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過去の記憶と、追い出された奴

…テスト、そしてインターネットができない、そして現在投稿した物に自信がない、等により、更新が停滞してしまった…たくさんの誤字脱字やら、文章がおかしい等の指摘がありましたが、おそらく、これからもそのようなことがありそうです、その時はすみません。


大丈夫かな…






至極簡単な自己紹介


ジューコフ


登場時には、如何にもな悪役な強力な魔術師、しかしそれは、自らのゆがんだ意志によって生み出されたものであったあったとかなかったとか、ソラとの激闘の末、敗北、自らのゆがんだ意志を破壊され、その反動とも言うべきか、ソラに惚れてしまう。この話にもあるが、過去にいろいろなことがあったらしい。


ちなみに、こいつはチョイキャラではない、とあ魔の一方さん的ポジションである。


え?名前が北の世界一面積のでかい国の二次大戦中の名将と同じ!?何のことかな。

「…おじさん、誰?」

薄暗い、何かの会議室なのだろうか、大量の机といすが置いてある部屋で10歳くらいの少年が、目の前にいる中年くらいの男に言った。

「うん?私かね?私の名前はロウンと言うんだよ、ヤークト・ロウンと」

中年くらいのおじさん、ロウンがそう言った。



「…ロウン…覚えた、で?叔父さんは、僕をどうするの?」

少年は言った。

「別に何も、ただ単に君をもらい受けた、それだけだ」

「…どういう意味?」

少年は意味が分からないと言う感じに言った。

「君はね、ついこないだまで、違法奴隷として、売りに出されてたんだ」

「…じゃあ、今度はおじさんが僕の主人なの?」

「いいや、実はね、君は解放されちゃったんだよ、奴隷から」

「なんで?」

「いやはや、違法奴隷を所有していた奴がな、これまた冒険者によって捕まったんだよ、しかもこれまた、捕まった者が、ビョーシェ商人ギルドの者でね、私にまで責任が来そうになったのだが、まあそこは関係ないか、まあ、とりあえず、いろいろ買収等をした結果、私はある事を受け入れたんだよ」

「…なにを?」

「君たち、元違法奴隷の受け入れだよ、後ろを見てごらんなさい」

「…」

少年は自らの後ろをみた、そこには、生気を失ったかのような、自らの同じ年と思われる少年少女が居た。

「見ての通り、君以外の元違法奴隷たちはね、精神に異常をきたしているんだよ、だから唯一まともに話ができるのは、君位ないんだよ、まあ、だからこそなんだけどね」

ロウンは後ろの少年少女たちを見ながら言った。

「…どうして、僕たちなんかを引き取ったの?メリットなんかないと思うけど」

10歳の少年が、10歳らしからぬ事を言う。

「…ふむ、どうやら、君は少しおかしな子だね、まあいい、教えてあげよう、先ほど言った通り、いくら買収なんかをしても、やはり責任を取らなくてはならないのでな、その責任の取り方としてだね、君たちのような全く身よりのない元奴隷たちをもらい向けたのだよ、違法奴隷って言うのは、案外解放するにも、身元が分からなかった等で、結局はそのまま解放されただけで、飢え死にする確率が高いのでね、特に幼い少年少女の場合は…大きな問題になっているのだよ、そこで、私が君たちが飢え死ぬのを防いだってわけだ、責任をとるためにな…さて、私が君たちをもらい受けた最大の理由だ、分かったか?」

「…こくん」

「次の理由、どうやら私が調べたところ、君たちは、どうやら元の飼い主によって、極秘で、超古代式魔術才能開発モドキをされていたそうではないか、本当かどうかも、また、君たちの元飼い主がやった、超古代魔術才能開発が正しかったのかもよく分からぬが、とりあえず、私たちビョーシェ商人ギルドは、そんな才能がほしいのだよ、万年人材不足なのでな…これで分かったか?これ以上言う必要もなさそうだしな」

