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聖女じゃなかったので、翻訳チートで商人通訳として生きていきます!  作者: 角まがり


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9/14

じゃない方と交渉開始

今日もありがとうございます。楽しんでいってください。

未亜が決心をしてリックと宰相様に伝えて数日。


宰相様から呼び出しがあった。マーサに連れられて会議室のような場所に入るとそこには宰相様だけでなく、枢機卿となぜかリックもそこにいた。


「座りなさい。」


宰相様にそう言われ、手近な椅子に腰掛けて、背筋を伸ばす。


「さて、マーサから、あなたがこの王宮を出て自分で暮らしたい、と言っていると報告を受けています。」


はい。と未亜は静かに肯定する。


「確かに私達王国側も、ここにいらっしゃる国教側もあなたの処遇に悩んではいます。このままいつまでもあなたを客人扱いでここに住まわせるというのも現実的ではないのも確かです。現に既に問い合わせが何件もきています。」


未亜はそのことを承知だというように首を縦に振った。


「あなたに王宮で侍女として働いてもらうという手もありましたが、聖光宗教側はそれをあまり是としてはくれませんでしてね...」


そう言ってチラッと枢機卿を見る。その視線の先の枢機卿はそ知らぬ顔で受け流していた。


「また、マーサからあなたは侍女以外の仕事の方があっているのでは?という進言も受けています。」


(マーサ、それ、暗に私は全然仕事が出来ていなかったと言う意味だよね!?ちょっとひどくない?確かに私全然役に立っていなかったけど!)


「そこで、あなたの意見を聞こうと言うことになりました。私達、主に聖光宗教側にですが、にはあなたをこちらにお呼び立てしたと言う責任があります。なるべくあなたの意に沿うものになるよう善処すると誓いましょう。」


未亜は顔をまっすぐあげて宰相様と枢機卿を見た。


ー交渉の鉄則1: 常に自分が有利であるように余裕の表情を見せる。


営業事務をやっていた未亜は、営業担当の人の話もよく聞いていた。特に営業部の佐藤さんは飲み会で酔うたびに「自分の営業極意!」を後輩や未亜のような営業事務に話していた。


(あの佐藤さんにこんなに感謝する日が来るなんて!)


そんなことを思いながら、少し多めに酸素を取り込んだ。

「それでは、私の希望を伝えさせて頂きます。まず、慰謝料として、それなりの金額をください。そうですね...一般庶民の生活費30年分はどうでしょうか。」


「さ、30年分だと?大金貨30枚にはなるぞ!」


枢機卿が眉を吊り上げた。


「何も聖光宗教にのみ30年分を負担してほしいとは言っていません。この召喚の儀は、王家の承認のもと行われたと、枢機卿はおっしゃいました。それであれば、王家も同じ責を負うべきではありませんか。ですから私の要求は、王家と合計で30年分です。半々の負担であれば可能な額ではないでしょうか。」


そして、未亜は少しだけ悲しそうな顔をした。


「私の元いた世界の寿命は平均86歳です。今、26歳の私の人生があなた方によって全部搾取されたと考えてください。私はこの30年分でも平均寿命まではこのお金だけでは暮らせないのです。ずっと面倒を見ろ、と言っているわけではありませんし、かなり妥当な金額だと思うのですが...」


枢機卿は、「くっ...」と言ったきり黙ってしまった。そんな枢機卿をポーカーフェイスで未亜は見つめてはいるが、内心はバクバクである。こんな交渉したことがないし、果たして30年分が妥当かも分からない。ただ寿命までずっとこの国のお金を貰っていると言うのもちょっとこの国のヒモみたいで嫌だな、と思ったのだ。ただ30年分は吹っ掛けたとも自覚しているし、この反応を見ても間違いはなかったと思われる。


ー交渉の鉄則2: 最初は高い値段から始める。


(佐藤さん、本当にありがとう!)


心の中で必死に佐藤さんにお礼を言っているとと宰相様がふっと息をついて


「分かりました。最終的には王に承認を得なければなりませんが、大金貨15枚はこちらで出しましょう」


そう言って枢機卿の方を見た。

この決断には、未亜もびっくりした。あまりにも驚いたので、驚いた顔をしそうになり、慌ててポーカーフェィスに戻したので、顔面が少し変な状態で固まったのを自覚した。未亜は、ここから交渉で、値段が低くされていくことを想定していたのだ。まさか、まるまる提示金額を出すと言われるとは思ってもみなかった。


(ということは、30年分は余裕だったということかしら?でも、枢機卿の感じを見ると結構いい線行っていたとと思うのだけれど・・・まぁ、1宗教団体が王家と同等の金額をポンッと出せる経済状況であるならば、それはそれでちょっと問題がありそうな感じもするけれど・・・)


そのようなことを思いながら、宰相様から枢機卿に目線を写した。宰相様も少し不敵な笑顔を浮かべながら、枢機卿の次の発言を待っている。枢機卿も王国側にそう言われては、実際に未亜を手違いで召喚してしまった手前、引き下がれないであろう。苦しそうに、

「こちらも用意しよう。」


と言った。


(佐藤さん、すごい!佐藤さんの「営業の極意」が日の目をみましたよ!)


未亜は心の中で佐藤さんに拍手をおくっていた。


幸先の良いスタートを切ったということで、それでは次の条件を提示してみましょう。


今日も読みきてくださってありがとうございます。未亜はしっかり自分の権利は主張していくタイプです。交渉どうなるか気になる方は、明日も覗きにきてください。明日も午後7時に更新予定です。

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