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一話「香豌豆」

一話の漢字、カオリエンドウって読むらしいです。

そういえば序話の漢字はオドマギらしいですね。

よろしくお願いします。

目を開ける。


開けると、虹色の、気色悪いモヤが俺の目に映っていた。それは目が痛くなりそうで、ゲロを吐いてしまいそうで、とにかく不愉快なモヤだった。周りを見渡しても、それがあるだけだった。そして俺は今、浮遊している感じだ。もしかしたら浮遊していると勝手に勘違いしているだけかもしれない。だけどそんな感じしか感じ取れない。


所でなんで、俺はこんな不思議なところにいるんだろう。疑問に思って、俺の最新の記憶を思い返してみると、ぶっ倒れているように見える俺がいた。俺の体から出ているかもしれない血が、俺の視界にいっぱい映っていた。こんなの死ぬに決まっている。


死ぬ?……俺は死んだのか?


死んでしまったのか、俺は。


死んでしまったとしても実感はないし、未練もない。強いてあるとすれば、ロストソウルはやりたかったけど、そこまで執着してない。……俺の人生なんぞに未練なんてあってたまるか。俺の人生なんかゴミ以下のクソだ。ガキん頃にああいう人生を送ることになると知っていたなら、間違いなく俺は死んでやる。


はあ、こんなこと考えていたら疲れてしまった。寝たい。


しかし、俺はいつまでここにいるつもりなのだろうか。永遠は勘弁してくれ。


俺はあまりに暇すぎて本当は見たくもない虹色のモヤを一点に固定して直視する。


それが功を奏したのか知らないが、虹色のモヤが螺旋状に回り始めた。最近見た特撮モノみたいだ。俺は螺旋状に回る虹色のモヤの中心を直視し続けたが、心做しか、周りのモヤだけでなく俺も中心に吸い込まれていく。


……まさか、これで俺の魂消えるとかないよな。こんなんで消えてしまったら、嫌だ。消えるならもっとかっこいい消え方がよかった。急に怖くなってきた。存在が消えるってどんな感じになるんだろう。中心にどんどん近づいてくる。


周りのモヤが虹色からだんだん濁っていく。粋な演出するな、怖いだろ、ふざけるな。


『いってらっしゃい』


俺は中心に飲み込まれた。


何も見えない。


……何か感触を感じる。冷たい、ザラザラした、まるで石のような。


俺は思わず瞼を開ける。朝起きた時特有の、ぼんやりとした視界がある。視界は明確になっていき、そこに何かがあるのかわかるようになった。俺の前には立派な髭を蓄えた老人が何人かいて、何か驚いた様子だった。


「魔素回路に一瞬の歪みが見えた、これは期待できるかもしれん」


絵に書いたようジジイ、それも賢者の声だ。にしてもこいつらは何をゴチャゴチャ言っている。意味が分からないぞ。魔素回路ってなんだ、ファンタジーみたいなこと言うな。ていうかここどこだよ。俺はここがどこなのか、理解するため、視点をあちこち移動させた。まるで教会みたいだ。天井の広さと言い、装飾と言い。しかし、何かが違う。


「ようこそ、君の名前教えてもらえるかな?」


若い金髪の男が俺の前に出てきた。ていうかすごく突然、声をかけたようにしか思えない。声をかけるまで気配すら感じ取れなかった。あと、今感じたソイツの気配がすごく気味が悪い。何か裏でもありそうだ。あ、気味が悪くて、忘れてた。名前言わなきゃ。


「……谷口優」


「君は谷口優と言うんだね、素敵な名前だ」


「だけど、その名前は今日で終わりだ。」


「え?」


「君は今日から、新しい名前を貰うことになる」

読んでいただきありがとうございます。

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