暖炉の間へ 主の登場
扉の中に通される。
中は暖かく蝋燭やシャンデリアで丁度良い明るさが保たれていた。
掃除が行き届いてるのか、ホコリさえなく
飾られている調度品がキラキラとして見える。
私が感心して見回してると
先程の執事がメイド二人を引き連れ現れた。
『寒い中大変でしたね?さあ、この者達に荷物を預けてこちらへ。アイン、ツバァイ、お客様の荷物を客室へ。』
二人のメイド[アインさんとツバァイさん]が私の荷物を丁寧に預かり、2階へ上がっていく。
『申し遅れました。私はこの屋敷にて執事を勤めてます。名前はル-ベルと申します。』
執事が丁寧に頭を下げる。
『ご丁寧にありがとうございます。私は商人をしております。名前はフランと申します。』
私が自己紹介を済ませるとルーベルは、私の先に立ち歩きだす。
『こちらが我が屋敷が[暖炉の館]と呼ばれる所以のお部屋でございます。どうぞ』
彼に促され部屋に入ると私はあるものに目を奪われた。
見たことがない大きさの暖炉が私を出迎えたのだ。
何でも燃やしてしまうだろ大きさの暖炉が
赤々と炎を燃やしている。
なるほど、道理でこの屋敷は丁度良い暖かさを保ててるはずだ。
『フラン様、こちらへ。主を呼びに行って参りますゆえ。おかけになりお待ちください。』
ルーベルは私を長テーブルの真ん中へ座らせ、部屋を出ていった。
しばらくすると先程のメイドが温かい紅茶を運んでくれた。
『こちらをどうぞ、等屋敷の庭先で栽培した薔薇から作られてるローズ茶です。』
優しい薔薇の香りが花をくすぐり、心地好い気分になる。
『ありがとうございます。いただきます。』
丁寧にお礼を言い、紅茶を堪能していると。
ルーベルさんが再び現れた。
『お待たせいたしました。こちらが我が主のフリードリヒ様です』
ルーベルさんの呼びかけに姿を現したのは
黒いロングスカート、白いブラウスに黒いストールを巻いた。
色の白い、栗毛の女性だった。