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彼の友人は彼女の敵  作者: 石月 ひさか
疑心暗鬼
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7



翌朝。


鳴り響くアラームに眉を寄せ、深雪は渋々体を起こした。


できるなら、このままベッドに潜り込んでもう1度眠りたい。


しかしそうすると、公一は間違いなく寝坊してしまうだろう。


「体が痛い……」


久々なのに激しくしてしまったせいか、腰が痛い。だがそうなってしまったのは自分の責任でもある。


なんとかベッドから這い出すと、着替えて顔を洗う。


昨日は風呂上がりに行為をしてそのまま眠ってしまった為、髪の毛もぐちゃぐちゃになったままだ。


仕方なく1つにまとめ、朝食を作る。いつもは弁当も作っているが、今日は大目に見てもらおう。


簡単にトーストとスクランブルエッグ、それにウインナーを焼いてサラダを添えると、寝室に戻る。


公一のアラームもすでに鳴っているのに、全く目を覚ます気配がない。


やはり先に起きて正解だった。


「朝よ。早く起きて」


優しく声をかけ、体を揺する。しかし熟睡しているのか、全く起きる気配がない。


「公一。朝よ」


仕方なく布団を剥ぎ取る。下は案の定全裸だったが、まだ目を覚ます様子がない。


「どうしよう。あまり乱暴な事はしたくないのよね……」


いつもなら問答無用で痛みで起こす所だが、昨日の今日だ。できる限り優しく起こさねばならない。


「公一、起きて。起きないとキスしちゃうわよ」


身を乗り出し、唇を塞ぐ。両手を使うと、暫くし、公一は息を切らせながら飛び起きた。


「はぁっ!はぁっ、はぁっ……な、何だ今の!?」


「おはよう。朝御飯できてるわよ」


「お前今、口と鼻塞いだだろ!?」


「違うわよ。キスしただけよ」


本当は鼻も同時につまんだのだが、それは肯定しなかった。


「ほら、もう時間よ。早く起きてご飯食べてね」


「あ、あぁ……」


公一は渋々ベッドから降りると、顔を洗い、いつものスーツに着替える。


ダイニングテーブルに着く公一の前に座り、深雪もコーヒーを飲む。


「あのさ、土曜日──明日の事だけど」


「1日中一緒にいてくれるのよね?今晩は鰻にしましょうか。あと、ナッツ系も良いらしいわよ」


「あ、あぁ……」


一晩寝て理性を取り戻したのだろうが、今さら約束を破らせるわけにはいかない。


笑顔で答えると、公一もそれ以上何も言えなくなったのか、黙って朝食を食べ進めた。

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