1話 話し合い
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どうぞよろしくお願いいたします。
さて。
そういうわけで僕は今、ダークエクリプスの居城にて作戦会議を行っている。メンバーは魔王アルデバランとその幹部たち。
会議の内容は昨日ブッタという若手の優秀株が倒されてしまったのでその反省会だ。
「今回も失敗か」
「申し訳ございません魔王様。私の失態です」
アルデバラの言葉に、男は申し訳なさそうに声音を落とした。
「なぜだ、なぜいつも我々は負けるのだ。我々は以前よりも強くなっている。なのになぜ」
怒りが募った様子で魔王が机をバンっと叩いた。
その覇気に僕以外の幹部が冷や汗を垂らす。
「た、たしかに我々は確実に強くなっています。ダークスターの団員も以前より増え、我々も個人ではなく兵士全体の戦力が増がっている。我々の勝利も目前かに見えた」
そう言ったのはシリウスだ。白髪に青い瞳をしたかっこいい顔立ちの男性である。僕と同じ幹部で、一応仲間だ。
「じゃあなんで勝てねえんですかぁねぇ?」
そこに突っかかったのはカペラ。赤色の短髪に矮躯な体。可愛らしい顔をしてはいるが、まぁそれ以外は関わらない方がいい性格をしている幹部。一応彼女も僕の仲間だ。
「それは簡単な話だ。強くなったのは奴らも同じということ。奴らもまた、民衆の笑顔が力となり、それが星エネルギーへと変換されている」
「つまり」
魔王が話しを促すと、シリウスは頷いた。
「おそらく奴らの成長速度は我々と同程度。あるいはそれ以上ということです」
アルデバランは顔を落とした。
先ほどの覇気はもうない。彼も状況は理解できたのだろう。
「つまりそれは奴らには勝てぬということなのか?」
そんなことはなかった。
アルデバランは再び闇エネルギーを放出した。
みんなの顔がまた強張った。
「いえ、たしかに今のままでは奴らには勝つのは難しいかもしれませんが」
「何か策があると?」
「もちろんです。成功するかはどうか分かりませんが」
シリウスはその言葉とは裏腹に自信満々に頷く。
今まで彼は何度も魔法少女を追い詰めている。期待しても良さそうだ。
「よい、してその策は?」
アルデバラが聞くとシリウスは僕に視線を向けた。
「彼、ゼノンを利用するのです」
「なに、ゼノンをだと?」
「はい」
シリウスは頷く。
「彼はどうやら今年からシャインスターの通う学校へ入学するようです。ですから彼女等と仲良くなることができれば、プライベート含め何か弱点となる情報を見つけることができるのではないかと」
「ゼノンに奴らのスパイ役を頼むというわけか」
「流石です魔王様。理解がお早い」
シリウスは感嘆した様子で喉を震わせる。
魔王は唸ると僕へ視線を向けた。
「ゼノンよ。シリウスの言うことは本当か」
「うん。実際に関わりがあるわけじゃないから確証はないけど」
「そうか」
そこで顎に手を当てて再び唸るアルデバラン。
どうやら作戦を実行するか否かで迷っているようだ。
もしこの作戦に僕が投入されれば、襲撃の際に僕が参加できない時が出てくるだろう。それで迷っているのだ。
「別に僕はどっちでもいいよ。どうせ学校には行くし」
「そうだな。では、実行するしかあるまい。奴らを倒せるきっかけになるやもしれん以上、却下するには惜しい提案だ」
「了解」
結局僕はその作戦を実行することになった。ちょっと不安だけどやるしかない。
「しかし、わかっているとは思うが本作戦は機密事項で行う。明日以降も以前同様、光のスカイピアへの襲撃は決行だ。その間、ゼノンには特例で任務を与える」
アルデバランはそういうと僕と目を合わせた。
「ゼノンよ、入学はいつからだ?」
「明日からだよ」
「では明日より実行せよ。やり方は問わん。お前の知略を持って作戦を実行するのだ」
「わかった」
そんな感じで会議は終了。その後はこれからの作戦とか、前はこれがダメだったとか色々話し合った。僕はそれらを軽く聞き流し、会議終了まで待つ。
僕がやることは一つだ。
ダークエクリプスからのスパイとして魔法少女の彼女等と接触する。
もちろんスパイだけじゃなく戦闘にも偶に顔を出しはする。そうしないと怪しまれるだろうしね。
問題は僕は彼女等と話したことがないということだけど……。
まぁ頑張るしかないか……。