「…こくん」

「…さて、君たちには訓練を行ってもらう…ただで飯を食わせるほど、ビョーシェ商人ギルドの財政事情は、甘くないのでな」

「…こくん」

少年はうなずくしかなかった。いや、うなずく以外の選択肢を知らなかった。




「…」

少年は血まみれになった体で、周りを見渡していた。

周りには、もと、自分たちと同じ奴隷であった、仲間の死体が、グチャグチャになりながら、連なっていた。


「…さすがは超古代式魔術才能開発をした人間だ…死亡者59名、逃亡者2名、生存者3名…まさか生存者が出るとな、逃亡者だが、別に彼らには身寄りなどないし、場所が場所だ、ほおっておいても死ぬだけだろうし、それに探索隊を出すには、金と人材が勿体ない、それより、傷ついた生存者を確保だ、丁重に扱え、彼らはビョーシェ商人ギルドの黄金の卵なのだからな」











「…」

少年はあたりを見渡した。

薄暗い独房の様な部屋の中には、自分と同じく、適合試験とやらに合格したと言われた、残り2名の自分と同じ年の少女が居た、しかし、少年はそんな事どうでもよかった、まるで、川の流れに身を任される、木の葉のように、少年は無抵抗だった。


「…」

つまらない、周りを見ながら、何故か少年は思った。

少年は何か物足りなかった、何か楽しい事はないか…恐らく、少年の遊び心と言うべきなのが、この少年には残っていたのだろうか、まさしく子供の様に、その事ばかりを考えていた。

「ギィ…」

そんな事を考えている時、この薄暗い部屋の、唯一のドアが開けられた。

「…」

少年は、ドアを開けた者、ロウンをジーと、無表情な目で見つめた、残りの2人の少女はそれすらしていなかった。

「…なにかほしいものでもないね?私にできる事ならすぐさましよう、甘い生クリームが使われたケーキか?それとも貴重な香辛料がふんだんに使われた料理か?言いたまえ、今の君たちにはその権利が有る」

ロウンが、そんな少年少女に向けて、問いかけた。

「…のしい」

「ん?」

「楽しい…この前みたいな楽しい事、したいな…なにか楽しい事ない?」

少年は口を動かすだけで、まるで無表情な顔で言った。

「…ふっ」

ロウンはその少年の様子に、ふと笑った。


「よし、では君に、仕事をしてもらおう、楽しい楽しい仕事を…」

そんな少年に向かって、ロウンは、まるでおもちゃでも与えるように、少年に命令した。










(…楽しい)

少年はそう思った。

周りには、少年が殺した人間が積み重なっていた、血にまみれてはいないので、毒殺でもされたのであろう、そして少年の周りで倒れ伏せている人間は、何やら贅沢な服を着ていた、おそらく何かの役人なのだろうが、少年にはそんなことはどうでもよかった。


(…楽しい、面白い、凄い、素晴らしい、最高だ…)

少年は殺すことに楽しみを感じ取っていた。


(だけど、ロウン様…いや、ビョーシェ商人ギルドの暗殺依頼は月に多くても3回くらいしかない、それじゃあつまんない、もっと多くの依頼を受けたい)

少年はこの頃から、自分を満たしてくれる、この行為以外に、自分は満たされるはずがないと言う意志を、確固たるものにした。














「ロウン様、貴方殺すように言った、者を殺してまいりました、これが証拠の首です」

そう言って、ちょっとくらい年をとったのだろうか、13歳くらいの少年が言った。

「ほう、見してはくれぬかな」

「どうぞ」

ロウンは、躊躇せず、首が入っている、袋をロウンに差し出した。

「…」

ロウンは沈黙しながら、その袋の中にあるものをとりだした、そこには、長く白いひげを生やした、エルフの首が有った。

「ふふっ、フフハハハハハハ!!さすがだな、君、まさかタタネラのエルフの長の首を本当に持ってくるとは、期待以上だ、ふっ、ハハハハ!!」

ロウンはじっくりと、その首を見つめた。

「ではロウン様、私はこのようにタタネラのエルフの長の首を持ってくる事に成功しました、約束通り、ビョーシェ商人ギルド以外の者たちから受けた依頼を、受けさていただけませんですか?」

「…いいだろう、約束だしな、信用を失うのも困る、その代り、ビョーシェ商人ギルドの不利益となる様な依頼は絶対に受けないように」

「心得ています」

「それにしても、お前は、別の2人の少女とは違って、感情が有るな、まあ、別に関係ないか」







…そうだ、あの温かい何かを初めて感じ取ったのは、この頃受けたあの依頼の時だった。




「…ソルーデ王国の王妃を暗殺」

「そうだ、どうもソルーデ王国の王妃はな、ビョーシェ商人ギルドに何かしらの疑念の意を浮かべていると言う節が有るそうだ、事が大きくなる前に、ソルーデ王国王妃に対して、敵対関係にある国がやったかのように暗殺してほしい、出来るか?」

