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異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー  作者: 白木夏


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第19話

テーブルには既にサラダと日本酒がセットされている。

リビングでは啓介と浩一が談笑しており、旭が階段を下りてくるところだった。


「お腹空いた~」


旭がソファに腰掛けると同時に恵が告げる。


「今日はドラゴンステーキですよ」


男性陣はやはりドラゴンの肉と聞くとテンションが上がるのか目を輝かせている。

期待を感じながら最後の工程にかかる。


「ガーリックライスも作るんですか?」


晴奈が尋ねてきたのでうなずく。


「脂が残ってるのでその旨みも使えますし」


プレートの余熱を利用して細切れニンニクをじっくり炒める。

焦がさないように注意しながら黄金色になるまで火を通したら炊き立てのご飯を投入した。


パラパラになるまで絡めたところで醤油をプレートに垂らし加えると香ばしさがさらに際立つ。

最後に粗挽きの黒胡椒を振り掛け仕上げとなる。

恵が完成したステーキをダイニングテーブルに運び始めた。

ステーキの食欲をそそる香りが漂ってくるなかで、キッチンとリビングを行ったり来たりする理依奈。


「早く食べたいなぁ」


嬉しそうな様子が微笑ましい。

ガーリックライスの盛り付けを終えたタイミングで理依奈が元気よく駆け戻ってくる。


「颯斗呼んでくる!」


「お願いね」


彼女は階段を勢いよく登っていく。

その後ろ姿が見えなくなるころ、私はガーリックライスの皿を抱えてダイニングテーブルへと向かった。

全員分のカトラリーを整え配膳し終わるとほぼ同時にリビングの扉が開いた。


「おまたせしましたー」


勢いよく現れた理依奈と颯斗が席についてさっそく料理に目を輝かせる。

それに釣られるように各々も席についた。

全員の視線が食卓に集まり一斉に箸を持つ。


「いただきます!」


合唱と共に食事が始まった。

まず口に運んだのはドラゴンステーキだ。

噛みしめると濃厚な旨みがジュワッと溢れ出す。


「うまっ!」


「本当だ、こんなにおいしいの初めて食べる……!」


理依奈が目を輝かせている。

その隣では颯斗が夢中になって肉をほおばっていた。


「これ、ドラゴンの肉なんだよね? 凄すぎない?」


「これはドラゴンの中でも下位だけどね」


付け合わせの野菜にも手を伸ばす。

玉ねぎの甘みが絶妙だ。

そこにガーリックライスを口に運ぶとさらに美味さが倍増した。


「ガーリックライスも美味しいわね」


晴奈が幸せそうな表情を見せる。

そんな光景を見ながら初めての日本酒を口にする。

鼻腔を刺激する芳醇な香りに思わず目を見開いた。


「これは……!」


一口含んだだけで濃厚な旨みが広がり喉越しの良さもある。

想像以上に合う組み合わせだった。


「これは合いますね」


晴奈が驚いたように聞いてくる。


「ええ。とても」


瓶を手に取りラベルを見る。

やはり吟醸酒というものは深い味わいがあるようだ。


「もっと試したいんだけど」


独りごとのつもりだったが耳ざとく聴き取った恵が笑う。


「そうね。今日はいろいろ試しましょう」


会話の合間にも次々と皿が空になっていった。

気づけばステーキもガーリックライスも底を突いていた。

一同満足げな吐息を漏らした。


「満腹……」


理依奈が満足そうに腹をさする。

晴奈はテーブルに肘をついて考え込んでいる。


「ドラゴンのお肉って凄すぎない?」


旭が同意するようにうなずく。


「こんな美味しいもの食べたことないよ」


「確かに美味しかったわね」


恵が頷きながら口元を拭う。

浩一は日本酒をちびちびと啜りながら感心したように首を振る。


「麗奈もすっかりお酒を美味しく飲めるようになったんだな」


「うん。異世界でお酒は飲んでたからね」


グラスを傾けながら微笑む。

理依奈が横から興味津々といった顔で覗き込む。


「その……異世界のお酒ってどんなものだったの?」


「いろいろあったよ。ワインの蒸留酒とか麦芽を使ったエールとか……」


「なるほど。じゃあ地球のお酒はどう感じた?」


「まだ今飲んだ物しか試していないけど……全体的に繊細で複雑な味わいが多い印象かな」


「それは褒められてると思っていいのよね?」


「もちろんだよ」


微笑み返しながらグラスを傾ける。

舌に残る旨味が実に心地よい。

そこで理依奈が不思議そうな表情でこちらを見た。


「そういえば麗奈お姉ちゃんっていつ頃からお酒飲んでたの?」


「転移して半年後くらいかな」


「つまり異世界だと16歳から……」


「あちらでは何歳から飲めるとかなかったからね」


理依奈が納得したようにうなずく。

そんなやりとりを聞きながら晴奈が笑みをこぼした。


「大人な女性になった麗奈ちゃんが日本に戻って来るなんて不思議よね」


「まったく同感だわ」


恵も追随する。

浩一がふと真面目な口調で続けた。


「だが、戻って来てくれてよかったよ」


全員の視線が一点に集まる。

その温かな空気の中で自然と顔がほころぶのを感じた。


皆がくつろぐリビングで、私たちは明日の予定について話し始めた。


「明日は何をするんだ?」


と浩一がテレビを見ながら声をかけてきた。


「あのね!」


理依奈が目を輝かせて言った。


「ダンジョンに行きたいの!」


「ダンジョン?」


颯斗が反応する。


「俺も行きたい!」


「Dランク以上の探索者がいれば探索科の生徒も一緒に入れるんだよ!」


と理依奈が説明する。


「だから麗奈お姉ちゃんと一緒に渋谷ダンジョンに行きたい!」


私は驚きつつもうなずいた。


「そういえば地球のダンジョンってどんな感じなんだろう……見てみたいと思っていたんだ」


「決まりね!」


理依奈が嬉しそうに両手を上げた。

夜は更けていき、温かい家庭の灯りの中に包まれた。


---


「ふぅ……」


明日の準備を考えながら天井を見つめる。

理依奈と同じ部屋のベッドで今日も寝る。

窓から月明かりが差し込み、静寂が部屋を満たす。


「麗奈お姉ちゃん」


理依奈が小声で話しかけてきた。


「明日楽しみだね」


「そうね」


二人で微笑み交わす。

地球での初めての本格的な探索。

異世界では慣れ親しんだ行為だが、ここでは全く違う体験になるはずだ。

特に日本のダンジョン運営には興味がある。


「早く起きないと」


「うん」


互いにうなずきあって眠りについた。

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