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BATMAN PARABELLUM 【1】

♪ジングル・ベル ジングル・ベル 鈴がなる♪


下水道に続く川にゆりかごが流れてる。


♪ジングル・ベル ジングル・ベル 鈴がなる♪


ゆりかごから「ギャイ、ギャイ」と赤子が泣く

一組の親子がサーカス小屋の裏から出てくる


「どうしたの?まだショーは終わってないわ。」


サーカス小屋から出てきてから一言も話さず黙り込んだ娘の顔を見て母親が問いかける。


「私が出ようと言ったんだ。あそこの椅子は硬くて腰がきついんだ。」


「あら、そうだったのね。」


娘の父親はとっさに噓をつき娘の顔を見てウィンクした。本当は娘が家に帰りたいとせがんだのだ。自分と同い年くらいの子が空中をあっちこっち飛び回ってるのだ、怖くてしょうがなかった。

母親がタクシーを止めようと手を上げた瞬間後ろのサーカス小屋から悲鳴が放たれた。母親と娘はその悲鳴にビクつき振り返ると、刑事の父親が本能的に走り出していた。


「どうした!?何があった!?」


サーカス小屋の扉を勢いよく開けシルクハットを被った鼻がクチバシのように異様に長く、小太りの男の肩を掴んで問いかける。


「夫婦の軽業師が落ちたんです。さっきまで空を飛んでいた2人が急に...!」


父親は男をあとに人だかりができた事故現場に、体の一部のように肌身離さず持っている警察手帳を掲げて入り込んだ。


「ゴッサム警察のゴードンだ!道を開けてくれ!」


二人の遺体を見た瞬間ゴードンは言葉を失った。先ほどまで空中を軽快に飛び回っていた夫婦が今やあらぬ方向に首を曲げてひしゃげてしまっているのだ。

もうきっと助からないだろうと思いつつも、同僚の刑事に電話をかける。


「こちらゴードン、ハリーサーカスで事故が起きた……。救急車を……。」


電話をかけるゴードンの目にはひしゃげた両親をただ茫然と眺める、先ほどまでまぶしい笑顔で二人と空を舞っていた少年がいた。




















「ディック・グレイソン少年はいるか?」


両親の事故から間もなくしてディック・グレイソンに一人の男が訪ねてきた。その男の名前を知らない奴はこの街にはいないだろう。ブルース・ウェイン……。この街一の大金持ちの慈善活動家だ。

身長は190センチはありそうな大柄の男なのに、静かで、どこか寂しそうな目……それがディック少年の彼の第一印象。


「あの子を引き取りに来た。」


特に嬉しくなかった。あの大金持ちの家に住めるからと言って父と母が戻ってくるわけじゃない。ごみのような児童養護施設から出られるだけマシだ。


べちゃり……


シチューの入った器を投げられた。いつものこと……。投げてきたやつの顔を見ようとは思はなかった。ブルース・ウェインのそばにいた老人がハンカチで頭を拭いてきたときもありがたみは感じなかったし、ブルース・ウェインが車にディック少年を乗せようと差し伸べたても彼には見えなかった。

彼に見えていたのはあの日サーカスのオーナーに金を出すよう脅迫し父と母のパフォーマンス用のワイヤーに細工した男。アイツを見つけて然るべき制裁を下さなくてはという怒りしかなかった。

その静かな怒りの炎をブルースは見抜いていた。










その日の夜ディックはブルースのそばにいた老人、アルフッレドに連れられてあのクソ施設の部屋をすべて足したほどの広さの部屋に連れてこられた。ここを自由に使っていいと言われたが窓の外の月とほぼ毎日のように夜空に照らし出されるコウモリをかたどった光を眺めていた。

その日から彼の生活は変わったようで変わらなかった。アルフッレドは優しく、彼をまねて屋敷の掃除なんかを手伝っていたが、この屋敷の主人であるブルース・ウェインは無口で本当に同じ屋敷にいるのかというほど全く合わない。

ある日夜空のコウモリが気になってアルフレッドに聞いた。どうやら『バットマン』を呼ぶシグナルらしい。バットマンは聞いたことがある。毎夜、ゴッサムの悪党たちと戦っているらしい。世界一の探偵という声もあれば、ただの異常者という声もある。


会いたくなった。もしかすると両親の死の真相を突き止めてくれるかもしれない。


夜空にコウモリが映し出されたある日、ウェイン邸から一人の少年が走り出していた。

ニューダークナイト三部作の第一作目『バットマンパラベラム』です。

これが三回目の書き直しです!次こそは最後まで書ききれる納得のお話になっています!

楽しんで読んでもらえると幸いです!!

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