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聖女じゃなかったので、翻訳チートで商人通訳として生きていきます!  作者: 角まがり


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じゃない方と幽閉生活

同日更新中(まだの人は1つ前からお読みください。)5話目を楽しんでいってください。

未亜がこの部屋に来て2週間が経った。

カリナが出て行った後、この部屋を改めて見渡すと今までと同じ石造りであるのは変わりがないが、景色がいいところを見るとかなり高い場所、塔の上にいることが分かった。逃走防止なのか、窓には鉄格子が付いていて出られずもちろんドアも鍵がかかっていて開けられない。


こういう塔には逃走用の抜け道があるのがセオリーだけど...と思いつつこの2週間探してみたが何も見つからない。もしかしたら床の石の模様をある順番通りに踏んだら開く仕掛けになっているのかもしれないが、何百通りもあるのを試す気力はない。


またこの2週間の対応はそこまで悪いものではなかった。食事はきちんと差し入れされる。もちろん聖女様(仮)の時に食べたものよりかなり質素なものではあったが、栄養が取れるきちんとした食事だった。


しかし、食事を運んでくる人は毎回違う人だった。みんな嫌々きているという感じで、今日は私がくじで大凶を引きました!と顔に書いてあるようだった。毎回、聖女様に合わせてもらえませんか。と聞いてみるものの取り合ってくれる人は誰もいなかった。


意外だったのは、帰還方法を探るというのは本当だったようで、2日1回神官見習いのリックが進捗を報告に来ていた。リックは、オレンジのくるくるした髪にソバカスがある15歳くらいの少年と男性の間にいるような小柄な子で、国教の未亜の扱いに憤ってくれている人だった。


そのためか、来る度に本当に申し訳無さそうにやってくる。


「すみません。この2日間は500年前の文献にあたってみたんですが、ここら辺時代から言葉に古語が混じりだすので解読に時間がかかっており...早くミア様もお家に帰りたいでしょうに...」


しゅんとする様子は子犬のようで思わず微笑んでしまう。ここで未亜のことを名前で呼ぶのは彼一人だ。他の人はみな、「じゃない方」と呼んでいる。


「いいえ、本も差し入れしてくださってますし、退屈していないですよ。久しぶりにゆっくりさせてもらっています。」


そうなのだ。未亜自身、これからどうしよう?とは思うものの、このゆったりまったり生活は苦ではなかった。欲を言えばインターネットがあれば快適だったが、仕方がない。ここに閉じ込められた初日こそ暇で死にそうで「スマホがないとこんなに時間が有り余るのか!」と思ったものだが、リックが本を差し入れてくれるようになったので、今はすごく充実した日々になっている。むしろ3食昼寝付きでこんな生活をしていていいのか、と思うくらいだ。


「そう言っていただけると僕も嬉しいです。もうそちらの本をお読みになったんですか?かなり難しいと思うのですが。」


そう言って未亜が今手にとっている本を指差した。未亜にとって嬉しい誤算だったのはこの国の文字が読めることだった。自分が話している言葉も日本語ではなくリュシエールの共通語だとリックに指摘された時は驚愕した。自分の話している言語が日本語ではないなんて考えなかったからだ。確かに最初から意思の疎通にはなんら問題はなかったな、と思う。


これが転生チートってやつか!と思うと同時に大抵標準装備されているものだからチートと言えるのか?とも思う。本物の聖女様との意思疎通に困っていれば、未亜に声がかかるだろうから、それがないということは、彼女も同じ能力を有しているのであろう。なので、チートではないのかもしれない。チートとは・・・?


「この歴史書ですか?。このリュシエール王国の成り立ちがわかって面白かったですよ。一人称で書かれているので、この著者の、えーっと、ルーン・シルベスティ?さんの見方が大いに含まれていそうなので、客観的な視点のものも読んでみたいと思いました。」


「そうなんですよ。そのシルベスティさんの書き方が独特なため、よく難解な本と位置付けられるんですが、ハマる人にはハマる本でして...。客観的なものですね。次はそのようなものを探してきてみます。」


そうリックが言った後、ふと視線を落とした。


「リックさん?どうしましたか?」


リックは一度視線を左右に動かし、少し躊躇いながら口を開いた。


「さっき、先輩方から上層部がミア様の処遇に困っているという話を聞いて...。聖女様のお披露目会やお仕事なので教会全体が慌ただしくなる予定らしくて...。ミア様をこのままの状態にしておいていいのか...と。ミア様どこかに行ってしまわれるんですか?」


「!!!」

(リック、多分それ私に言っちゃダメなやつ!)


背中に冷たい汗がツーと伝う。リックは自分が忙しくなって報告や本の差し入れができなくなると思っているようだけれど、上層部ははっきりと未亜の死を選択肢に入れているのが分かる。


(そりゃ、使えない人間をずっとこのままにしておくわけにはいかないしね...)


かと言って、未亜を教会で働かせるというのもないだろう。ずっと交流をさせないようにしている聖女様に何かのはずみで接触されてもたまらない。特に、未亜が散々面会を要求しているところから見ても何か画策されたら困るということであろう。


(ただ会って話してみたい...と思っていただけだったけど、下手売ったかな、これ...)


うーん。


「あの、リックさん。この歴史書によると、この国は王国ですよね。ということは王様もいますか。」


急に話が変わったので、リックはきょとんとしながら


「はい、もちろんいらっしゃいますよ。先日の聖女召喚の儀の際にもいらしゃっていました。私は見習いなので遠目からしかみておりませんが...私たちの国旗の色である赤と青の軍服を着ていらっしゃる方を見かけませんでしたか。その方が私達の国の現国王様です。」


あぁ!あの人!

なるほど。あの場にいたのなら、全ての事情を知っているに違いない。


「リックさん。ダメならダメって言ってくださいね。」


そう言って未亜はこそこそとリックに相談するのであった。


こんなにたくさんの人に自分の作品を読んでもらったのは人生で初めてなので嬉しいです!明日(5日)は午後7時に投稿予定です!

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