表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

車輪の下でも

作者: 檸檬

夕立か降った


乾いた庭の土が潤い


明日にはまた、ひとつふたつと


花が咲いてくれるかもしれない


雨粒を浮かばせた紫陽花の合間を


悲しげな夜風が吹く


あなたのような夜風だ


朝の目覚ましはやっぱり苦手だからつけないけれど


列車の車輪の摩擦音


あなたに出逢ってから昔ほど嫌いではなくなった


街灯に映る木陰が、大きく揺れる


あなたとわたしの間に吹く夜風


どこまでも 波動する水面


夜明けはあなたのその


手にひかれながら目を覚ましたいのに


遠く遠くに車輪の音が耳に響く

 

大切な手紙を開くように


どこまでも やわらかな夜風で旅をしたいのに


夜のプラットフォーム


車輪の下から吹き上げてくる風に


あなたの髪が一瞬になびいて


わたしは何故だか とても嬉しかったのに


あなたの手を取って 列車に乗り


どこか遠くへ連れ出したいのに


ふたり向かい合って席に座り


車窓からの眺めを分かち合いたいのに


駅弁の売店のショーケースの明かりが消えても


コンビニの明かりが24時間慰めてくれる


落とし物の傘は増えていくばかりで持主は迎えに来ない


だから 歌はもう必要ないのか


 いつまでも車輪の下


どこまでも 柔らかに吹く夜風


悲しげな夜風 


どこにも 居場所がないなんていうあんたの声が


車輪の摩擦音みたいに心をひいていく


いつまでも はいつくばるな


車輪の下から 吹き上がれ


車輪の下でも 愛し合え
































評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