「できます」

「お前は本当に忠実でよい、ではゆけ、それと、ソルーデ王国の王妃は、超絶の美少女であるらしい、うっかり惚れぬようにな、フフッ」

「…惚れる?それはなんですか?」

少年は初めて聞いた言葉に、興味が湧いたのか、そう呟いた。

「うん?…そうだな、お前、恋と言うのを知っているか?」

「…いえ、確かに…聞いた事はありますが、何なのかは分かりません」

「まあ、それもそうか、ずっと裏で殺すことしかしたことのないお前じゃ、それも当然か、そうはな、簡単に言えば美しい女を見た時に、心の中に何かが生まれる、それが恋だ」

ロウンはにやりと笑いながら、少年に微笑みかけるように言った。


「…よくわかりませんが、ロウンさんはした事が有るのですか?」


「…そうだな、遠い昔に、そんな事をしてた様な気もするが、少なくとも今はしておらんな、まあ、頑張ってきてくれ」


「…了解しました」















グシャ…

「がはへ…」

そんなひしゃげる音と、僅かながらの悲鳴と共に、ソルーデ王国王宮騎士団は、全滅した。


「…」

少年はそんなことなど慣れたように、すぐさま、自らの状況を把握することに専念する。


(現在位置は…ソルーデ王国、中央皇室前入り口か…出来るなら皇室の人間全員殺してもいいんだが、さすがにそれはダメだ、狙うはソルーデ王国王妃、フシャメノだ…)

ジューコフはその様に頭の中で整理すると、すぐさま、事前に調べたフシャメノがよくいると言われる、皇室庭園に行った。


「りーん、りーん」

「…」

月明かりと共に、皇室庭園の湖の脇にぽつんとある、ベンチに腰かけている、一人の15歳くらいの美しい少女が居た、そう、彼女こそソルーデ王国王妃、フシャメノだった…


「…」

ジューコフはそっと…その少女を見つめた、大抵、王の座に就く人間と言うのは、稀に自らと同じくらいの実力を持つ人間が居る為だ、ひとまずは観察して、彼女の実力をはかろうとしていた。


「…」

しかし、少年の目は、それとは全く違う方へ向いていた。それは…彼女そのものだった。


怪しく光る月の光に照らされ…光り輝く湖の畔…そこにぽつんとあるベンチに腰かける、少女、そして、それを賛美するかのような虫の鳴き声…なぜか…美しいと、少年は思った。


「…ッ」

少年ははっと気がついた、何故そんな事を考えていたのだ、今は楽しむ時だろ、美しいなどという感情を持つほどの暇が有るのなら、すぐさま楽しい事をするべきだろ、少年はそう思った。



「…」

しかし、それでも目が行く…少女の顔へ…少女の体へ…殺す…という楽しい事より、そっちの方が断然楽しいと、体が勝手に動く様に。


「…チッ」

少年は自らの醜態に舌打ちをした。


「…」

何だこれは…可笑しすぎる…なんだか、温かいような…何でこんな気持ちにならなくちゃいけないんだ?

本当におかしすぎるだろ。


惹かれる、あの少女に、なぜか自分は惹かれてしまう…分からない…これはアイツの能力か何かなのか?…いや、違うな…あいつは何もしていないし、今の状況下では何もすることもない…じゃあ何なんだ、この気持ちは…どうすればいいんだ?…分からない…いや…分かっちゃいけないような気がする…この気持ちは、自らには邪魔な存在だと…


「…」

そして少年は思った、そうだ、この気持ちは邪魔なんだ、何なのかなんて知らなくていい、とりあえずこの気持ちを静めるにも、あの少女を殺さなくてはならないと思った、そして、ただの殺し方だけじゃ、この気持ちは恐らく収まらないだろうとも…


「…エアカッター」

シュゴ!!

