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「赤城の残酷さ」

 東雲は既に召喚済みの武器を取り出した。

 東雲の武器は”スピア”

 剣より扱いが簡単で剣よりリーチが長いため誰でも扱える武器だ。


「俺は兵科をさらに召喚できるんだよ? それを分かっているのかい?」


「あぁ、当たり前ぇだ!! 俺はこの武器でお前に勝つ!!」


「……愚弄ね」


 黄道が挑発するが東雲は応じない。随分と成長したな、東雲。あの一件から……。


「いくぞ!!」


 東雲は両手でスピアを構え、そのまま彼らに向かって走る。ちなみに槍の使い方は主に二種類ある。


 一つ目が”振り回す”

 殆どが柄の部分なので棒術にあたる。即死の威力はないものの、手足を払ったりする牽制に使うことができるだろう。


 二つ目が”突く”

 これは一つ目の棒術と組み合わせて使われることが多く、トドメを刺す時に槍先で突く。


 東雲はどのような槍の使い方をしているのか。

 彼は───


「ふっ……面白い使い方をするね、君は」


 ”スピアをブーメランのように投げた”


 今ので、少しでも黄道と赤城の意識がそれただろう。魔法戦士はそれを見逃さない。


「”ストレンクス!!”」


 これは強化の魔法。一瞬の隙を見て自身の身体能力を向上させたのだ。強化のレベルにもよるが、今の魔法戦士に敵う訳がないだろうな。


 魔法戦士が一気に距離を縮め、ソードを上段の構えから振り下ろし一閃。

 切り口からは血飛沫が舞い上がり、誰が見ても死に値する一撃だった。



 斬られた本人の意識は狩り取られ、地面に膝をつく。唇の端からは止まることを知らない血が溢れ出ていた。


「……テメェ、女を!!」


 そう、赤城は黄道を盾にして身を守ったのだ。

 あの時、赤城ならば黄道を使わずに打開できた。

 なのにも関わらず、隣にいた黄道の首を掴んで斬撃とタイミングを合わせて投げ捨てた。


「残酷だな」


「……君がそれを言うのか? ”早乙女くん”」


 捨てた本人は顔色ひとつ変えず笑っていた。

 まさに”悪魔”

 しかし、何かを犠牲にしなければ大きな成果は得られない。偉大な人は殆どと言っていいほど何かを犠牲にしている。

 彼もそのうちの1人、なのか。


「一つ、聞いてもいいか? ”赤城"」


「何かな?」


「黄道という女は、僕の目から見ても優秀だ。なのに何故、そいつを犠牲にした?」


 

「……愚問だよ、早乙女くん。それが俺の作戦なんだから」


「「!?」」


 魔法戦士の背中からは一本の長い刀が突き出されている。致命傷になりうる一撃。


 僕は支援部隊”神官“を瞥見した。神官たちは軽く頷く。だが、行動することは難しい。両端のトロールと騎馬の戦いは騎馬の勝利に終わり治療も済ませているが、歩兵をまだ残滅出来ていない。おそらくこれもまた、赤城のトリックだ。

 

 赤城がいる限りあいつらは、後退しない。

 BPを使いたいところだが、これ以上リスクをかけるわけにはいかない。

 

「……君は甘くないようだ」


 東雲が目を見張り、僕を凝視する。死にかけの黄道や魔法戦士も同様に。


 彼らは見た。

 僕の”本当の恐ろしさを”

 

 

 



 


 



 

 


 


 


 

 


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