11。ブラックホール
周りは闇に包まれる。静止した闇ではなく、不規則に渦巻くように蠢いた闇だ。それは、まるで僕を中心としたブラックホール、僕を中心とした渦のようなものだ。その、悪に満ちた闇が、僕を中央に向かって、落ち吸収している。ただ、僕は動くことすらできず、その流れに為すがままなのだ。その渦は僕の周りだけでなく、脳内にまでその影響を及ぼし、そんな僕にとって、その渦から逃げ道なんてない。頭の中が気持ち悪いほどにぐるぐるする。
どうだろうか。僕は泣いていたのか、いや泣いていないのか。何もわからない。ただ為すがままなんだ。ただ、その悍ましい何かを、何も逆らえない何かが僕を支配している。支配?これはただの言い訳なのかもしれない。それでも僕に反論させてくれる余地を準備しておくれ。
徐々に僕の何かがかつてないほど熱く沸騰する。それは、心も、体も、心身ともにだ。ああ、この快楽とも言えない気色悪い素質よ。なぜ姿を消してくれないのか。
次第に息がどんどん上がっていき・・・
僕は・・僕は・・・
自分の何もかもを包含する「もの」とともに、僕はただその雨の中、部屋でただ一人、平伏すしかなかった。
下着には、「悪」がしっかりとこびりついていた。
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「ううっ・・・」
僕はその重い瞳をなんとかゆっくりと開ける。カーテンの外は暗闇に包まれていた。そして、水浸しになっている自分の部屋の真ん中で僕は寝ていたんだと気づいた。
いつの間にか眠ってしまっていたのだろうか。どれほど寝ていたのか・・・
見た感じ、もう日はすっかり落ちてしまったようだ。
そして、全身が濡れており不快な中でもなんとか立ちあがろうとしたその時。
「ッ!」
その瞬間今までのことが走馬灯のように駆け巡った。
ゆっくりとその場を立った。
そうだ、僕は汚いんだ・・・
僕はゆっくりと「その方向」へと顔を向ける。
暗い。
冷たい。
闇。
残酷。
冷徹。
凄惨。
悲惨。
惨劇。
絶望。
この世のありとあらゆる、しかし僕らの心の中にどこか存在するすべての何か、がそこにはたっぷりと詰まっていた。
僕はゆっくりとその場所へ移動し、それを箱の中に入れた。ふと時計を見ると、時刻は八時十五分を指していた。
僕は風呂場へ向かい風呂に入った。暖かかった。でも、心は冷え切っていた。
風呂から上がり髪を乾かしたのち再び部屋へとそのまま向かった。
「とうとう、一線超えちゃったか・・・僕・・・何やって・・・何やって・・・」
わかってる。全てこれは僕が汚い欲望に従ってやったこと。それなのに、僕は拳を作り床を強く叩いた。何度も何度も。
あの時僕は普通じゃなかった。あの時のことは、もう思い出したくもない。
僕はその水浸しになっている部屋の一箇所をタオルで拭いた。今までのことまでも水に流そうと。
「無駄だよな。わかってるって」
僕はそのまま固い床に横になった。部屋の光がキラキラと輝いている。キラキラと。




