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探す者と、泥酔者

 


「…ふぅー」

ジューコフは気温が一桁代の寒いなか、自らの主人に言われた任務の事を思い出し、一人、気温差からでる、白いため息をついていた。

「…冒険者ギルド、シュートラス支店襲撃…目標は支店内にある推薦書及びそれに準じる証拠物件、そしてシュートラス支店長の暗殺か…しかも誰にもばれないように」

また難しい事を言われたな、そうジューコフは思っていた。


「…ん?おかしい、ついこの前の俺なら、楽しんでいるはずなのに、なんでめんどくさいと思っているだ?」

自らの変化にジューコフは思わずそう呟いてしまっているが、実はすでにジューコフ内でも理由は分かっていた、そう、殺す事よりも楽しい事に、気が付いてしまったからである。


「…俺も変ったな」

ジューコフは白い吐息を、夜の暗く寒い空気に溶け込ませながら、考え深げにそう呟いた。

(…しかし、それはそれだ、今すぐにでも作戦準備をするか、まずは俺の特性毒薬の大量調合だ、ドゥットルーズとの戦いの際使いすぎたから、もう底がつきそうだし)

そんな感じに、ジューコフはこれからの任務を遂行するため、必要な物を頭の中で整理していたのであった。


しかし、次の瞬間おこった現象は、そんなジューコフの頭を整理どころの話ではなくなってしまわせるほどの、衝撃的な現象が起こったのである。




「ぐすん…真…どこなの真」


何処か遠い、暗くてよく見えないが、そんな声が、ジューコフの耳に入った。

「…」

ギョ!!と、ジューコフはその声を聞いた瞬間ビクッと、したのであった。

(こ…この声は、あいつだよな、あの少女の声だよな)

行き成りの出来事にこれからの任務の話なんてどこかへ吹き飛び、そして、それと同時に自分の中からわき出てくる感情に、ジューコフは混乱していたのであった。

(な…なな、俺はなにビクッてんだ、相手はただの少女だろ、そうだ、あのときは俺が油断してたからこそ負けたのであって、断じて自分が弱いから負けたのではない、そうだ、そうだ、だからビクつく必要ない、そうだそうだ、静まれ、俺の…俺の体よ!)


「グスン…う…」

しかし、その相手の声を聞くたびに、ジューコフの体はびくっびくっと、唸っていたのであった。

(ちくしょ、ちくしょちくしょ、何なんだよこの変な気分は、ろくな運動もしてない癖に心臓が動き過ぎているし、それにこの気持ちはあれだ…俺はこの女の声を聞くだけでも楽しいとでも思っているのか?)

ジューコフは混乱しながらそう思った。

そして、そんな風にいつまでも混乱し続けていたせいなのか、ジューコフはその少女が自分に向かって接近している事に、全く気がつかなかったのであった。


「ぐすんぐすん…」

そして少女の方もまた、なにやら悲しみに暮れていたのであろうか、ジューコフの存在に気がつかないでいたのであった。


そして、その結果起きる現象としては、次の現象が挙げられる。


前方不注意による、正面衝突である。


どす


と、そんな風に二人は衝突したのであった。


「な!」

「え?」

突然の出来事に、二人は驚きの声を上げたのであった。


「…」

「…」

次の瞬間、ジューコフの顔の温度が急上昇、ぼんっと音までなった。


(ななななななな、なんで、こんな目の前にィィィィ)

ジューコフはもはや無力であった。


「あ…」

ソラが涙にうるんだ目で、ジューコフの顔を見た。

「…」

その顔は一重に言うならば、涙にうるんでいる眼は数倍美しく、そして、さらっと、水色の髪がながられるさまは、もはやジューコフを悶えさせるのに十分だったといって良いだろう。

「…」

ジューコフはもはや思考停止になりそうな状況の中こう思った。


(…はは、俺死んだな、こいつは俺の顔を覚えているはずだ、そして、こんな醜態をさらしている俺なんて、こいつのトルネードで十分やれる、ああ、でも、それでいいような)

