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聖女じゃなかったので、翻訳チートで商人通訳として生きていきます!  作者: 角まがり


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16/28

じゃない方とお仕事探し

皆さんに読んでもらえて本当に感謝です!

マーサが帰ってきてから、先に帰ってしまった事情を話し、謝罪した。マーサはころころと笑いながら


「リックの言う通り、良い宣伝になったではありませんか。」


そう言いながら、買ってきた食材をキッチンのテーブルに並べた。


「今日は、新居祝いですからね。腕によりをかけて晩御飯を作りますよ。」


「あ、私も手伝います!かまどは使えないですけど、包丁は使えるので。皮剥きでもなんでもします!」


「あら、そう?じゃあ、お願いしようかしら。」


リックは、ちょっと休んでくると言って、自室に戻っていった。


その晩は、リックとマーサとマーサが作ったおいしい料理を囲いながら、この国での就活方法について聞いた。基本的には、募集を張り出しているお店に行くか、直接お店に入って交渉するかが主流らしい。


(確かに、ここにはウェブサイトみたいに1箇所に情報がまとまる場所なんてないしね・・・)


「それでは、明日喫茶店とか、食事処とか、宿屋とかまわってみます!」


そう高らかに宣言すると、二人からおお!という歓声が上がった。


「食事処なら、週給銅貨45〜50ぐらいがこの辺だと妥当だと思うぜ。宿屋なら時間帯にもよるけど、もうちょっとだけ上か。それより異常に低かったり、高かったりした場合は即決しない方がいいぜ!」


おお!リックいい情報を!


よし、始めるぞ!


****


次の日、未亜はマーサのおいしい朝ごはんを食べた後、大通りに向かって歩いていた。午前中でまだ日差しは強くないものの、歩いているとじんわり汗をかいた。大通りに出ると昨日よりも出店がたくさん出ていて、昨日は閉まっていたお魚屋さんも開いている。


(よし、もし上手く仕事が見つかったら、ここら辺でお魚を買って帰ろう!)


未亜がこの町に来た主な理由はこの魚なのだ。たらふく食べたいではないか。

そんなことを思いながら、一番最初に目についたお店の看板を見る。どうやら食事処のようだ。未亜は、お店の周りをぐるりと回り、人員募集の張り紙がないか探してみたが、見つからない。


(うーん。張り紙がないところに、「こんにちは。仕事探しているんですけど、雇ってもらえませんか。」と聞きに行くのにはちょっと勇気がいるな・・・。もうちょっと探してみようかな。)


そう思い、もう少し歩いてみた。そこから先、本屋さんや花屋さん、洋服屋さん、武器屋さんなど町の散策をしながら、行くつかの食事処と宿屋が見つかったものの、どこのお店にも人員募集の張り紙がない。時間ばかりがすぎていき、お昼近くになってしまった。


(思ったより難しいな・・・これは、もう「たのもー」って入っていくしかないのかも・・・)


かと言って、やっぱりそれはちょっと恥ずかしい。悩んでいると、未亜のお腹がくぅーとなった。


(よし。ひとまず、今まで見た中で働いてみたいと思ったレストランに行って、そこで昼ごはんを食べてみよう!おいしかったら、会計のついでにさりげなく聞こう!)


そう思い、スープポットの絵が描かれた「銀の匙亭」というところに入っていった。


「いらっしゃいませ。おひとり様ですか。」


恰幅のいい女性が赤いエプロンをつけて迎え入れてくれた。いかにも洋食店のおかみさんといった感じだ。


「はい、一人です。」


「おひとり様、ご案内!」


ちょっと居酒屋みたいなノリだが、明るくて気持ちがいい。内装も木を基調に作られていて、椅子も机も木でできている。ちょっとカントリーチックなお店で、落ち着ける雰囲気だ。


「はい、こちらメニュー。今日のおすすめは今朝とれたての魚介類を入れたスープとサラダのセットだよ。パンもついてくるからお腹いっぱいになるよ。銅貨5枚だ。」


(魚介類!?しかも今日採れたて!)


