夢遊病 気分転換 正夢
失踪事件を聞いてから数週間
フラン・マホトニーは妙な夢を見るようになる
金色に光る蝶に導かれ
森をさ迷うとあの屋敷に導かれ
中に入るとあの女主人に手を引かれる
着いていくとあの暖炉の間に辿り着き
暖炉の裏の秘密の扉をかいくぐる
夢だとわかるのだが
フラン自身、歩みを止めずに進むと
周りが光る洞窟につく
その中には身なりは良いが薄汚れてぼろぼろになった男達が
一心不乱に何かを掘り出している。
それが何なのか?
確認する前に目が覚めてしまうという出来事を
既に数十回も繰り返していた。
見ない日もあるにはあるが、見た翌日は妙に足に疲労感が残り
[あれは実際の出来事だったのでは?]と錯覚してしまう始末
見かねたジョセフが医師を連れてきて
診察をしてみると『はっきりとは申し上げにくいですが、もしかすると夢遊病かもしれません。睡眠薬を出しますから、眠りが浅い日には服用を』と
診断されてしまった。
ジョセフからも
『仕事も軌道に乗ったんだ。店なら俺ひとりでも回せるし、何なら従業員の1人ぐらいは雇える。気分転換にどこか景色の良い土地で休んでこい。』と休暇を言い渡されてしまった。
言い出したら彼は何としてもフランを休ませるだろう。仕方なく好意に甘え、気分転換の旅行に出発した。
[いつも寒いところばかりに行ってしまうから
たまには南か東の暖かな土地に行ってみよう。
ジョセフは休めと行ったが、何か売れそうな商品を探すくらいなら許してくれるはずだ。]
私は呑気にそんなことを考えていたが
あの夢はどうやら正夢になってしまう。
私は夢に逆らえず
また、あの屋敷の前に佇んでいたのだ。