少年は、相手の少女がそんなに実力をもった人間ではないと知ると、すぐさまある事をしようと、エアーカッタ―を放った、この気持ちを消すために…自分を維持するために。


ぐちゃ…

刹那…エアーカッターはフシャメノの白く美しい、両足を無残にも切断した。

「…ッ!!!!あああああああ!!」

突然の出来事と、突然の激痛にフシャメノは、その美しい顔を無残にも歪めながら、悲鳴を上げた。


「…ざッ」

少年はその様子を見ながら、すっと立った。


「あああ…なな…なに…だれ…」

フシャメノはドクドクと流れ出る血にその美しい服や体を汚し、そして、あまりにもの激痛から出る涙を流しながら、自らの元に迫ってくる少年に言った。


「…叫んでも無駄だ…この周辺にはサイレントの魔法が掛けられている…いくら叫んでも誰にも聞こえない…」

少年の心にあった温かい何かは、この少女の悲惨な状態を見るたびに消えていった。

そこにあるのは、純粋に殺すことを楽しむ一人の少年だけであった。



「ああ…貴方がこんなことをしたの…え…え」

少女は悲惨な状態になりながら、目の前にいる少年にその事を問いただした。


「…なあ」

しかし、少年はその問いに答えてやる必要性は感じなかった。


「大昔に行われていた拷問でさ、ダルマっていうのがあるんだよ」

ただ、少女をいたぶることで、自らの温かい何かを防ぎ、殺すことを楽しむと言う固定概念を守る事しかなかった。


「詳しく事は知らないけど、両手、両足を切断して、そのまま壺だっけ?その中に入れて僅かながらの食糧を与え得て、両手両足のない状態で何カ月も生き続ける奴なんだけど」

少年の顔に、笑顔がともった。










「…ジューコフ…その壺は何?」

少年の横を、金髪の髪をツインテールにした、少女がすれ違いざまに言った、そう、彼女は少年とおなじく、適性試験とやらに合格した、2人の少女の内の一人である。


「…」

少年はその少女の言葉を耳にし、立ち止まり、くるりと少女の方を向いた。


「…おもちゃ」

少年…ジューコフは楽しそうに言った。










「…」

気がつくとジューコフは、自らの体がベットの上で寝かされている事に気づいた、どうやら、ジューコフは先ほど見た、自分の過去の夢のせいで、現状を把握できていないようであった。


「…ああ、そうだった、俺はアイツに負けて…なんで、俺は生きてんだ」

1分程経つと、ようやく今までの事を思い出したのか、そう呟いた。


「…」

ジューコフは自らの体を見た。

少女の爆発する謎の棒によって、切断されたはずの右手…それは恐らく、強力な治癒魔法のおかげなのだろう、傷一つなく、完全に修復されていた、体全体もそれと同じである


「…どうやら、助かったらしい」

右手を握ったり、開いたりしながら、ジューコフはそう思った。

ギィー

「…」

まるで見計らったかのように、自らが寝かされているベットのすぐそばにある、ドアノブが回ったかと思うと、そんな音と共に、3人の人間が現れた。

一人は、中年の男、ロウン、彼のご主人様とも言うべき存在である、もう一人はきめ細やかな白い肌をした、金髪の長い髪をツインテールに、飛び色の瞳をした、ジューコフと同じように、あの適性試験に合格した少女である、名を、ベアトリーチェ、もう一人は、黒髪を短くした、少女、同じく適性試験に合格したものである、名を、クロル。


「…さて、眼は覚めましたかな、ジューコフ」

三人の中心に立った中年の男、ロウンが、厳しい声で、ベットにいるジューコフに言った。


「はい、眼は覚めました、ロウン様」

いつも通りの、感情を殺した声でそう言うジューコフ


「さて、今回の貴方の不手際によって、あぶなく私の身が危なくなる所であった、なにせ、偽名とはいえ、私の名を使って、ドゥットルーズに入れた者が、ドゥットルーズを壊滅に追い込んだ、と言う事に、他の者たちが気づく寸前でしたからね、貴方と共に、何故か送られて生きて病院にいる、3名の奴らによってね、今は、隔離しているので、直ぐにはばれないでそうが、限界がある、早急に手を打たなくてはなりません、貴方の処罰は後にします。」

