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彼の友人は彼女の敵  作者: 石月 ひさか
最初の友達
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6

「あのね、深雪ちゃん。ちょっと気になってたことがあるんだけど……」


「何ですか?」


そんな退屈の中、瑞穂はやっと招く事ができた初めての友人だ。


今なら、何を聞かれても、なんでも話せる気がした。


瑞穂が口にした疑問は、深雪の過去についてだった。


「嫌だったらかまわないんだけど──深雪ちゃんって昔はどんな感じだったの?旦那さんとはお見合い?」


「え?あぁ、そうですよね。気になりますよね」


会社であれだけ大暴れをしたのだ。


気にするのは当たり前かもしれない。


だが公一の立場上、さすがに全てを語るわけにもいかず、濁した。


「うちの両親は離婚して、私も孤児みたいなものだったんです。それで、ちょっとだけグレていた時期があって。旦那とはお見合いじゃなくて、なんて言うか、学校の先輩だったんです」


瑞穂は関心しているような、何かを後悔しているような表情を浮かべた。


「へぇ。そうだったんだ。──私も高校の時の彼氏、大事にしておけばよかったかな」


「瑞穂さんは今、好きな人とか、恋人はいないんですか?」


公一に『陽子』とあだ名をつけられるくらいだ。


人間性は明るくて、華やかさがある。


しかし瑞穂は、浮かない表情で首を振った。


「最近は全然。友達はたくさんいるけど、みんな既婚者だったり子持ちだったり恋人がいたり。いない人もそんな感じじゃないしね」


「そうなんですか」


世の中は不思議だ。


こう言ってはアレだが、去年のクリスマスに街を歩いていて思ったが、おかしなカップルがたくさんいる。


逆に綺麗な人程、1人でイルミネーションを見ていたりするのだ。


「瑞穂さんはきっと、高嶺の花って言うか………仕事もできる綺麗な人って、不思議となかなか恋人が出来にくいんですよ。でもきっと、その分幸せは大きいと思いますよ」


そう言うと、瑞穂は目を丸くし、がばりと深雪に抱き付いてきた。


「ありがとう!私深雪ちゃんが男だったら、絶対に惚れてるわ!」


「えっ」


女友達がいない深雪には、同性に抱き締められた経験がなかった。


そのため、どうすればいいのか分からずに戸惑う。


「前に会社に乗り込んできたチンピラをやっつけた時の深雪ちゃん、すごく強かったもんね!深雪ちゃんが男だったらなぁ。絶対にイケメンだよ」


「そうでしょうか?」


男だったら、という点については、否定も肯定もできない。


そこまで話す勇気がなく、曖昧な笑みを浮かべるしかなかった。

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