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聖女じゃなかったので、翻訳チートで商人通訳として生きていきます!  作者: 角まがり


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18/28

じゃない方とマーサとリック

今日も読みに来てくださってありがとうございます!

「あら。おかえりなさい。」


「ただいま」と家に帰るとそこには当たり前のようにマーサがいて出迎えてくれて、階段の踊り場からリックが「よっ!」と顔を出す。異世界に来て初めて触れた日常生活な気がして、未亜はふふっと笑みをこぼす。


(そういえば、日本でもずっと一人暮らしをしていたから家に帰って、誰かにこうやって迎え入れてもらうのも久しぶりかも。)


「あら。笑っていらっしゃる。何かいいことでもありましたか。」


マーサが話を振ってくれたので、「実は二人に相談がある。」と切り出した。リックも興味深そうに1階に降りてきてくれ、ダイニングで3人でお茶をすることになった。マーサがお茶の準備を終え、皆が席に着いた後で、未亜は食事処と宿屋は無理だったが、リオ・ソラル商会の副会長から通訳・翻訳者として声をかけられたことをかいつまんで話した。


「でね、リックが給金は週給銅貨45〜50ぐらいが普通だって言ってたでしょう?それよりかなりいい金額だし、それにこの商会がどんな商会か分からないから、このオファーを受けるかどうか悩んでいて...一応、今日の午後3時に会長に会いに行くことになっているんだけど...どう思いますか?」


そんなこと言われても二人も昨日一緒に未亜とこの町に来たばかりだ。今まで色々なことを教えてもらってばかりいたからなんとなく二人は未亜の知恵の神みたいな存在になっていたが、違う町の中堅の商会の情報なんて普通は持っていない。東京で働いている人に静岡の中堅会社のことを聞いているようなものだ。だんだんと声が小さくなり、顔が俯き加減になっていく。


「俺はいいと思うぜ!」

リックは、そんな未亜の心配をよそに、即肯定してきたので、逆に未亜はびっくりして顔を上げてしまう。


「リオ・ソラル商会と言えば、最近この町で名をあげて来ている商会なはずだ。確か魔石の輸出入が専門だったか?特異なところに目をつけたって一時期話題になっていたし、会長の見る目は確かなんじゃねぇか?」


「ミアをスカウトするくらいだしな」と付け加えて笑う。まさかリックが商会に明るいとは思わなくてびっくりする。


「リックって聖光教会にいたんだよね。教会ってもっと社会から隔絶したようなイメージで、社会情勢とかに疎いイメージだったんだけど...」


特にリックは司祭見習いだったはずだ。余計に宗教的な慣習に注力していたのではないのだろうか?じーっとリックを見ていると


「まー、俺はな...。」


と目線を逸らされてしまう。なんだろう?リック何か隠している?そんな二人の様子を微笑ましく見ながらマーサは、


「私はそちらの商会のことは詳しく存じませんが、そのお仕事内容と給金は割りに合っているかと思います。通訳・翻訳者となると専門職ですし、そのぐらいの給料がもらえて当然です。王宮ならもっといい給料が出ると思いますよ。」


「...そっか。」


未亜はなんだか自分でもどうしたらいいか分からなくなっていた。こんなにこの話に乗ることに肯定されるとは思わず、心のどこかで二人に「やめた方がいいよ」と止めて欲しいと思っていた自分に気づき、戸惑ってしまう。


マーサは未亜の手を取り、


「ミア様の自由にされるのが一番だと思います。ミア様が実際にその商会に出向いて、自分が働けるか働けないかを判断するのもよろしいでしょう。働き始めて合わないと思うのなら辞めてもいいと思いますよ。きっとミア様の能力を買ってくださるところはどこにでもありますから。」


「昨日の今日で、スカウト来ているしな。」リックはそうやって茶化してくる。確かにちょっと深く考えすぎだったのかもしれない。履歴書も何もないこの世界。何よりコネクションが大切になるだろう。この先、何をするにもきっと商会での繋がりは役に立つ。それに何かやらかしてこの町で上手くいかなければ別の町に移ってもいい。この世界は未亜の知っている世界とは違うのだから。