ロウンは早口気味に、ジューコフに今の状況を話した。


「さて、早急に手を打ちます、まず一つ目として、私が貴方をドゥットルーズに入れることを推薦した、という事実をすぐさま抹消してほしい、物的証拠である推薦書はもちろん、証言者となる様な人物もすべて暗殺だ、そこに買収等をすれば、何とかもみ消すことぐらいはできる、そして十日後、私の表上の精鋭であるビョーシェ騎士団が、やつら三人が入院している病院に、護衛として配置される、君たちは、私の騎士団を皆殺しにし、ドットルーズの強さを妬んでいる奴らの犯行の様に、病院を燃やせ!!そうすれば私は善意によって配置した精鋭たちを皆殺しにされた、哀れな商人ギルド長として扱われるようになる、残っている3人も死ぬ、これが早急に立てた私の計画だ、詳しい事は会議室で、資料と共に話す、分かったか?」


「分かりました」


「では、十分後に関係者を集めて会議だ、それまでに準備しておけ」

ロウンはそう言うと、ドアを閉め、ジューコフの部屋から出て行こうとした、しかし


「…まてよ」

ロウンは何かを思い至ったのか、振り返りざまにこう言った。

「…ジューコフよ、貴方は一体何に負けたんだ?これでも私はジューコフ、貴方の強さは熟知しているはずなんですよ…用意周到な貴方がこうも負けるだなんて、私も想像がつきませんでした、一体だれに負けたのですか」


「…」

ジューコフは、ふと、自らを下した、少女の顔を思い浮かべた。


そして、その顔を思い浮かべるのと同時に、温かいものが、体全体に流れていった、そして、気づけば、ジューコフはその温かい物のせいなのか、こう言った。


「…すみません、私のミスです、今回も軽く済むかと思いまして、あまり敵を弱らせる様な事をしておらず、ミミ、ラベル、ボルトの反撃を受け、相討ちとなりました、そこを通りがけの人が一緒に病院に送ったのかと推測されます」

嘘を…ジューコフは、人生で初めて嘘を言った。


「…そうですか、まあ、ヨセフは生きたまま私たちの手の中にいることから、依頼の最低限のは果たしているしな…大方ヨセフを倒したことで、油断でもしていたでしょう、では…」

バタン…と、3人がジューコフのいる部屋を出て、また、室内に静けさが戻った。


「…ふっ」

バタッと、ジューコフはベットに倒れた。


「わっけわかんね…どうすればいいだろうな、この気持ち」

あの戦いを通じて、認めてしまった、殺す事よりも楽しいこの温かい気持ちに、ジューコフは戸惑いの声を上げた。


















ガシャン!!ドガ!!バシャーン!!



「…ホント…本当に申し訳ない、本当にこの山崎真、一生の不覚でありました、もう、言葉が出ないくらいに申し訳ありません、すみません、ホントにすみません」


「ホント…ホントアンタは!!」

ガシャーン!ドン!ドシャーン


「痛い痛い痛い、ソラ様、どうかお静まってください、カップラーメンだろうか、何だろうが、何かおいしい食べ物を献上いたしますので、どうかお許しを…ていうか、マジで、マジで許して!!」


さて、先ほどのシリアスな一面から一変、ここは、ソラと真が泊まっている宿である、現在の状況として、至極簡単で適切な説明をするとなれば、土下座しながら一生懸命に誤っている真を、あることに怒り狂っているソラが、さまざまな物を真に向かって投げている、そんなカオス?な雰囲気である。どうしてこのような状況になったのか、それは簡単なことである。


「ありえない…ありえないありえない、なんでアンタは人が一生懸命に倒した敵を救っちゃうのかな…本当あり得ないは、ふふっ…私に死にそうだったのよ…死ぬ覚悟で倒したのよ…なのに、結局は倒せなかっただなんて…それも…それもアンタのせいで!!」


ソラは足元にあった本をつかみ真に大量に投げつけた。

「痛い痛い痛い痛い痛い、本は痛い、角が痛い!!頼む、どんな罰でも良いからやめてくれ!!」

「そう…なら、今日はアンタだけ野宿ね…私、今本当に頭にきているから、もうホント弾けそうなくらいにね、もしかしたら、寝ているアンタを襲撃するかもしれないから…安全策としても良いかもね…ほら…さっさと出ていけ!!!!」

