ッ」
その時、ふと、何を思ったのであろうか、ギブソンはうなだれるように地面に向けていた顔を、前に向けた。
「…ちょっと行って来る」
ガタッとその言葉をエカーナに言った瞬間、ギブソンは立ちあがった。
「…やめときな、今のシュートラスギルド支店の連中じゃあお話にならん、大人しくとギルド支店長をまつんだ、ギブソン」
立ちあがって、横に置いてある例のでデカイ棍棒を持とうとしたギブソンを、エカーナは制止する。
「…じゃあ!!どうすんだよエカーナ!!このままギルド支店長を待つしか方法は居ないとでも言うのか!!」
「それしか無いに決まってんだろーが!!」
ドゴゴゴン
「ヒッ」
「うわ…またあの大男の奴暴れまわり始めたの?本当良い迷惑奴」
「なんだなんだ?」
「また暴れ始めたか?」
恐らくであろうが、さっきの音はエカーナはギブソンのあまりにもの醜態ぶりに、ぶち切れて殴った音のせいなのであろう、そして当然の事、周囲の人たちはその音に反応し、くるりとその音が響いた所を見つめた。
「ごふ…」
そんな周囲の人が見ている前で、ギブソンがエカーナに殴られた腹を押さえながら、倒れ伏せたであった。
「おおお…」
もちろん、その様子を見た周囲の人たちは、まさかギブソンがあんな風に倒されるなんて思ってもみなかったのか、そんな声を上げるのであった。
「たく…お前の気持ちは私にだって死ぬほど分かるよ、伊達に何十年も幼馴染として、あんたと付き合ってないからね、アンタの弟ボルトのことだって、お前ら兄弟の次に詳しいだろうと自負しているし、自分の事の様に心配だ、現に私だってお前みたいに駄々をこねて暴れまわりたいぐらいにな、だけどなギブソン」
エカーナは殴られた腹を抱えて倒れこんでいるギブソンを見ながら言う。
「我慢するんだ、我慢を、いま暴れまわたって、何にもなりやしない、ただギルドに迷惑をかけ、ただ奴らに弱みを握られるだけかもしれんないんだよ、分かったかギブソン、お前の弟であるボルトの為にも、ここは我慢することだね」
「ぐぐぐ」
ギブソンは痛む腹を抱えながら、眼すじに何か、きらりと光るものを流した。
「…はぁ…」
エカーナはギブソンの光る何かを、ハンカチで拭きとった。
「たく、だらしないねあんたは、そんな巨体になっても、子供んころからまったく変わんない奴だね…」
エカーナは濡れたハンカチを仕舞うとギブソンの背中を摩った。
「分かってる、お前さんが兄弟たちをどんなに大切に思っているかなんて…他の誰よりも…ね」
エカーナはギブソンを見ながらそう思った。
「…なんだか」
その様子を見ていたキーマは、考え深下に、ふと呟いた。
「こういう光景を見ていると、あの人離れした筋肉大男も涙を流すんだなって思うわね…ねえソーシャって…ソーシャ?」
キーマはふと自らの後輩に視線を向けたが、目の前に映った後輩は、ある驚きの行動をしていたのであった。
「グスン…ぅぅ…感動的です」
そう、感動のあまり、ハンカチ片手に泣いていたのであった。
「…ええと、ソーシャちゃん、あれで泣いちゃうの?確かになんだか感動的かも知んないけど、あれについつい泣くほどの感動的な要素なんかあったか?」
キーマが苦笑いを浮かべながらそう言う。
「ぐすん…だって、まるで物語みたいじゃない…ぅぅ、これで泣かないキーマさんの方が薄情者です」
ソーシャはそんな事を言うキーマを非難しながらも、現在進行形で涙を流しながら、感動していたのであった。
「…はぁ、ソーシャちゃんはホント、こう言うもの弱いんだね…ホント」
キーマはそんなソーシャを見ながら、そんな事を微笑みげに呟いていたのであった。
「だああああああ!!」
ガクッと、真はヘンリー銃を落としながら、倒れ伏せた。
「チクショ――――」
一体何を真は叫んでいるのであろうか、て言うか一体内が起こった、一体真の身に何が、と思ってしまいそうな叫び声を真は叫んでいたのであった。
「何時間探しても出てこねーよコーラスとかいう薬草…なにこれ、色違いのポ○モンでも探してんのかこれ」
そう、真達はかれこれ数時間も、ダンジョンの地図に記されている宝箱を、問答無用ですべて見つけ出して開いたが、肝心のコーラスの薬草が出てこないのであった。
「…ホント出てこないわね…稀にしか出てこないとは聞いてたけど、ここまででこないものなんだね」
ソラが目の前の真が先ほど開けた宝箱を見ながらそう思った。
ちなみに中身は例の刃こぼれを起した剣であった。
「なあソラ、もうあきらめないか…依頼の期限は一週間らしいしさ…あんまし食料を持ってきてないから、腹減ったしよ…もうやめにしようぜ」
真はへなへなと地べたに座り込みながら、ソラに向かってそんな弱気な事を言った。
「何言ってんよ真、さっき真のケータイで見た時刻じゃあ、まだ17時位だったじゃない、夜の19時まで頑張るわよ」
「え…え…」
真は呻きながら言った。
「マジで」
その顔には、絶望と言う名の叫びが、描かれていたのであった。
おそらく有るであろう誤字脱字の訂正は、例によって例の如く、かなり遅れてしまいます。本当に申し訳ありません。