ジューコフはもはやキャラ崩壊を起こしていた。

「…あ…あ」

くるか?と、ジューコフはソラの顔と声を聞きながら思った。



「…すみません、私、よそ見をしてしまったせいで」

しかし、どうやら少女はジューコフの事に気づいていなかったようだ。


「…へ?」

拍子ぬけた感じに、ジューコフはそう呟いたのであった。


 ちなみに、なぜ、ソラはジューコフに気がつかなかったのか、それは、ソラの目は涙のせいでうるんでおりただでさえ視界がぼやけており、そこに、今が夜である故、暗くて、よく見えないのがプラスとなったのであった。

それと、ソラの頭の中が真の事が心配で心配であふれていることも挙げられているのかもしれない。


「…」

「ぐすん…ぐすん」

目の前で自分に誤ったあと下を向き、また涙を流す自らの片思いの人物…この状況下、男がすべき行為として、読者の皆様ならすぐさま分かるであろう、現に、そう言った知識がないはずのジューコフでさえ、本能?で、自らがするべき事が分かったのであるから。


「…」

さっと、ジューコフは一応、顔を隠す時に使う仮面を身につけ、こう言った。


「…お…お嬢ちゃん…どどどうしたの?」

震える声で、ジューコフはそう言ったのであった。













「…そうか!!お前も大変なんだな!!そうか!!そうか!!なら!!飲め!!俺の奢りだ!!ふははははは!!」

酔っ払いながら怒鳴る武器屋の店長が、隣にいる真に向かってそう怒鳴っていた。


「…いや、店長さん、唾散ってるから、ものすごい勢いで散ってるから、もはや雨だから、それと俺は17歳です、未成年です、だからお酒は飲めないと…」

「つれない事を言うなよ!!それと!!別に良いだろう!!もう17歳何だろう!!十分じゃないか!!」

「いや、このせか…この国ではそうかもしれないけど、俺の国では20歳にならなきゃ酒の飲酒はダメなんだよ、これわかる?」

「ああ!?お前さんの国はどうもケチくさい国だな、いいか少年、ここはおまえの国ではない、ハーストリア帝国だ!!と言うわけでお前さんの国の決まりごとなんて忘れちまえ!!」

「だからダメだって、お酒は体に悪いって言うし」

「酒が体に悪いだと!!聞き捨てならんぞ!!酒は体にいいものだ!!」

「ちょ!!キタね、唾が凄いから、豪雨だよ、洪水だよこれ、誰でも良いから助けて!」

一方、そのころ主人公である真は、あのあと武器屋の店長に誘われて、何やら酒場?みたいな場所に連れて行かれ、席に座らされたあと、この様に武器屋の店長に唾をおおいにかけられ、酒を飲むことを強制されていたのであった。


「良いから!!飲めや!!」

いつの間にかべろんべろんに酔っ払った武器屋の店長が真に強制的に酒を飲まさせようとする。

「うお!!誰か…誰か!!」

真は一応、このバーみたいな場所で、武器屋の店長と同じように酒を飲んでいる人たちに助けを求めたんであったが…


「…ささ」

「…ささ」


「いや!逃げんなよ!!」

どういうわけか、この酒場みたいな場所で飲んでる人たちが、次々と真たちを避けているのである、恐らく武器屋の店長が関係していると思われるが、慌てているためか、真はそんな事に気づかず、ただいたずらに、助けを求めることしかできないでいたのであった。

「飲め―――――」

「ぅギャー」

武器屋の店長さんの怪力もあってか、ついに真も力尽き、強制的に飲まされるのかと思いきや


「なんかうるさいと思ったらギブソン、お前だったの?それにそんなか弱い子をそんな目にあわせて…ィルブルシェ…冷水落とし!!」


バシャ!!