「すみませんでした!!」

バタン…と、真は宿から叩きだされたのであった。

「…はぁ…」

ソラはペタンと座り込みながら、ふと呟いた。

「真のバカ…」





「…」

た~たたた~んと、まるで黄昏の様な曲が流れだしそうな感じに、宿を追い出され、泊まる所のない真は、ただ一人、黄昏ながら夕焼けに染まった外を歩き続けていたのであった。そんな真の横を、獣人やら、エルフやら、ドワーフなんかが、真の事なんか気にも留めずに通り過ぎて行くだけであった。


「…ああ、今日は野宿か…どうしようかな、野宿用の道具、宿に置いてきちまったよ、しかも召喚数はゼロ、なにも召喚できない…」

真は途方に暮れたように言った。

「…どうしよう…このまま俺は明日には冷たい死体となって、異世界の地に眠るのか?山崎真、異界ノ地二眠ル、てな感じに」

真はそんなことをだらだらと現実逃避ぎみに呟きながら、ふと、ぽつんと有ったベンチを見つけた。


「…」

ついに歩くのも面倒になったのだろうか、ドサッと、真はベンチにもたれかけたのであった。


「…」

真はベンチに腰掛けながら、夕焼けに染まったソラ…いや、空を見た。

「…綺麗だな」

真が見上げたその空は、元の世界と全く変わりなく、美しい夕焼けに包まれていた。

その夕焼けを見ていると、なんだか心が泡割れて行く様な気分で、ソラと喧嘩?してしまったことなんて、なんその、そんな気持ちになった。


「…あ」

ふと、そんな夕焼けを見ながら、真はある大事な事を思い出した、まったくもって今まで忘れていたのがアホなくらいの事である、それは、自らのレベルの事である、あれだけランクBやらランクAなモンスターを倒したんだし、凄まじい勢いで上がっているはずだと、真は思ったのである。

「…」

ブン…と、電子音みたいな音と共に真の目の前にウインドウが現れた。

山崎 真  十七歳 桜坂高等学校二年生


レベル36 

種族 人間 職業 なし


HP  40

MP  10

魔力  0

攻撃力 7

防御力 5

魔防御 5

精神力 1000

称号  異世界召喚師

特性  近代兵器操作術Lv2 1904年

祝福  なし


現在地 ハーストラリア帝国 シュートラス

武装  なし

道具  宿に置き忘れてしまった。



次のレベルまで 4568



~お知らせ~

魔術技と、武術技は魔防御、職業の欄を増やすため、省略されました。


~お知らせ~

近代兵器操作術がLv2に上がりました、これにより、近代兵器操作術の幅が広がります。

レベルが上がった利点の一つとして、この先、恐らく自分一人では扱う事が出来ない、いわゆる複数人で使う事が前提の兵器が扱えるようになれます、具体的な方法としては、ある兵器を扱うには3人の人間が必要な時、貴方のパーティーにも近代兵器操作術が広がり、貴方のパーティーも近代兵器が扱えるようになります。


(例)

タイガー戦車(ドイツ軍)

タイガー戦車には、戦車を操縦する人、大砲を撃つ人、弾薬を運ぶ人、戦車上部にある機関銃を操作する人、等の様に、一重に戦車を操縦するにしても、複数人必要です、そのためこの問題を解決するべく、このように一人では十分に兵器を操縦できない場合のみ、貴方のパーティーにも、近代兵器操作術が適用され、近代兵器が扱えるようになります。

同じ事は、七人乗りの重爆撃機、もし、パーティーの人数さえ揃えれば、駆逐艦などの艦艇を操れる様になれます、頑張ってください。





「…」

真は自らのウインドウに書かれてあった事に、いろいろな面で驚愕していたのであった。


「…これはつまり、ある兵器を操るには、最低でも2人必要な兵器を操る場合、ソラにも近代兵器操作術が上がるってことか、同じパーティだし」

真はウインドウに書かれていた説明文に、恐る恐る思わず声に出しながら真は呟いたのであった。


「…すげ…もしかしてこの近代兵器操作術とか言う能力、まだまだLv3とかあるんじゃね?だとしたらもっとすごいことになるじゃ」

レベルが凄まじい勢いで上がっただけではなく、近代兵器操作術の幅が広がった子により、さっきまでの雰囲気は何処かへ吹き飛ばされ、真はテンション超高めにそう叫んだのであった。