「それに、リオ・ソラルっていう中堅商会っていうのも俺はいいと思うぜ。大商会だったら貴族と繋がっていることが多いからお前が聖女の関係者っていうのはいずれバレるぜ!で、その内権力争いに巻き込まれるのが目に見える。その点、リオ・ソラルは魔石特化の商会だし、主な取引相手は船乗りや冒険者だろう。貴族っていう部類で行くと多分取引するのはこの町の領主じゃねぇか?」


「領主様?それってやっぱり貴族なんじゃ...」


「まぁ、貴族は貴族だけどよ。中心政治には何も興味がないって噂だぜ?それにこの海域を守っているんだ。他所から得なくてもすでに必要な発言権は持っているさ。そう言った意味でも俺は今回の話いいと思うぜ!」


確かにこの町は、他国との窓口であるとともに、海に面しているので他国から攻められやすい土地である。そこの領主を任されるということは、すでに国の要を任されているのと同義だろう。未亜のような「じゃない方」の肩書きがなくても充分、自分の言いたいことは言えそうだ。


リックのダメ押しが未亜の背中を押した。最後のためらいを振り切り未亜は立ち上がり宣言した!


「よし!じゃあ、リオ・ソラル商会に行ってくる!二人渡す分の給料も稼がなくちゃいけないし。あんまりグダグダ言ってられないね。」


「「おー」」


と二人のぱちぱちという拍手が起こり一瞬の静寂の後、


「え?」

「え?」


「...え?」


(え?何、え?って。)


「ミ、ミア様。もしかして、私たちに給料を渡そうと思っていらっしゃいますか。」


「え、あ、はい。ついてきてもらっていますし、マーサには家のことしてもらっていますし...。家は王家支給かもしれませんが、食費とか光熱費とか。昨日マーサ自分のお金から出していましたよね?それはさせられないかと。」


マーサとリックは顔を見合わせた。


「あ、あのミア様。私達それぞれ、王宮と教会から派遣と言う形で遣わされてまして」


うん。それは知っている。


「なので、私達そこから給料は出ています。そ、それに生活費などは、王宮と教会それぞれから3人がこちらで暮らしていける分は保証頂いておりますので、ミア様はご自分でご自身のお金を使って頂ければ、と。」


「え?そうなの?」


未亜は今の自分の顔を鏡で見たくないと思った。世界で一番間抜けな顔をしていたと思う。

二人は肯首する。


「ミア、お前、俺たちを養おうとしていたのかよ!?」

そうやってリックはお腹を抱えて笑う。仕方ないじゃない!給料体系なんて外からは分からないんだから!


照れ隠しにこほん。と咳払いをしてから

「それでは、マーサ。ここの家賃と光熱費、食費の⅓の値段を出してくれる?それを王宮と教会に返すことにする」


リックは笑い転げるのをぴたっと辞め

「おいおい、マジかよ。」と呟いた。


「だって、私は王宮からも教会からも自立したい存在でいたかったからあの場を出てきたんだよ?ここで支援受けていたら結局一緒じゃない?」


リックは珍しいものを見たとばかりにまじまじと未亜の事を見てくる。


「ミア様。ミア様の志は立派でございます。ただ私達は毎月お金を送金する術がありませんし、このようにするのはいかがでしょうか。ミア様には家賃・光熱費・食費として頂いている金額の⅓の額をお知らせします。その額を毎月手元に貯めておいてくださいませ。ミア様がこの家を出て独立する際、そちらの金額を全額私がお預かりして、王宮と教会にお返ししましょう。いかがですか。」


それなら、実家にお金を入れるのと同じ感じになるかな?と未亜は思った。


「わかった。じゃ、私の『返却金ボックス』を作ってそこにお金を返していくことにする...でも、マーサ、リックも、お金が足りないと思ったらそこから使っていいからね。何か家の設備が壊れたとか予想外の出費があった時はそこから出そう。」


こうして、商会の会長に会いに行く前に家のゴタゴタを解決したのだった。


さぁ、3時まで後少し。会長に会いに行こう!


家の金銭事情が気になったので、今回はそちらの説明を加えました。


次回、いよいよ以前ちらっと出た会長が出てきます。未亜は会長とどんな話をするんでしょうか?

金曜日の午後7時に更新予定です!

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