と、何処からともなく現れた冷水により、真たちはずぶ濡れとなった。


「…あ?…俺何をしたんだっけ」

すっかり酔いがさめたかのように、武器屋の店長が言った、

「…」

どうやらこの冷水は酔いを醒ます効果もあるみたいだと、ずぶ濡れになりながら真は思った。

「へ…へくしょん!!」

しかし、さぶい…真はくしゃみをしながら真はそう思った。





「はは…相変わらずだなエカーナ、俺に冷水ぶっけるなんて、そんな肝っ玉もった女はお前くらいだよ」

武器屋の店長は濡れた体を暖炉で乾かしながら、真たちに向かって冷水をぶっ掛けた女の人に言った。

(なんだと…武器屋の店主がどなり声を出していない!!どうなっているんだ?)

真は驚愕の顔を浮かべながら、そう思うしかなかった。

「ふん、私とお前は幼馴染で腐れ縁だ、お前を恐れることなんて、10000年たってもありやしない」

エカーナさん?だっけ、容姿としては30歳前半か、それとも30歳後半くらいの年で、茶髪の髪の毛で、緑色の瞳をしていた、ホント異世界の人ってカラフルだよな。


「それで、ギブソン、このか弱い子は誰だい?可笑しなことにお前さんを怖がっていないみたいだし、ちょっと不思議な子だね、私に紹介して見てよ」

エカーナは、真に興味が出たのだろうか、ニコニコと真を見ながら言った。


「おうエカーナ、こいつは見かけは貧弱も良い所だが、肝っ玉はお前くらいにあるぞ、なにせ、こいつは俺の声に震えもせずに、堂々と命令したんだ、所見でな」

バンバンと、武器屋の店長は真の肩を強く叩きながら言った。

「へー、面白い奴もいたもんだ、で、こいつの名前は?」

エカーナが肝心な事を言った。

「あー、こいつの名前は…」

しかし、武器屋の店長の言葉がふいに止まった、どうしたんだ一体?真は武器屋の店長を見ながらそう思った。

「…名前、何だったけ?」

「…」

「…」

ヒュー――――――――

と、風が横切る様な感触が、真の肌によぎった。


「…おい、ギブソン、お前、まさかまだ自己紹介も終わっていない奴に、強制的に酒を飲ませてのか?」

「…どうやらそうだったみたいだな…」

「…」

「…」

沈黙が流れる、

「冷水落とし」

バシャ!!と、武器屋の店長さんの頭に、冷水がかかった。








「あ…すまね、俺の名前はマッチョ・ギブソンだ、お前さんも知ってるように武器屋をやっている、趣味は筋トレだ、大好きな物は肉全般だ、特にゲーラッカ鳥の焼き肉が好きだ…あれ上手いんだよな、お前もそうおも…」

「話が脱線してるぞギブソン」

「…それに運動も好きだ、誰ぐらい好きだと言うとなダンジョンでミノタウロスと取っ組み合いだってした事だって有る、そして勝ったことが有るのだ!!」

「…」

真はミノタウロスの事はこの世界ではまだ耳にした事はなかったのだが、一応は小説で聞いたこと位はあるので、この目の前の武器屋の店長…ギブソンさんが、どれ位規格外がいなのかくらいは分かった。


「ふふ、ホントギブソンは力だけはある、ゴーレムの足を殴って見事転ばした時には、さすがの私も驚いたしな…」


「ふははははっ、この腕に出来ないことなどない、てな!ははははっ」


「さて、ギブソンの紹介が終わった所で、次は私だ、私の名前はトルシ・エカーナ、可憐な乙女さ、好きな物は音楽!歌うのもいいが、やっぱり弾くがいいね、こいつみたいに肉だとかそんな荒っぽい事が嫌いな乙女なのさ!」

「…」

手を上げ下げしながらそう言うエカーナさん…っていや、ギブソンさんに、冷水浴びせることができるような精神を持つ人は、乙女とはとても言えないのでは…ていうか、口ようてきにに乙女じゃねーし、真はそう思ったが勿論そんなこと言えなかった。


