5。決意
僕は、今までの夢のような出来事を脳内で何度も再生しながら、家に到着した。時計はもう八時近くを指していた。
こんなにも長かったのだろうか。一日は。
僕は未だかつてないほどこんなにも内容が詰まった一日を経験して、その家に到着した途端に、疲労が一気に僕の体にのしかかった。それでもなんとか、着替えた。
「レンジで温めて食べて」
と書かれている紙を読み、作られているご飯を食べて、風呂に入った。
そして、ようやく僕の部屋でゆっくりできる時間ができた。もう九時も過ぎた。
僕は、ベッドで大の字に寝そべった。
僕は・・・大罪人だ。
しかし、僕は今日、まさか会えると持っていなかった、いやそれどころか二度と会えないかもしれない七瀬さんに、会った。
彼女は、優しく、全てが朗らかであった。なにより、可愛かった。ああ・・・!
僕は四肢をジタバタさせた。中学の頃からの彼女のその妖艶な姿を想起し、そんな自分にとって天使ともいえる彼女と再会できた喜びをまた改めて噛み締める。実際に会って、僕は再びこう思った。彼女のことが・・・「好き」なのだと。この思いは、あんなことをやらかしてしまった後でもずっと続いていたんだと。まさか、彼女と再会するとは夢にも思わなかったし、会うのがある意味怖かった。でも、嬉しかったんだ。
僕は・・・今までの罪悪感とも言えない、偽善心の成れの果てによって、善心すらもその檻に囚われていた。
しかしながら、僕は決意した。
決意した。
今日の出会いで、僕は決意しなければならなくなった。
彼女のその優しさにより、僕の檻を大きく劣化させた。
また七瀬さんと再会できるかはわからない。これから二度と会えないかもしれないそれでも、人は変われることができる。できるんだ!
僕がそれを証明してみせる。
僕はベッドから飛び起きるや否や、「あれ」が隠されている棚の目の前に立ち、こう言い放つ。
「明日、全ての過去と決別するために、焼く・・!」
僕は、胸に燃える闘志と新たなる未来への渇望を胸に、電気を消し、床へとついた。