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20話 王城への潜入!?

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広告下にある「☆☆☆☆☆」から評価

をしたうえで、本作を読み進めていただけると幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。


 シャインスターの本部に着いたのはそれから一時間ほど過ぎたころだった。病院からだと王城までは少し遠いので馬車での移動だ。普段は値段が高くてあまり乗る気になれない馬車だが、今回はシャインスターが全額出してくれるとのことで心置きなくのさせてもらった。


 女の子に奢られる僕。


 それもまたいいなと僕は思った。


 最悪の場合ヒモになるのもいいかもしれない。ヒモと悪の幹部の両立。うん、いい響きだ。一応将来の夢リストに入れておこう。


 ともあれ、僕たちは馬車から降りると城の門を潜った。


「おぉ、これはすごい」


 中は大きな庭があり、中心には噴水が設置されていた。整った庭園に、端のほうに見える花園の組み合わせは素人の僕が見ても美しい。正直興味がないのにいいなって思える魅力があった。


 そこから歩いていくと王城への門があり、そこには門番が二人立っていた。僕たちはまず彼らのもとへ歩く。


 よく見てみると、この前屋敷にいたチンピラとは違い甲冑を被ったちゃんとした兵だ。身にまとう星エネルギーも彼らとは違う。決して強くはないが弱くもない。いや、違うか。一般人からすればかなり強いのだ。彼らも王城を守り兵士な訳だしな。ただ僕の基準がシャインスターらへんになっているだけである。


 彼らはこちらに気づくと敬礼をした。


「お疲れ様です。シャインスター様」


「お疲れ様です。皆さんお元気そうで何よりです。仕事がんばてくださいね!」


 そう言ってルミナを先頭に僕たちは王城の中に踏み入れる。


「あ、ちょっと待ってください」


 入れなかった。


 僕たちは兵に止められた。


「はい? なんでしょう」


「その…お連れの方はどちら様ですか?」


 門番は僕を見ていた。もしかしてちゃんと僕のことについて伝わってない感じだろうか。


「彼はこれから私たちの友人になるかもしれない人です」


「あ、あぁ。彼が…」


 っとそこで門番は僕がどういう存在か察したらしい。さっきまで嫌な目で見られていたが、一変して納得した目で僕を見てきた。


「では許可証のほうをご提出いただけますか?」


「許可証?」


「はい。シャインスター様は必要ありませんが部外者の方や一般の方には必要なので」


 門番の言葉にルミナが顔を蒼白とさせた。どうやら彼女は許可証を持っていないらしい。


「みなさん。どうしましょう。終わったかもしれません」


「大丈夫よ。何のために本部と連絡をとったと思ってるの? 許可証なら私が持ってるわ」


「コメットさん!! 流石です! あなたは女神です!」


「大袈裟ね…」


 コメットは呆れた様子で、カバンから一枚の紙を取り出し門番に渡した。黄色い紙だ。端っこにはここ光のスカイピアを象徴する星のマークに騎士の絵が描かれたハンコが押されている。


 門番はその紙に目を通した。


「これで彼も王城に入れてもらえるでしょう?」


「はい。問題はありません。ではどうぞ中へ」


 そういうわけで僕たちはどうにか王城に入ることが出来た。てっきりルミナが焦っていたから中に入れずに詰んでしまうのかと思ったが安心だ。やっぱコメットは魔法少女のお姉さん役だな。天然のハートと抜けてるルミナをまとめてくれる大事な存在。ぜひ尻拭いは頑張ってほしい。


 僕たちは王城に入り、赤を基調とした大階段を上った。天井には大きなシャンデリアがあり、その真下には石像が置かれていた。年若いイケメンで腰に剣を携えた青年だ。それが誰かは知らない。


 遠くには額縁に飾られた美術品のようなものが見えた。これがコメットの言っていた備品ってやつだろう。たしかにすごい。僕はあまりそういうものには興味がないけど見るからに高そうなものが飾られていると圧倒されるものがある。これが美術品の力というものだろうか。こうしてみるとなかなか面白いな。


「じゃあ早速リシスさんのもとへ行くけど、準備はいいかしら」


 二階に上がって開けた場所に出ると、コメットが振り返って言った。


「もう行くの?」


「あまり長居していると変な任務を任されそうだもの。できればさっさと用を済ませてここを立ち去りたいわ」


「そっか。わかった。じゃあ行こう」


 そういうことならこっちも早いほうがいい。ここには星エネルギーを扱える戦士が集まっているからな。もしかしたら僕の正体に気づく人も出てくるかもしれない。あまり長居するのはよくないだろう。


 僕たちはすぐに目的地のリシスがいるという場所に足を進めた。



 ◇◇◇◇



 リシスがいる場所は訓練場だった。見た目は前世の学校にある運動グラウンドと大差ない。端っこにはテントとベンチ。あと、給水場があってそこで訓練を終えた兵士が休憩しているのが見えた。


