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すみません、近所の親類で不幸があり日にちが開いてしまいました(^_^;)
ウチ、本家なのでお手伝いしないわけにもいかず…。
しかし今年に入って、検査入院からそのままお亡くなりのパターンが6件て多過ぎないすかね??
アミモトさんからの大量のとれたて新鮮ホタテや、辰っつあんなどの思いがけないところからの美味しい食材の食べ放題で、パーティーが繰り広げられてから幾日。
今日もアタシは情報収集と見回りにあちこち歩く日々を送っている。
ボスの嗅覚にも何か引っかかったらしく、探れと命令があった。
野生のカンと言うのか何なのか、ハッキリとは言えないが何かがおかしい。
些細ながらキッカケはあった。
知らない顔がたまにちらほら現れるようになった。
若い衆のケガが僅かながら増えた。
女達も軽くではあるが手出しされたり、子等への被害も出た。
聞けば、知らない顔の連中から襲われたと言う。
ご飯食べに行った時、オバチャンも「ここ最近、見たこと無ぇツラがあちこちいるなぁ。“ビジン”、あんた何か知ってる?」って言ってたし。
今までの抗争とは違う、何かが動いてる気がする。
わからないのが正直、気持ち悪い。
防波堤に座り、考え込むアタシに声が掛けられる。
ー“ビジン”、今いいか?
そう言いながらアミモトさんの作業小屋から現れたのは先代ボスの子である“ジュニア”だ。
先代ボスの気性と見た目をそっくり受け継いだコイツは若いながら無鉄砲な所はあるが、オバチャンやアミモトさんの部下達だけでなく、アミモトさん本人やアミモトさんの後継ぎである修さんにも可愛がられている。
要はスレてないのだ。
オバチャンだけでなく、あのアミモトさんにすら“ジュニア”と名前を呼ばれるくらいには奇跡のように可愛がられている。それを見たオバチャンやアミモトさんの部下達はビックリして、何か起こるんじゃないかと真剣な顔をして話し込んでいた事は秘密だ。
防波堤に飛び移り、すっと立ちながら“ジュニア”は話し始める。
ー最近、余所者が入りこんでるだろ。
ーああ、ちらほら見えてるしボスも気にしてるよ。何か掴んだの?
ーあれな、バカ女が引っ張りこんでるわ。さっきもベタベタ引っ付いてキメェ声でしゃべくってたわ。
“ミナコ”ぉぉぉ!お前が原因か!!
よりによって、敵対勢力を引っ張り込むとかバカが突き抜けてんじゃないのさ!
“迷惑”って知らないの?
股がユルいだけでもかなりの問題なのに、敵対勢力引っ張り込むだ?
下手するとアタシ等が滅びるのをわからんのか!
感情の昂りと共に鼓動と呼吸が荒くなる。
そんなアタシの怒りを見た“ジュニア”は
ーありゃ無ぇよなぁ。ボスに見つかったら見せしめにされるぞ、アレ。
ーでもアイツ、話し通じないからなぁ…もう見せしめでも何でも痛い目に遭わなきゃダメな気がするわ。
ーそれな。んで更に“ワカガシラ”にも股開いてんぞ。アイツ、ボスより弱ぇが面は良いからな。
次々と爆弾をブッ込まれ、キリキリと胃が痛むような感覚に陥る。
え、馬鹿なの?阿呆なの?
敵対勢力引っ張りこんで、ボスより弱い“ワカガシラ”と浮気とかホント何を考えてんの?
内輪揉め待った無しよ??
下手したら、この組織が無くなるし敵対勢力が君臨してもアミモトさんが認めなければ、容赦無く駆逐されるのがわからないのだろうか。
いや、わかんねぇんだろうなぁ。
頭ん中お花畑でヤるしか頭に無いクソビ○チ思考の“ミナコ”にはわかんねぇな。うん。
すん、と表情が消えたアタシを少し心配したのか“ジュニア”は
ーまぁ、あの馬鹿女が一緒でも、余所者は追い出すからあんま気にすんなよ?
ーそこは任せた。お願いね。
話の通じない相手にどうしろと言うのか。
いや、今は敵対勢力をどうにかすべきだ。
ネズミ共の時のように女達を参加させての総力戦は仕掛けられない。
逆に敵対勢力の地域は限定されている事と、こちらに接している境界で叩くのが最善策のように思われる。
とりあえず、境界までは近い。
重くなった腰を上げ、歩く。
余所者は見つけ次第、ぶちのめしておこう。
ついでに、あの馬鹿女が一緒なら余所者を放っておいてでもとっ捕まえてシバき回してからお話ししなければ。
怒りと気力を漲らせ、修羅の如き顔で歩みを進めた。