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異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー  作者: 白木夏


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第15話

リアのインタビューが終わると、恵が台所から声をかけてきた。


「麗奈。今日はここに泊まっていくんでしょ?」


唐突な問いに私は目を瞬かせる。

すでに寝室の準備を考え始めている恵の視線が暖かい。


「でも部屋はあるの? 急だし……」


「客室ならある」

「じゃあ私の部屋で一緒に寝よう!」


理依奈が言葉をかぶせて勢いよく挙手した。

期待に満ちた瞳で私を見つめてくる。


「だって麗奈お姉ちゃんと一緒に寝たいし!」


私は思わず噴き出した。


「じゃあお邪魔させてもらおうかな」


「やったー!」


理依奈が跳び跳ねる傍らで颯斗が呆れた表情で覗き込む。


「おい……広いベッドとはいえ二人じゃ狭いだろ」


「大丈夫だよ! 引っ付いて寝るもん!」


恵が台所から振り返る。


「じゃあ麗奈、先にお風呂入ってきてくれる? 理依奈も一緒に入ったら?」


「はーい!」


---


脱衣所で私は服を脱ぎ始める。


「麗奈お姉ちゃん……胸は大きいのにすごく引き締まった体してるね」


脱衣所から湯気が充満する空間へ入り、シャワーを浴びながら私の肉体を目で追いかける理依奈の声が少し震えていた。


「そう?」


私は石鹸で泡立てたスポンジを両腕に馴染ませていく。

筋肉の隆起としなやかな曲線が美しいバランスを見せていた。


「魔物退治しながらの暮らしは自然と体型維持になるものよ」


「……肌が透き通ってる、触ってみていい?」


言うなり理依奈は両手を伸ばしてきた。

ぺたり。

私の腹部に触れた掌が驚きで硬直する。

大理石のように滑らかなのに温もりがあった。


「すごぉい……お肌すべすべ……」


そのまま上へ指先を這わせる。

鎖骨の陰影が照明に浮かび上がった。


「理依奈ちゃんこそ若くて瑞々しいわよ」


「でも大人の魅力にはかないません!」


褒め言葉に恥ずかしさ交じりの声で返す理依奈に私は苦笑いしつつ髪を洗い始める。

バスタブに浸かると、向かい合わせに腰掛けた理依奈が突然真面目な顔つきになった。


「あのね……麗奈お姉ちゃんを見て思いだしたんだけど」


水面に映る自らの顔を見つめながら続ける。


「理依奈っていう名前はお父さんが麗奈お姉ちゃんみたいな凛とした存在になるようにって付けたんだって」


「まぁそうなの?」


「うん。今では本気でお姉ちゃんみたいになれたらなって思ってる」


再び私の裸身を凝視する視線が熱を帯びる。


「だからこの名前……ますます大切になった気がする」


私は湯船越しに揺れる光景を見つめながら微笑んだ。


「素敵な想いが込められてるのね」


濡れた白銀の前髪から零れる水滴が額を伝わっていく。


---


浴室からパジャマ姿で出てきた二人に颯斗がソファから顔を上げた。

しかし視界に入った途端に俯いてしまう。


「なんだその……肌色率高すぎだろ……」


ルームウェアの薄い生地越しに輪郭が透けて見える状態だった。


「恥ずかしがり屋だね~兄さん」


理依奈の揶揄にも颯斗は目を逸らしたままだ。


そこに咳払いの音が響いた。


「そういや麗奈。明日の予定はあるか?ないなら」


浩一が提案するように切り出す。


「土曜日で休みだから車を出すぞ?スマホくらいは買った方がいいんじゃないか?この時代で暮らすなら必需品だろ」


「確かにそれは必要かも」


恵も同意する。


「だったら私も一緒に行きたい!」


理依奈が元気に宣言した。

指を一本立てて続ける。


「ついでに帽子とか眼鏡も買っちゃえば?欧米人っぽい見た目だと目立っちゃうでしょう」


私は感謝の意を込めて頷く。


「ありがとう。じゃあお言葉に甘えようかな」


浩一は安心したように椅子の背にもたれた。

隣で恵が静かにコーヒーカップを傾ける。

窓の外には月光が滲んでいた。


「じゃあ明日は早いし今日はもう寝なさい」


促されて理依奈の部屋へ向かう二人の後ろ姿を見送りながら、夫婦はかすかに笑みを交わした。

かつて失われた家族が再び巡り合った夜の余韻が、まだ室内を漂っていた。


---


理依奈の部屋は女子高生らしい華やかな雰囲気に包まれていた。

壁にはアイドルグループのポスターが飾られ、ベッドサイドにはぬいぐるみが数匹鎮座している。


「こっち!」


既にベッドの左側半分を占拠した理依奈が右手をひらひら振る。

枕元のファンシーなネオンライトが淡い光を放つ中、私はそっと腰を下ろした。

ベッドの中へ潜り込むと、理依奈が小動物のような俊敏さでぴったり密着してきた。


「あったか~い」


吐息が耳元にかかるほど接近し、ふんわりとした甘い香りが鼻孔をくすぐる。


「理依奈ちゃん、ちょっと近づきすぎじゃない?」


「だってずっと憧れだったんだもん。お姉ちゃんがいたらこんな風に眠りたかったんだよ」


言葉通り全身で絡みつく体温を感じながら、彼女の頭を優しく撫でる。

さらさらと指通りの良い黒色の髪が指の間をすり抜けた。


しばらくそうしていると理依奈の呼吸が次第に深くなっていく。


「ん……うん……」


微睡みの中で呟く声には夢うつつの安堵が滲んでいた。

私はゆっくりと身を離し、その寝顔を眺めた。

瞼を閉じた幼い顔立ちはどこか無防備で、それでいて何かを掴み取ろうとする意志の強さも垣間見える。


(本当に素直で明るい子ね)


電灯を消し、窓辺に淡い月光が差し込む中、静かに目を閉じた。

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