「…」

同じころ、ギブソンも突っ込みを我慢していたのであった。



「で?アンタの名前は?こっちだって自己紹介したんだから、アンタもしなくちゃ対等じゃないだろ?」

エカーナはいたずら気味な顔で、真に顔を近づけながら、真に向かってそう言った。


「あ…俺の名前は山崎真って言います、遠くのニホンという国から来まして、あ…好きな物は特にありません、まあ、平凡な男です」

真は特に自分が自己紹介するにしても、特に何もないで、抜本的にそう言うしかなかった。


「ふーん、好きな物は特にないね…女とかは?あるんじゃない?」

エカーナはにやりと笑いながら、真に迫った。


「いや…女って、別に彼女とかいないですが」

「なに!!お前さん彼女が居ないとか嘘つくんじゃね!!」

真のその言葉に反応したのか、机を叩きながらギブソンが抗議の声を上げた。

「いや、そんなこと言われても」

「なんだったか、名前は知らんが、あの青髪の少女が居たじゃないか」

「へ…なに?お前、こんなひ弱なくせして、すでに恋人が居るのか?」

ニヤニヤと、真を見つめながらエカーナは言った。

「そう!!しかも結構可愛かったぞ!こいつには勿体ない位だ」

「ふふっ、なあ真くん?それは本当か?どんな関係だ?もうやっちゃてるのか?」

まるで、クラスの悪友の奴らかのように真に迫るエカーナ達、これはもはや説得するのは無理だな…と、真は本能的に思ったのであった。

「…もうどうでもいいや」

めんどくさくなったのか、現在進行形でソラのことを問い詰めてくるエカーナとギブソンを見ながら、真はそう呟いた。







「で?ギブソン、なんで、この真さんを連れまわしてんだ?しかも酒を強制的に進めて」

「ああ、俺に弟が居るの知ってるだろ?」

ソラとの関係を問いただされる嵐はようやく止み、話はなぜに、ギブソンが真にあの様な行動をしたのかに行った。


「ええ、知っているわよ、たしか、有名なパーティに行ったとがで、お前自慢してたじゃない」

「そう、その弟がな、なんでもダンジョン探検中にモンスターとの戦いに敗れ、瀕死の状態になったんだよ、それを聞いてな、兄として見舞いに行ったのだが、面会すらできなかった、親族なのにだ!ふざけんなだ!」


ドンと、拳を机に叩きながら、ギブソンは怒鳴った。


「可笑しいね…親族なら普通会えると思うだけど…とくに父母がいないあんた達ならなおさらなのに」

「だろ?必死に会わせろって怒鳴ったのだが、なんか金髪の髪をツインテールにした女がやってきやがってな、やばかったぜ、なんだあの強さは、俺ですら震えあがっちまうほどだった…しかたねーから、無残にも見舞いをあきらめて、病院から離れたんだ、くそ…今も思い出すと腹がたつ」

舌打ちをしながらギブソンが言った。

「なるほどね…それで自棄暴きになって、酒を飲んで酔っ払ってたら、真にあったと」

「ああ、どうやらこいつも自分の女であるソラちゃん?だっけ、その子とケンカしたらしくてな、それを聞いて、なんだかこいつに親しみを感じて、つい飲みに誘っちまったんだよ、それに…俺を恐れずに一緒に飲んでくれる奴ってのは少ないしな」

ギブソンがすぐ横にあった水をぐいっと飲みながら言った。


「あら、真さん、恋人と喧嘩しちゃったの?ダメじゃない、女ってのはね、こう…ガシ!!と掴むもんなのよ!!ガシッと…ああ、私もいつかそうされて見たいわ」


「…」

いや、そんなこと言われても、真はバーの天井を皆ながらそう思った。


「で?なんで喧嘩しちゃったのかな?浮気?それともそっち系?」


「いや…だから俺とソラはそんな関係じゃないから」

真は必至に手を左右に振りながら、エカーナの間違いを訂正した。

「はぁ…素直じゃないわね、とりあえず、原因をいいなさい、この私が相談に乗ってあげるから」

バンバンと、胸を叩きながらそういうエカーナさん、まあ…確かに、このままソラと喧嘩しっぱなしじゃダメだろうし、俺なんかよりエカーナさんの方がこの問題の解決策を見出してくれそうだし、任せた方がよさそうだな、真はそう思った。


