これで私も一流魔法使い!?
私の名前はいおり、私立マジーニアス学園中等部一年生。あ、今日から二年生になるんだった、あはは。
私の通ってるマジーニアス学園はマルル王国にある超有名な魔法学校で、毎年優秀な魔法使いを何人も輩出しています。
この国には神魔法使いといって、王族に使えることのできる、選ばれた唯一の魔法使いたちがいます。そしてこの学校からも神魔法使いが何人も現れたと言われているそうです。
優秀な魔法使いを輩出することは、国防にもつながる。というわけでマジーニアス学園は、マルル王国の強い援助も受けています。
魔法教育に特化したカリキュラムと、魔法に精通した教師たちによる授業。一流の魔法使いになることが約束されているといっても過言じゃないです。
そのためかマルル王国内から魔法の才能を持った女の子がこのマジーニアス学園に集まります。
私、仲佐いおりもその一人で、去年マジーニアス学園に晴れて入学することが出来ました。まあ、魔法を使える人間自体が少なく希少なので、魔法が使えたら入学自体は簡単なんですけど。
この学園で魔法の勉強をして、神魔法使いになる。それが私の目標です。一流の魔法使いを目指す子たちにとって神魔法使いになることは共通認識のあこがれです。
なんですけど……、うう。私の昨年の成績は学年で下から5番目。60人中55位。かなり絶望的状況。
学期末に開かれるトーナメント形式の学年別魔法模擬戦も初戦で負けちゃったし、才能ないのかなって、ちょっとうつ気味。
今日の始業式も不安でいっぱいです。今日は入学式もあって、私なんかより魔法の才能にあふれた子がいっぱい入ってくるんだろうなあ。
「はあ、新学期なのに全然うれしくないよう」
そんなこと言ってるうちに学校が見えてきた。うう。
「おはようございます、いおりさん」
校門の目の前に来た当たり、背後から穏やかな声色で呼ばれる。
「あっ、ラミイちゃん。おはよー」
小さく手を振る私に、ラミイちゃんは軽く微笑んで返す。
この子はラミイちゃん。私の中のいい友達。すごい可愛い。髪もきれいで長い、喋り方も丁寧。私なんかより魔法の扱いも上手。同い年とは思えないよ。
先生たちからもラミイちゃんはしっかりものって言われてる。家が貿易商らしいから、かなりお嬢様なんだと思う。
「なんだか元気がなさそうでしたが、どうかなさいました?」
う、見られてた。恥ずかしい。
「いや、大丈夫だよ。ちょっと昨日寝れなくて、はは」
不思議そうに首をかしげるラミイだったがすぐに手をポンとたたく。
「わかりました、さてはいおりさん宿題やってないですね。それで頭を悩ませていたと」
ラミイちゃんは自信満々そうに、言い当てたぞって感じだけど、全く見当違いなんだよね。まあ、宿題は昨日までほとんど終わってなかったんだけどさ。ちゃんと間に合わせたよ。
「宿題はちゃんとやったよ。ほんとに寝不足なだけ。それに私たちの中で宿題をやってないのはさ、私じゃなくて」
「ふふ、そうですね。いおりさんよりはティオさんのほうがしっくりきます」
この場にいないし、事実かどうかも分かんないのに宿題やらないキャラにされた子はティオって言って、私のもう一人の友達。私たち学校では大体、この三人で過ごしてるの。
ティオは魔法使いとしては優秀なんだけど、遅刻とか忘れ物が多くて問題児みたいに扱われてる。それに気が強いからいろんなとこでもめ事を起こしてるの。あっでも優しくていい子なんだよ。
「ティオはたぶん今日もちこくかなあ」
「どうなんでしょうかね。まだ式まで時間はありますけど」
ティオは魔法と関係のない授業や行事には基本参加しない。そのため今日の入学式と始業式にも来ないと思う。
今日は先に入学式を行い、そのあと始業式を行ったら帰る日程だから、ティオには会えないかな。一応うちの学校、入学式は全校生徒が出席しないといけないきまりなんだけどね。
「そういえば入学式って私たちはどこ行けばいいんだっけ?」
一度教室に集まるとかあるのかな。昨日は宿題に追われて、朝もぎりぎりまで現実逃避してたから詳しい行程が分かんない。
「在校生はそのまま体育館に向かえばいいそうですよ」
すぐさま答えるラミイ。さすが、しっかり者だ。というより私がポンコツなのかも。
「さすがラミイ。それじゃティオいないけどもう体育館に入っとこっか」
「そうですね、体育館だと座って話せますし」
そういって私たちは体育館へと向かった。