「それください。」


「はいよ。あと飲み物は、水でいいかい?水も有料だよ。小銅貨2枚。」


「そうなんですか。」


「ああ、それを先に言っとかないと、後からごねるやつもいるからね。で、水でいいかい?」


「はい、お水をお願いします。」


「あぁ、水のおかわりの代金はいただいていないからね。もしもっと欲しければ声をかけておくれ。おすすめ1つお願い!」


奥から「おう!」と聞こえ、注文が通ったことが分かった。周りを見渡すとお昼時ということもあってか、9割型の客席が埋まっているように見えた。そして、その客の服装を見るに、この国の人ではなさそうな人がその半数のように見えた。さっきのおかみさんの人の話を聞いてもここには外国人が来る事が多そうだ。


(よし、後は、食事が美味しかったら、ここで働かせてもらえないか聞いてみよう。)


お店の中や外をぼーっと見ながら待っていると、そんなに時間が経たないうちに、ボウルいっぱいの魚介スープとパン、それにサラダが運ばれてきた。スープは、ブイヤベースに似ていたが、少し香辛料が入っているようで、ちょっとピリッとした辛みと奥深い風味がある。パンは、荒目で気泡がたくさん入っているものでスープにつけて食べるとおいしい。サラダにかかっているドレッシングはオレンジ色をしていて何が入っているかはよく分からないが、こちらもおいしい。未亜は夢中になって食べ、気がつくとお皿の中のものが全てからっぽになっていた。


(うん、ここがいい!)


そしてお会計のレシートを持ってきたおかみさんに勇気を出して、声をかけた。


「あ、あの。今、ここで人を募集していませんか。今、仕事を探しているんですけど、ここの料理が本当に美味しかったので、ここで雇ってもらいたいと思いまして・・・」


段々自分の声が小さくなるのを感じた。心臓の鼓動がすごく早くなっているのを感じる。

おかみさんはそんな未亜を見ながら、ちょっとバツが悪そうな顔をして


「悪いねぇ。今から、時化のシーズンだろ?漁に出る船も貿易船も魔石がついているものに限られるからねぇ。入ってくる人の数も極端に減ってね・・・4ヶ月ほど後できてくれないかい?」


「・・・そうですか・・・」


明らかにしゅんとなった未亜を見ておかみさんは


「あんた、あれだろ。『夜凪のおひいさん』だろ?昨日マスカの親父さんを助けたっていう。サヘル語が話せるっていうじゃないか。サヘル語が話せる人はここら辺ではそんなに多くないからね。今は、難しいけど、将来、うちに働きにきてくれるなら心強いよ。」


(ひー!もう噂になっている。でも『夜凪のおひいさん』って何?確かに、髪は黒いけれども!)


「・・・わかりました。他にも当たってみます。全然仕事が見つからなければ、4ヶ月後また尋ねてもいいですか。」


そう言って代金を渡す。


「もちろん。あ、食事はいつでも大歓迎だよ!」


おかみさんは、いい笑顔で未亜を送り出してくれた。


(どうしよう・・・時化でこれから閑散期になるのであれば、もしかして、宿屋も同じような状況なんじゃ・・・でも、聞かなければ分からないし・・・)


よし!と気合いを入れてそこから、3件の宿屋と2件の食事処を当たったが、どこも同じ理由で断られてしまった。


(どこも、4ヶ月後ならとは言ってくれるけれど、よく考えたら毎年時化の時期には、仕事がなくなる短期契約って事だよね・・・それなら、もっと長期的に働けるところを探したいかも・・・)


広間の屋台で買ったマフィンをベンチに腰掛けて食べながら、未亜は仕事探しの方向転換について考えていた。


(うーん。だからと言って、私に何ができるだろう。この世界の常識もあまりないし・・・。漁業を手伝う仕事ならあるだろうけれど、魚を獲るのは力仕事だろうしなぁ。まずは鍛えるところから始めなくちゃいけない・・・みたいなことになるかも?・・・それか、王宮で食べた魚は塩漬けに加工されていたから、どこかに塩漬け工場みたいなのはあったりするのかな。加工食品を作るとかなら私にもできるかも・・・加工食品を作るならきっと海辺。よし!)


そう思い立ち上がるとちょうど海の方から「おーい」と男の人が走ってきているところだった。金髪に近い茶髪の髪で、白いシャツ、ベージュのズボンを履いていて、ベルトの部分には何か挟まっている。その人は段々と未亜に近づいてきて、未亜の前で立ち止まった。結構な距離を走ってきたのか、肩で息をしている。


「あーよかった。君、『夜凪のおひいさん』だよね?仕事探しているって銀の匙のおかみさんから聞いてさ、探してたんだよ」


その人は「はー」と一度大きく息を吐いて呼吸を整えると


「ねぇ、うちの商会で働くのはどうかな?俺たちのリオ・ソラル商会でさ!」


今週も読みにきてくださってありがとうございます。

ここからまたストーリーが動き始めるので、もしよければブックマークしてお待ちください。次回の更新は月曜日の午後7時の予定です!

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