表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女じゃなかったので、翻訳チートで商人通訳として生きていきます!  作者: 角まがり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/28

商会の会長と副会長のつぶやき

今日も読みに来てくださってありがとうございます。

「お疲れ様でした。」


そう言って律儀にぺこりとお辞儀をしてから出ていくミアに


「おつかれ〜。じゃあ、また明日」


と手をひらひらさせながら応えるディオゴ。今日一日の成果を見つめながら、「やっぱ、すげーよな」と呟きながら今日のことを振り返る。


今日はミアの初日だったにも関わらず、ミアはものすごい仕事をこなして帰っていった。いくら言語が分かるからと言って事務処理能力はディオゴの何倍も上を言っていた。


休憩時間に


「昔もよく似た仕事をしていたの?」


と聞くとうーん。と考えながら


「事務仕事という意味ではそうですね。契約書作成とか請求書作成とか領収書処理とかはしていましたけど、輸出入ではなかったですし...応用効くところはききますけど、分からないことだらけで...もう少し国名や位置関係、単位を覚えたらスムーズに進められるとは思うんですが...」


不甲斐ない様子を見せるミアにディオゴは「いやいやいや!」と心の中で突っ込みを入れる。


「それに計算も早いよね?計算機を使わずにしているし」


その言葉にミアはびっくりした顔を見せる。


「いえ!私は全然計算得意じゃないです。間違いも多いので私が計算したものは信用しないで確かめて下さい。」


ミアが真剣な目でディオゴを見つめるので思わず「お、おう!」と言うが、ここまで計算間違いを見つけては指摘していたのはミアだった。ミアは続けて


「今まで通訳や翻訳の仕事はしたことがないので、そちらもなんでも指摘してくださると嬉しいです。でも、まずは、書類整理をさせて頂けて本当に助かります。勉強になります。」


殊勝なミアの態度にディオゴは珍しいものを見たと思う。通訳や翻訳ができる人は、その職業の特性上、身分に関係なく取り立てられるが、駒として使われることが多い、というのはよく知られている話だ。そのため、通訳は常に周囲の様子を伺い、おどおどしているものが多かった。だが、ミアは全然違っていた。自信は無さげだが、卑下するほどではなく、自分で改善できる方法を探り、他人に助言を求める。今までに出会ったことがないタイプだった。


そんなことを考えていると、


「ディオゴ」


とドアの方から声がかかる。振り返ると、ヴィセンテがそこにいた。


「どうだった?」


その一言で、彼がミアのことを聞いているのだろ分かる。


「どうも何も。すこぶる優秀だよ、彼女は。」


ディオゴは今日の彼女の働きぶりを報告する。その話を「ほう」と面白そうに笑いながら聞くヴィセンテに本当にこの人は、商売の嗅覚が優れていると舌を巻く。だからこそ、この商会が10年にも満たない期間で中規模の大きさにまでなっているのだが。


「で、信用に足りそうか?」


ここ数年、ヴィセンテたちはいい通訳者を雇えなく困っていたところだった。駒として使われることを知っている通訳者たちは、交渉相手からお金をもらい、彼らの都合のいいように通訳をするということが横行していた。ヴィセンテたちは、主要取引先のそれぞれの言語を少し分かるので、これまではなんとかそのトラブルに巻き込まれずには済んでいたが、深い話ができず、交渉が決裂してしまったこともあった。彼らにとって「信用できる通訳者」は喉から手が出るほど欲しい人材だった。そのためなら多少出て行くお金が高くても構わなかった。


「うん。彼女は大丈夫じゃないかな?今日の仕事ぶりや言動から見て誠実そうだったよ。いい意味で世間知らずだし。給料の金額さえ間違わなければ、きちんと働いてくれそうだよ。」


ディオゴの人を見る目を信頼しているヴィセンテは


「そうか。」


と満足そうにうなづいた。


「それにしてもミアって何者なんだろうね?」


頬杖をつきながらディオゴは考える。4ヶ国語が話せるのに、各国の位置関係はよく分からず、計算機使わずに計算ができることをさも当たり前のことのように話したり、それぞれの国で単位が違うことを認識していたりする。


常識があるのかないのかがよくわからない。それにここまでの逸材ならとっくにに誰かに認知されていてもおかしくないのにそれもない。そして本人もいまいち自分の能力の価値に気づいて無さそうなのも不思議である。


「俺ともお前とも堂々と給料交渉した豪胆さはあるのに、なんか謙虚なんだよな・・・よくわからん。」


と右手で頭をガシガシ掻きむしるディオゴ。


「ま。俺はお前の勘と自分の目を信じるよ。2人ともミアがいいと思っているんだ。この賭けはハズレにはならないだろうよ。」


そう言ってポンッとヴィセンテの肩に腕を回す。この商会はこの二人で始め、ここまでお互いがお互いを支え、引き上げ、築き上げてきた。


ミアの加入でこれからもっと大きい商会にしていける可能性を感じつつ、二人はミアが帰って行った方を窓から眺めていた。


辺りは夕日に染まり、綺麗なオレンジ色に染まっていた。


この話は商会の二人の視点から書いているので未亜のひょうきは「ミア」になっています。


金曜日からはまた未亜視点です!午後7時に更新予定です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