 グラウンドを走っている一団もいる。休憩組と同じ人数がいるということを考えると、交代で訓練を行っているということだろうか。


「貴様ら! その程度でへばってどうする! 戦場ではへばったやつから死んでいくんだぞ!」


 疲れの色が見える兵士に向かって怒鳴り声のような声を浴びせている人がいた。白い服に金のラインの入った装束の女性だ。顔は少しおっとりとしていて片目に切り傷があり白髪に赤い瞳が特徴的だった。


「いいか? 貴様らのような軟弱者は限界まで鍛えてこそ強くなる。人より超えるべき壁が多い分限界を越えろ!」


 その言葉に兵士たちは気合いの入った返事をした。彼らの顔を見ると既に限界なのは見ればわかる。だが気合いで走っている感じだ。


 しばらく見ているとそのうちの一人がこけた。


「ッ……」


「何をしている! この馬鹿たれがぁああああ!」


「うああああぁぁああああ」


 兵士は木刀で何度も殴られていた。何度も何度も。まるで拷問のように殴られていた。


 それを見て休憩中の兵士と現在進行形で走っている兵士たちが青い顔をした。


『か、かわいそうに』


『あ、あいつには今日優しくしてやろう』


『だな。俺、あいつに飯奢るわ』


『じゃあ俺は慰めてやろう。辞めたら寂しいし』


 研ぎ澄まされた僕の耳がそんな声を拾う。


 なるほど、何となくだがあの団長らしき人物がどんな立ち位置なのかは分かった。


 ついでに兵士たちのやさしさも確認した。


「うわぁ……相変わらずリシスさんは容赦がないですね」


「嫌な思い出が蘇りますね」


「そうね。一生思い出したくない記憶だわ」


 どうやら三人も彼女に鍛えられたことがあるらしい。悪夢でも見ている顔をしていた。あのシャインスターがこれだけ顔をしかめるとは、いったい彼女は普段どんな訓練を行っているのだろうか。


 僕たちは彼女もとへ歩く。


「ん? おぉ! そこにいるのはシャインスターじゃないか! ひさしぶりだな」


 リシスはすぐに僕たちの存在に気づき笑みを見せた。


「リシスさんも息災のようで何よりです。相変わらず厳しい訓練を行っているみたいですね」


「冗談はよせ。あれはただのウォーミングアップだ。お前もよくわかっているだろう」


「あはは。そうですね……」


 ルミナの顔色がよくない。ウォーミングアップと聞いて、この人やっぱり変わらないなって顔をしていた。


「っで、今日は休日だろう。何の用だ」


「彼の紹介ですよ」


 ルミナが僕を手差しし、リシスが僕に視線を寄せた。


「誰だ」


「この前言った私たちの友人になりたいという方です。いい人ですよ」


「ああ。たしかにそんな話が出ていたな。今日がその日だったか」


 そう言うと彼女は僕の目の前にやってきた。改めてみると、女性らしい細い腕だがその腕はいくつもの焼け跡や切り傷があり筋肉ががっしりついている。


 目はハートと似たタレ目だが、瞳の中には何やら観察するようなゾワッとするものがあるように見えた。


 そんな彼女は僕の腕を掴んでくる。


「むっ。うむ。なるほど。これは……」


 っと、僕の腕や足、顔や腰などそこら中を触ってきた。


「あの……何か僕に問題でも」


「いや、そういうわけではない。私は初対面のやつは基本的に体を見て判断するんだ」

 

「そうですか」


 変態だ。あんまり関わっちゃダメな人だ。離れろ変態野郎。


 一通り触った彼女は顔を上げた。


「素晴らしい筋肉だ。肉の付きにくい体のようだが、限界という限界を超えている。久しく見ぬ

筋肉美。シャインスターの友人になりたいというのも納得の体だな!」


「あぁ。はい。そうですか」


 そう褒めてくれるのは素直にありがたい。


 が、こういう優れた審美眼を持った変態は危険だ。できればあまり関わりたくない。


「何か習い事でもしていたのか」


「え? ……あぁいえ、別に僕は何も……」


 僕はそこで考え直した。流石に何もしてないと言えば違和感を持たれるかもしれない。やっぱり何かしてる設定でいこう。


「……剣道をしてました。そのおかげだと思います」


「そうか。それなら納得だ。よし、そういうことならお前の話を聞いてやるとしよう。シャインスター、貴様らは部下の隊と一緒に訓練に参加しろ。その間私はこいつと話をする」


「え、嫌ですけど」


「上官命令だ。拒否は許さん」


「私たち休日ですよ」


「じゃあ次の訓練日を休みにしてやるからさっさと入れ」


「でも」


「文句はなしだ。命令に逆らうつもりなら次の訓練を二倍にする」


「「「……」」」


 そう言われてシャインスターの顔が死んだ。


 彼女らはそれ以上文句を言わずテントのほうへ歩いて行った。


 かわいそうに。ある意味任務よりもつらい訓練に参加させられるなんて。彼女らも運がないな。


「さて、私たちはそこのベンチでも座るか。話はそれからだ」


 僕はそう言われてシャインスターや兵士たちが剣やこぶしを振る中、リシスと近くのベンチに腰掛けた。


『はぁ、なんで私たち訓練してるの』


『ついていないですね。薄々こうなるかもとは思ってましたけど』


『不服だわ』


 遠くからそんな声が聞こえてきた。


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