「うん…なんて言うか…」

しかし、まさかダンジョンで会った事を真面目に言っても信じてくれないだろう、なにせランクAのモンスターを倒したとか、ドゥットルーズを救ったとか、そんな、桜坂高校2年1組が、アメリカ陸軍を敵の手から救い出しました、とか言っているようなもんだしな、真がそう思うのも無理なからぬことであった。


「昨日さ、俺たちダンジョンに行ったんだよ、そこで盗賊に襲われてな、なんていうか…その盗賊を…盗賊と気づかなかった俺が、間違って救ってしまった、しかもソラが倒した後を…」

こういう風に言うのがベストだと真は思い、そう言った。


「…嘘ね」

しかし、エカーナは鋭かった。


「え…」

まさかいきなり自らの嘘を看破されると思わなかった真は、目を点にしながら呆然とした。

「ふふっ、いい?真さん、盗賊って言うのはダンジョン見たいな危険な場所じゃ、あまり盗みとかには走らないのよ?たまーにダンジョン初心者を狩る盗賊もいるけど、ふふっ、真さんたちが行ったのって、確かシュートラスのダンジョンでしょ?しかも昨日」

「そうですけど」

真は恐る恐る言った。

「ふふっでね、昨日、ドゥットルーズと言うパーティが来てたのを知ってるでしょ?」

「…あ、はい」

なんせ助けたりもしたほどだし、真は心の中でそう思った。

「いい?ダンジョン内の盗賊にとって、一番怖いのはベテランパーティ、初心者とうっかり間違えて襲えば、全滅は必至なのよ、そんな盗賊が、ドゥットルーズと言うAランクのパーティが来る事を知っていて、ダンジョン内に入っていくと思う?私ならその日は休日にするわ」

にっこり笑いながらそう言うエカーナさん、なるほど、俺が甘かったてことか…真はその余裕に満ちた顔を見ながらそう思った。


「さて…」

ズイっと顔を真に近づけた。


「本当の事を白状させてもらおうかしら?」

「…」

もう面倒だし、本当の事言ったほうがよさそうだ、真は目の前にいるエカーナの顔を見ながらそう思った。

















「…へー、面白いじゃん」

「信じてくれるんですか?」

真はエカーナの言葉を耳にし、そう言った。


「うん?いやさ、それなら今までの話、つじつまが合うし、何よりも」

エカーナは言った。

「こいつにとってその話は朗報だね」

「え?」

こいつって?真はそう思った


「…ふふふっ、そうか、そうだったのか、我が弟に会えなかったのもそのためか…なるほど、つじつまは合う」

「へ?」

真はまたもや戸惑いの声を上げながら、エカーナさんと同じことを言うギブソンを見つめた。


「いい?真さん、確か、ドゥットルーズはまだ生きていて、しかも仲間に裏切られて死にそうになったのよね、しかも裏切ったのは、男魔術師」


「そうです、ソラが言うにはその男魔術師がドゥットルーズを裏切って痛めつけるのを見たし聞いたって」

真が証言するかのように言った。

「実はね、貴方の言う男魔術師って、元はドゥットルーズのメンバーじゃないの」

「え…」

真は突然のその答えに目を見開いた。

「男魔術師、仲間から聞いた話じゃラテって言うらしけど、実はねこの男、ギルドからの推薦で緊急的にドゥットルーズに入ったのよ、そう、ギルドによってね」

「え?てことは?」

真はあまり分かり切っていないように呟いた。

「うーん、これでも分かんないの?いい?つまり今のギルドは、自らが推薦した者が、まさかの裏切り行為を働いてしまった、と言う事を隠したいのよ、わかる?」

エカーナがゆっくりと、真にも分かるように言った。

「ああ、詰まり、ギルドは自らの名に汚名を着せられたくない、そう言うわけですね、でも、それとギブソンさんを関係あるんですか?」

真は一応、ギルドにとって、今のドゥットルーズは面倒な存在なんだなとは思ったが、それもいまいちこの話が良く見えないからか、そう言った。

「それじゃあね…ギブソン、言ってやって」

「おう!!」

にやりと上機嫌に怒鳴りながらギブソンはそう言うと真に向かって言った。

「俺の弟はボルトって言うドゥットルーズのメンバーだ、そして、俺は今現在ボルトに会う事が出来ない、もちろん他のメンバーであるミミやラベルにもな…この事が分かるか?」


