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《歯車仕掛けの小公女》――魔法と機械と、永遠の少女  作者: 混沌のきのこ
第四章 錆びついた街灯と黄昏の刻
9/10

Episode1 「触れた指先、交わる心」

夕暮れの「小公女」。

レンは店の奥の書斎で、一枚の古い書簡を手にしていた。紙は薄く、擦り切れているが、そこに記された数式は魔法の理論を紡ぎ出していた。


「詩織、これが何か分かる?」


窓辺に立つ詩織が静かに近づく。夕陽の光が彼女の横顔を淡く照らし、長い睫毛が影を落とす。


「これは……失われた魔術の一種。数式によって魔力の流れを制御し、時間の流れすら変えることができる可能性があるわ」


レンはその声に少しだけ心が乱れたのを感じたが、すぐに瞳を逸らした。二人の距離は自然と縮まっている気がして、幼い体に秘められた何千年の孤独が、ほんの少しだけ柔らかく溶けていくようだった。


「…昔から、誰にも話せなかったことを、あなたには話せる気がするの」


詩織は静かに頷き、レンの手をそっと握った。


「私も、レンさんにだけは見せたい本当の私がいる」


その瞬間、店の外から機械仕掛けの時計塔が響き、重い歯車の音が辺境の街に鳴り渡った。静寂を破るその音は、二人の運命が新たな局面へと動き出す予兆でもあった。

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