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「生き残りを賭けた試験」

「おい!! 次の授業はEW(エターナル・ウォーズ)だ!! それも特別な形式で行うらしいぞ!!」


「近くで話してるんだから、声を張らなくても聞こえてるぞ」


「あぁ!! そうか!! ごめんっ!!!!」


 一条……聞いてないだろ。


「とにかく!! 用意しとけよ? お前が罰与えられてるとこなんて見たくねぇーからな」


「……分かった」


 いつから馴れ馴れしく話してくる仲になったかはわからないが、悪い気はしないな。今まであいつ以外、友人がいなかった僕にはチャンスかもしれない。


「一条君、次の授業のチャイムがなりそうだよ。すぐに席に着いて!!」


「ういぃ〜」


 クラスのリーダーは大変だな。こんな穏やかな日常ですらよく周りを観察して、正しき道に誘導しなくてはならない。だが、こいつにとっては造作もないこと。


 五十嵐拓哉。こいつは危険人物だ。皆は知らない。この男の恐ろしさを。僕やあいつとは、また別格の恐ろしさをもっている。未来のためにもこいつは早い内に消したい。


 そんな物騒なことを考えてる間にファンタジー戦争の教師が教室に入ってきた。その教師は教室に入るなり早々、自己紹介を始める。


「私の名前は甘坂優香(あまさかゆうか)だよっ♪ 25歳独身で、恋人募集中でーす」


 豊満な胸の割には腰が細く、スタイリッシュな体付きだ。その上、とても一介の教師とは思えないほどの美々しい顔は男の理性を狂わせる。


「せんせい、先生!! 僕、彼氏になります」

「一条、お前はモテるからいらんだろ……。そんなことより、俺が先生を幸せにしますから彼氏にしてください」

「ぼくも……僕も、彼氏になりたいですっ!!」


 クラス内では根暗な存在としてあつかわれている隠密隠暴(おんみつかくしぼう)も彼氏に立候補するほどの美貌。

 隠密の勇気を称えて、男子たちは破竹の勢いで立候補していく。この状況を止められるとすればあの男しかいない。

 


「皆んな、静かにしよう。これ以上は先生に対する迷惑行為だよ」


 穏やかな口調は理性を狂わせている雄どもの心にも響き、自然と安らぎを味わう。



 1人の生徒が口を閉じ、2人、3人、4人と伝播していき男子らの喧騒は治まった。


「……うんうん。よしよし。これから言うことをよーく聞いてね」


 喧騒が治まるのを確認すると、甘坂は高らかに声を上げた。緊張感のない、弛緩した声とは違う。その声は和んだ空気を一瞬で変えるほど。


「君たちにはクラスメイトと協力して、攻城戦をやってもらうよ」


 攻城戦とは、城を攻め落とすこと。やり方は自由でとにかく攻め落とせばクリアらしい。


「そして、以前につるっ……いや、鶴半家先生が仰ってた兵科購入が今回からできるようになったよ。君たちに与えられるBPは10000。このBPを効率よく利用して協力し合い、城を攻略してください」


 BPとは兵科購入のために利用するポイントの事だ。一学期の成績によりとりあえず配布BPが決まるらしい。


「……質問はあるぅ? 1人まで受け付けるよ」


 質問したそうなクラスメイトも何人かいるだろうが、その殆どが手を挙げられずにいた。もし、的外れな質問して迷惑をかけたらどうしようか、と煩悩しているようだ。唯、1人を除いて。


「先生、電話は使えますか?」


 多くの生徒は驚いたに違いない。何でそんな当たり前の方を聞いたのか。そう考えているだろう。

 だが、この質問は正解の一つだ。

 まず僕らは常識から疑っていかなければならない。 戦争が絶えない世の中では、常識なんてすぐに覆される。国内でもトップクラスに強い軍人が、自分より劣ってる奴に一騎討ちで敗北、などということはザラにある。先生は批判的思考を試してるのかもな。


「行ってから確かめてねっ」


 流石、()()()()()だ。まるで動揺のかけらも生徒らに見せやしない。軍人も人間だ。核心を突かれたり、虫唾が走るような言葉を浴びさせられると動揺はするもの。だが、目の前の女にはそれがまるでない。そして、僕と同じ匂いがする。


「じゃあ……”生き残り”を賭けた試験を始めようか?」


「……え? 携帯が光ってる」


 携帯の変化に一条がいち早く気づいた。続いて他の生徒らも携帯を見て確かめる。


「ほんとだ……」


 先生は困惑しているクラスメイトを見て、ニコッと笑った。


「……っ」


 多くの健全な男子生徒にとって今の微笑みを好意的に受け取ったのではないだろうか。隣の席の右京は「男って馬鹿ねぇ〜」と笑ってるがそこに僕も含まれているのだろうか。

 そんな疑問は払拭できぬまま、光に飲み込まれる。

 

 何とも不思議な感覚だ。感情の浮き沈みがほぼない僕が怒りを感じていた。腹の底から、はらわたが煮えくりかえるほどの怒りが込み上げくる。だが、不思議と怒りというものはそれ以上でもそれ以下でもない。

 感情に突き動かされて行動しなければ、それは増幅することはないし不快感も味わうことは無くなった。


 目を開ければそこには仮想世界が広がっている。

 これを見ると錯覚してしまうだろう。

 自分は何でもできる、無敵なんだと。

 だが、それは幻想に過ぎない。

 

 ”この世界で人は死ぬ”

 




 



 




 

謎解きも時節含まれていますので、お楽しみください


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