「さっそくソラにその事を話しに…」

しかし、真はある事が頭の中に蘇った。

「…ぁ…今はダメなんだっけ…」

そう、今は絶賛、ソラの怒りを買い、宿を追い出されているのだ、現状ではソラに会えるはずもなく、そして真の頭にまたもや、野宿という言葉が頭の中を横切ったのであった。


「…」

ドサ…と、真はまたベンチにもたれかけた。

「…だめじゃん、せっかくレベル2にあがったのにな…」

真はさっきまでのテンションが嘘のように下落した、その様子はまるで、通貨ユーロの価値下落の様でもあった。

「…」

真は結局黙って、ベンチにもたれ掛けながら、夕焼けの空を見ているしかなかったのであった。

「…ああ、ソラもこの空の様に綺麗なのにな…」

真は、その事を悲しむように、またもや独り言をつぶやいたのであった。


「おう!!何やら独り言が多い奴だと思ったら!!お前さんか!!」

その時突然、そんな悲しげな言葉を呟く真に向かって、何処か聞いたことが有る様な、怒鳴った声が聞こえた。


「…」

真はいきなりの隙をついたどなり声に、少々ビックリしたが、別段問題はないのか、ゆっくりとその声が聞こえた方向に、頭を向けた。


「…あ、武器屋の店長」

そこには、190センチの長身で、筋肉マッチョで、どなり声しか出せない武器屋の店長が居たのであった。












「…真…遅いな」

ソラは真を宿から追い出した後、やつあたりをするかように、ベッドにあった枕を殴りつけたのだが、なんだかそんな自分が空しく感じたのか、結局は、その殴りつけた枕を抱きしめながら、自らが追い出してしまった真の事を思い出していた。


「…半分は冗談だったつもりなのに」

ソラは自らが抱きしめている枕をさらに強く抱きしめながらムスッとした。

「…もうそろそろ帰ってくるかな?」

ソラはそう呟きながらドアを見た。


しかし、真は一向に帰ってこなかった。

「…確かに…私がやり過ぎたのかもしれない…物を投げたり、真の悪愚痴ばかり言った私も少しは責任が有るかもしれない…だから…もう、私が悪かったから、もうそろそろ帰ってきていいよ真」

もしかしたら、宿の出口で、真は入っていいのか入ってはいけないのかと、迷っているのかもしれないと思い、ひっそりと、ドアの向こうにいると思われる真に呟いた。

「…」

しかし、うんともすんとも言わない

「…もしかしていないの?」

そう思いソラはは恐る恐るドアを開け、外を見てみた。

「…」

そこには聞き耳を立てている真の姿どころか、蟻一匹たりともいなかったのであった。

「…嘘…真本当にどっか行っちゃたの」

ソラが心配そうにそう言う

(…だけど、もう日が暮れてるし、外はもうすでに気温は一桁だよ…)

ソラはあまりにも心配なのか、そう思った。

(…なんで…さすがに帰ってきてもいいはずなのに、帰ってこない…なんで?)

ソラは次々とわき上がる不安に、なんだか真がこのまま帰ってこないのでは?とそう思いそうになってしまった。

(なんで…なんで…もしかして!!)

ソラの頭に、ある可能性が思い浮かんだ。

「真、あの男魔術師の奇襲を受けて、やられた…」

ソラがそう呟いた瞬間、ソラは顔があおくなると同時に、なんだか凄まじい寒気を感じた。


「…嘘…真…真!」

ソラはふらふらと、真を探すべく、宿から出て行ったのであった。


大丈夫かなこの話…自信がない。


まあとりあえず、なぜ近代兵器操作術が1904年なの?と言う問いには、作者が坂の上の雲を見たからである。うん、つまり影響を受けたってことだようん。



 とりあえず一気にレベルが上がったのだから、また武器なんかを模様替えしなくては、と言うわけで坂の上の雲にちなんで、現在、日露戦争に活躍した兵器を募集中です、三十年式歩兵銃やら、保式機関銃とか、そんな兵器を募集中です、最も別に日露戦争で使われた物じゃなくてもいいですが、できるだけ日露戦争で使われたもので。思いついたら作者の活動報告に書いてください、感想だとなんだか大変なことになりそうなので。



 

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