「…」

真は少しの沈黙ののち言った


「ああ!!つまり、今のギルドは、自らが推薦した人物が裏切ったのを隠すため、ドゥットルーズを病院内に隔離した、そして今現在、ドゥットルーズであるギブソンさんの弟さんが、現に隔離されている、これがつじつまが合うってことか!!そして、この話により、堂々と弟さんを救う事が出来る言うこと?」

真は思いついたように言った

「そうだ!!今までさんざん、無視されてきたが、弱みを握ればそうはいかない、さっそく明日シュートラスギルド支店に行くぞ、そして証拠をつかむんだ、そうときまれば腕が鳴るな!!」

ギブソンが握りこぶしを作りながらそう言った。

「…って、ええ?ドゥットルーズのパーティの中に、ギブソンさんの弟が居るの!!」

ようやく状況がつかめた真はそう叫んだ。


「そうだ!!俺と違って、常に上を目指すアイツはドゥットルーズに入ったんだ!!ははっほこりあるな!!」

怒鳴りながらボルトが言う。

「まてまて、いろいろ話がぐっちゃだぜ、それに明日シュートラスギルド支店に行くとか言ってるけど、なんだか俺まで行くことになってそうだけど?」

真はそう言った。

「つれない事言うなよ、お前も一緒に来るだろ?なにせギルドの連中の失敗を教えてくれたのはお前さんじゃないか、いいか?こう言うのは言った奴も一緒に行くって言うのが常識ってもんだろ?」

真の肩を叩きながらギブソンが言った。


「ちょ…無理だって、それに俺まずはソラと仲直りしなくちゃ、いま俺は戦いどころの話じゃないってことぐらい、ギブソンさんも分かるだろう?」


「む…それもそうだが」

ギブソンが言葉に詰まった。

「じゃあ、さっさと仲直りしてきなさいよ」

しかし、言葉に詰まったギブソンの代わりに、エカーナがそう言った。

「え…いやそんなこと言われても、無理です、ていうか出来たらこんな所にいない」

まさか、エカーナさんがそう言うとは予想外だったのか、一瞬戸惑ったあと、真はごもっともな事を言った。


「ふふっ、実はね…」

エカーナが言った。


「さっきここに飲みに来た客が、言ってたんだけど、その話によれば、マコト、マコトって呟きながらさまよっている、少女が居るんだって」


「へ…」

真はまたもや目を点にさせた。


「ちなみにその少女は、青髪青眼の美少女なんだって、で?マコトさん?この子が貴方の妻、ソラさんで良いかしら?」

エカーナさんがにやりと笑いながらそう言った。


「いや…妻じゃないけど、そうです、その人がソラです」

真は一応弁解したあと、言った。


「そう…じゃあ男として、やるべきことぐらい分かるわよね、貴方の妻、もしくは恋人、もしくは相棒、どれでもいいわ、そんな女の子が貴方の名前を呼びながら夜のこの寒い中をさまよっている…ふふっ、確か話ではシュートラス広場にいるとか…」


「行ってきます」


真は席をすぐさま立って、自らの相棒であるソラが居る場所へ、シュートラス広場へと行くべく、走り出した。


「おい真!!ちゃんと教えてやったんだから、明日、シュートラスギルド支店に一緒に行くため、ここに集合!!分かったか?」

走り出す真の背に向かって、ギブソンが言った。

「分かってます、分かってます、ありがとうございました!」

がちゃ…

と、真はあまりまともに考えずに、ギブソンにそう言ったあと、酒場から出て行った。


「ふふっ」

その様子を見ながらエカーナは言った。







「青春ね~」


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