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「黄道&赤城VS早乙女&東雲」

 僕の力を知っているか? 


 ゴブリン、騎馬武者の戦闘部隊と神官の援護部隊。

 皆、いつもよりも数段強くなっている。

 怒りと恐怖と憎しみ……増強出来そうな感情を全て彼らに植え付けた。

 彼らは何を思って、何を考えて僕の下についているのか。そんなことはどうでもいい。僕は支配者としての力がある。それを使わない手はないだろうな。


 皇色一族は類い稀な才能を持つ一族だ。そんな奴ら相手にゴリ押しだけで勝てるはずがない。


「”戦術だよ、ゴブリン”」


「うぉぉぉぉ!!」


 あんまりうるさい声出すなよ、ゴブリン。思わず君らを殺してしまうじゃないか。


 バラバラで陣形のかからもなかった、ゴブリン部隊は一つの型に固まった。


「ゴブリンが横陣……!?」


 黄道。君は知らないかもね。ゴブリンたち悪魔の恐ろしさを。


「ギャ!?」

「うぉぉりゃぁ!!」

「うおっ……!?」


「”よくやってるじゃないかゴブリン。もっと僕にも見せてよ“」


「オラ、ゴブリン。司令官見てて……ください」


 前方にいたやや劣っているゴブリンが猛威を振るい始めた。片手に持っていた棍棒でただ暴れる。

 

「覚醒した悪魔に、お前たちが勝てるのか?」


 ゴブリンは大した知性は持ち合わせていない。だから突っ込んでいける。未来を予想できないからこそ敵と臆せず、戦っていけるのだ。

 

 対して歩兵たちはどうだ? ビビって今にも逃げ出しそうだな。士気が低すぎる、赤城。いつもの君なら

悪魔にも恐れない、究極の部隊に仕上げられるだろうに。一体、どうしたのだろう?


「おっ? とうとう騎馬も対決か」


 騎馬武者10騎に対し、あちらは20体。無論、あちらは騎馬武者ではなくトロールだ。トロールは小人だがパワーな強力。それに変身能力も持っているため、誰かになり済ますことも容易だろうな。


 騎馬武者も当然、人間だ。未知の悪魔に恐怖している。人間は弱い生き物だ。誰かと補強し合わないと生きていけない。そこで、僕が手を加えてあげるよ。


「“トロールを残滅せよ”」


 例え変身能力を持っていたとしても、ここで残滅してしまえば意味などない。騎馬武者の任務の話に限るが。ゴブリンにトロールが紛れ込んでいてもおかしくないだろう。トロールは能力的には、最高クラスの斥候だな。ただ、知能は低く役割を果たせるかは微妙だ。


 騎馬武者は強い。雄叫びを上げて、興奮状態に持っていき自身の強さを底上げした。

 弓の練度も流石、というべきかトロールを次々と仕留めていった。

 

「トロールが囮だとしたら?」


 そう、トロールは確かにBPが多く普通は囮役には使わない。だからこそ赤城は囮に使ったのだろう。変えが効く歩兵ではなくトロールを。

 トロールは変身能力があるため、全てが囮という可能性は小さい。変身持ちの悪魔は少なく、トロールは腕力に優れているため見つかっても、敵を倒すことは場合によっては可能だ。


 まぁ、たとえ潜入しても”無意味”だ。なぁ東雲。


「……!?」


 黄道、ようやく気づいたか。東雲の部隊が後ろから迫ってることに。

 

「アイス・ストーム」


 氷の嵐が黄道と赤城を襲った。無数の氷の矛が彼らに突き刺さる。回避の隙も防御の隙もなかった。

 とても広範囲の技で敵の歩兵やトロール隊のHPもある程度削ってくれたようだ。


「土煙のせいで、見えない……」


 嵐+氷の魔法のため、地面の砂が舞い上がり僕の視界を遮った。たとえ見ていたとしても僕にはどうすることもできなかっただろう。


「い……っ!?」


 赤城と黄道が流血させながらも、毅然と立っている。攻撃した奴は”魔法戦士"だぞ?

 魔法戦士は遠距離型の魔法や近距離型の魔法(身体強化魔法)も使える。身体能力は戦士並み、魔法は魔法使い並みだ。なので人間が防御できるはずがない。


「ふはははは!! 私の魔法を受けて倒れないとはやるな、君たち」



「……”オレには力があるんだ”」


「うん?」


 東雲が魔法戦士に向かって叫ぶ。だが、魔法戦士は応答しない。これではまずい。徐々に相手のペースにはまっていく。


「君の悩みを当てようか……?」


 魔法戦士はニヤリと口角を上げて、腰に手を当てた。


「やれるもんなら、やってみたまえ!!」


「……ふふふふっ、貴方は知らないのよ赤城様の偉大さを」


 赤城はゆったりとしたスピードで言った。


「”君は腹を立てているね?”昔、報われないことがあったのだろう」


 東雲が必死に魔法戦士に呼びかける。


「テメェ、そんな奴の話聞くな!! この際、テメェがどうだろうと……!?」


 魔法戦士が東雲の首を掴み、持ち上げた。足で抵抗しようとしているが攻撃が当たらない。僕からは戯れているように見える。


「て、テメェ……っ」


「”魔法戦士、今はまだ”」


 魔法戦士が赤城の意図を読み取り、手を離す。


「テメェ!! 何でそっちの味方してんだ!!」


 東雲がそう喚くのも無理もない。魔法戦士は多くの生徒のBPを集めて購入したんだからな。


「今、あの人が話しているだろ!! 黙れ」


 東雲は舌打ちすると、僕を一瞥した。

 東雲、君は馬鹿ではなかったようだ。


「”君はその悩みをこの世界で解決出来るか?”」


「……」


 魔法戦士は難しい表情をしたまま、何も答えなかった。


「”どちらか分からないんだね……。この悩みを解決するためにも僕らは協力しよう。君を支配者から救ってあげるよ”」


 魔法戦士は騎士鎧を前身に身につけているため、表情こそ見えないものの動揺している。赤城がそれを見逃さない筈がないだろう。


「ふふふっ……今は敵同士な訳だから対戦はしようか。君の全身全霊をオレにぶつけてこい」


 魔法戦士は地面に視線を向けたまま、YESもNOも言わない。彼は迷っているのだ。


「魔法戦士、目の前の敵を片付けようぜ!!」


 魔法戦士は腰に携えていたソードを鞘から抜くと、赤城に向ける。ようやく決意を固められたか。


 宙に浮いているのは魔法書。これを読み上げることによって魔法攻撃が可能になる。ただ、魔法攻撃と聞くと無双状態になると思うかもしれない。それは間違いだ。何故ならば魔法での攻撃はスペルを読み上げる時に絶大な集中力を必要とするから。


 つまり、数の暴力で対抗されてしまうと彼は魔法使いとしては機能できなくだろう。


 僕は確認の意味合いも込めて、目を細めた。

 すると東雲も目を細める。そして周囲を警戒しているのか見渡していた。


 分かっているのかこいつは。東雲は不確定要素なので問題点が多い。どれだけ東雲で回せるかが鍵になるだろう。彼も難関な士官学校を合格してきた猛者だ。回せる頻度は高くあって欲しい。その方が僕の負担も減る。



「ここからが、本当の戦いだぜ? 赤城さんよぉ〜」




 

 

 







 



 



 


 




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